LNCrawler

プロローグ スペース☆ゲリラ

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 — ncode.syosetu.com · All chapters

プロローグ スペース☆ゲリラ

番外編の文章が派手に吹っ飛んだので怒りの本編再開です

提出課題? ブッチしとけ!!

……は冗談として、ちまちま追加していきます

というか普通にインベントリア案件ですよねこれ

光線銃が反射加工された壁面を叩いて跳ね回る。自陣営の損耗を生命無き機械で統一しているからこそできる無差別の跳弾領域、機械と比べれば不完全な感覚器官しか持ち得ない人間が踏み込めばどうなるのか。

「いぃったァ!?」

「フォックスがやられた!! 衛生兵 ( メディック ) 衛生兵 ( メディーック ) !!」

「バーカ! いるわけねぇだろ! 俺たちゃ全員職業:ゲリラ統一パだぞ!!」

予測不可能な 跳弾々幕の流れ弾 《 フレキシブル・レーザー 》 に当たってしまった奇妙なヘルメットを被った特殊戦闘服の男が肩を抑えてうずくまる。すかさず他の者がフォローに入るものの、ただでさえ不利な力関係がますます偏った方向へと傾いていく。

「ひぃい! 殺戮パック ( 課金アイテム ) で固めたセキュリティボットの増援! 廃人怖すぎィ!!」

「くっ……俺が、囮になる……! お前らは、潜伏しろ……!!」

「バカ言ってんじゃねぇよフォックス! こんな序盤で欠員出したらどちらにせよ詰みなんだよ!!」

迫り来るオイルの血潮で動く金属の兵士達は、時間が経過するほどにその数を増していく。対する潜入部隊はたったの五人、潜入する前段階の時点で30人いた突入部隊がほとんど撃墜され、かろうじて潜入できた人数だ。

やはり無謀であったのではないか、元より失うものの少ない身の上ではあるがそれでも無駄死にともなれば命を惜しみたくもなると言うもの。

「どうする!? ウルフ!! 一応「頭」はお前だろ!!」

「くじ引きみたいなもんじゃねーか! ぼっちで宇宙漂ってた雑魚艦長に指揮能力があると思ってんの!?」

「無理無理無理! なんでスペースオペラ系なのに丸ノコ装備なのぉ?! 殺意が20世紀レベルじゃん!!」

その時だった。

「テメーらァ! 死にたくねーなら口開けて壁に貼り付け!!!」

ガジョゴン! と金属の駆動音が床を踏みしめて重厚な足音を立てる。

生ける者達が振り向けば、そこには巨大な鎧……否、強襲用のパワードアーマーに身を包んだ一人の男が堂々たる立ち姿で巨大な銃を持ち上げていた。

「小型宇宙船用艦載ガトリング! 良い子は室内で使わないようにっっっ!!」

「 ガゼル ( ・・・ ) !!!」

「ひゃっほう悪い子万歳! ぶちかませ!!」

「なお弾を撃ち切り次第、アーマーを自爆特攻させます」

返事は聞いてない、と言わんばかりに巨大なガトリングが咆哮を上げる。圧縮荷電粒子をガトリングで連射する艦載ガトリングを手持ちでぶっ放すと言う狂気の弾幕がセキュリティボットを凄まじい勢いでスクラップに変換していく。しかし如何にパワードスーツで外部補強されているとしても所詮は人一人、十秒もしないうちに弾切れを起こしたガトリングが投げ捨てられ、 コンソール ( ゲームウィンドウ ) を手早く操作した 草食獣 ( ガゼル ) をモチーフにしたヘルメットを被った男がさながら蛹から羽化するかのように開いた背部から飛び出す。

「ガゼルが作ったチャンスは骨の髄まで活用するぞ! お前ら走れ走れっ!!」

「ねえガゼルさん、今ので幾らくらい………」

「現在の所持金は12クレジット」

「ヒエッ、全財産……」

◆

宙海歴255年。

人類種が故郷の星を捨て、星の海を旅する放浪の種族となって255年が経った今日この日。一番最初に 宇宙図 ( マップ ) を完成させた偉人の名をとって「モスコミュール宙域」と名付けられた漆黒の宇宙にて………「 愛板 ( まないた ) 」船長が率いる「至高のA大船団」と「Gカップムネ肉」提督及びその麾下による「双丘の大艦隊」が激突した。

実に三時間にも及ぶ大激戦の末、両艦隊合計して三十二隻の宇宙軍艦がデブリと化した史上稀に見る大海戦は双方の痛み分けとして一旦のこう着状態へと持ち込まれていた…………

否、本当の戦いは既に水面下で始まっていた。

「フォックス、ダメージの方は?」

「軽傷だ、回復はケチっても問題ないレベル」

「ガゼル、あんがとな」

「悪いがあれを持ち込むのでリソースの八割使ってたから手持ち武器はハンドガンだけだぞ」

「出落ちかよ………ヘビーなミッションになりそうだ」

複数の船主達の大同盟たる双丘の大艦隊に対し、至高のA大船団は船主愛板一人によって運営されている船団である。それ故に此度の戦いにおいて愛板は周辺宙域にいた無所属の船主達を臨時の傭兵として雇い入れていた。

そしてその中でも、艦隊戦ではなく敵船の中に強襲を仕掛けることに長けた者達によって結成された強襲部隊、その生き残りこそがこの場にいる五人。フォックス、ウルフ、パイソン、ライノ、ガゼル……たったの五人に任されたミッションは双丘の大艦隊に潜入潜伏し、来たる一週間後の第二次会戦までに致命的打撃を与えることである。

「とりあえず臨時で拠点を作る、その後はハッキング可能なスポットを探すぞ」

「先に聞いとくが勝算はあるのかよパイソン」

「任せて、これでも電子戦じゃあ負け知らずなのよ私」

「そりゃ心強い」

彼らは互いに名前を知らない。事前に依頼主愛板から支給された名前を隠蔽する特殊なヘルメットを着用した彼らはコードネーム以上の情報を知らないのだ。それは傭兵としての活動中のいざこざを終わった後に持ち込まないための配慮であり……敵方に情報を明け渡さないための対策でもある。

「…………逃げた先でゲリラ活動とは」

「何の話だよガゼル」

「え? あー、ごめんリアルの方の話なんで気にしないでくれ」

「了解」

ガゼル型のヘルメットを被った男は、敵船の天井を見上げながら物思いに耽る。

一体俺は何をしているのだろう、と────

拙作恒例「この小説は「シャングリラ・フロンティア」で合ってます」現象