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真紅の羽は今なお輝きて

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 — ncode.syosetu.com · All chapters

真紅の羽は今なお輝きて

次段階のサンラク君のステータス考えるのドチャクソ楽しすぎてヤバい

今章中にこれを公にする場合、作中時間十日で全てのイベントを終わらせねば……RTAかな?

基本的に一つのフィールドにプレイヤーを全員押し込んで行うバトロワというものは、突出した奴と出遅れた奴から袋叩きにされるものだと相場が決まっている。

強いから叩く、とか弱いから先に落とす、とかではなく共通の敵として狙う事でマジョリティを生み出しているわけだ。だがこの暗黙の了解って奴にはただ一つだけ穴が存在する。

突き抜けた一人が、他全員を敵に回しても立ち回れるくらい強かった場合だ。

隻腕の真紅……十中八九 あいつ ( ・・・ ) としか思えない鬼機動によって既に二機のネフィリムが撃墜された事で、残った五機は一時停戦を決めたらしい。

五機の内三機はネフィリムの操作に慣れていないのか、時折ふらついているが……残る二機は手練れだな、というかネフホロプレイヤーだろう。

ゆらゆらと機体を揺らしているがアレは突発的な行動に対して即座に対応するためのテクだ、いわゆるアイドリングに近い。ネフホロは厳密にはロボではないネフィリムを操作するという世界観故、無駄に細かい小ネタ小技が仕込まれている。静止状態から動くのとアイドリング状態から動くのでは最高速度に到達する時間が二割くらい変わってくる……とかな。

示し合わせたように二機のネフィリムが前へと飛び出す。装甲を限界まで削った軽量級と中、近距離想定と思しき銃特化の同時攻撃……残る三機も一先ずのターゲットとしてワンテンポ遅れつつ隻腕へと殺到する。

だがその時、

「おおっ!」

思わず感嘆の声が漏れた。なにせ先行していた軽量級と銃特化がまたしても同タイミングで 急停止 ( ・・・ ) したのだ。それもとりあえず突っ込んできた後続の三機が絶対に切り返せないタイミングで、だ。

いや、理屈としては分かる。ただ一機残った真紅は片腕を喪失している、つまり攻撃手段は残った右腕に装備されたビームチェーンソーだけという事だ。

他のネフィリムを見るに武器は四枠分しか装備できないと見えるが、その上であの隻腕は武器枠を二つしか使っていない。もはや奴の武器はあのチェーンソーただ一つだけ……それが意味するところは「中距離以上のレンジに対応できない」という事だ。

だったら囮をけしかけ、中距離から削り倒せばいい。恐らくあの手練れ二機は同じ結論に至り、打ち合わせもなく息を合わせた。

割を食ったのはネフホロ未経験なのだろう三機だ。後詰のつもりが最前線に叩き出されたわけで、しかも突然ブレーキを掛けた二機に合わせようとしたのか、よりにもよってあの真紅の目の前でノーガードブレーキをしてしまった。

「うわ、マジか怯み有りの多段ダメージ有りか」

「どう、凄いんですか?」

「端的に言うと……まぁ、見ての通り一撃で死ぬ可能性が出た」

厳密には「ワンアクションから即死まで持っていける」という点がヤバいのだが、ここらへんはネフホロプレイヤー相手じゃないと通じないだろう。無印ネフホロの頃は見た目以外の需要がなかった多段ヒット系の武器種に光が差したことになるが………それにしたってアレは極論だろう。

見上げた先、ネフィリムの首筋に突き立てられたチェーンソーがギャリギャリと火花を上げながら哀れな犠牲者を内側から削っていく。逃げようにも逃走の挙動にピッタリ張り付く動きで真紅が攻撃を続けるのだから始末に負えない。本来なら「逃げ」を入れることでダメージから逃れるはずなのに真紅が逃してくれないのだからたどる末路は一つだけだ。

「残り四機、囮一匹犠牲にしたけど本命二機が配置についたか」

「あの、急ブレーキした、二人ですか?」

「そうそう、そのまま動いてるとまず確実に片方が狙われるだろうから囮を使って自分達の時間を稼いだ感じかな」

◇

鉛筆騎士王:詰めが甘い、もう一機使い潰すくらいはすべきでは?

サンラク:いやいや、残弾は大切にするべきだろ。人的資源は替えがきかない

鉛筆騎士王:個性のない 人的資源 ( モブキャラ ) なんて保存してても無駄でしょ、瞬間火力をケチってちゃ世話ないよ

サンラク:そりゃ単体としてみたらの話だろ、ネフホロは弾丸概念があるんだから性能ポンコツでもタレットガンは弾丸がある限りは価値を持つもんだろ

鉛筆騎士王:あー、そういう考えもあるかぁ。でも仮想敵ルストちゃん相手じゃやっぱカカシタレットに変わりはないよね?

サンラク:それ言ったらおしまいよ、一般論で話してたのに

サンラク:ていうかやっぱ気づいていたか

鉛筆騎士王:ネフホロ激推しガールが実際にプレイしてるのは見たことないけど「赤」がお気に入りってのは聞いてたしまぁ、アレだろうなぁ……来てたんだぁ……と

サンラク:全力状態だとアレにモルドのサポートが付く模様

鉛筆騎士王:それ実際どれだけ強くなるの?

サンラク:ウェザエモンの背中に目がついて未来予知じみた戦術予想してくる感じ

鉛筆騎士王:マジかよ

◇

マジなんだよなぁ………あと見てて気づいたけどルストのヤロー、俺の可愛い 十四色鳥 ( コーラ ) ちゃんのコンセプトをパクってやがるな? 隻腕という不安定なバランスを安定させるのではなく、ブースターの個別噴射によってさらに不安定にすることで相手の逃げに追随する動きを実現している。

だが思い通りに動いていたのは奴だけじゃない、挟撃の位置についた二機の攻撃が始まる。如何にルストとてどんな状況でも相手を瞬殺とはいかない、ブースターを噴かして離脱せんとするが囲う二機も簡単に逃がすつもりはない。

ルストがカスタムしたネフィリムは武器枠を削って機動力を確保しているが、装甲を削っていないので最速という訳ではない。スタートダッシュで先手を取れたのは他の七機が警戒していたからだ。

故に最速のネフィリムは隻腕の真紅ではなく、ただでさえ軽く薄い装甲の殆どを削った最軽量級……ルストを挟撃する片割れこそがこの場における最速のネフィリムだ。

「あの軽量級が円の外周を回るみたいに真紅を閉じ込めて、円の中心を担う銃特化が攻撃を担ってる感じかな」

「でも、それだと……銃特化が、狙われませんか?」

「狙われるね、だから銃特化自身も動いてる」

独楽 ( コマ ) の動きに近いな、銃特化を中心とした円と隻腕の真紅を含めた三機のネフィリムによる巨大円運動の二重構造であの二機はルストを追い詰めようとしている。

真紅から逃れつつ射撃を続行する銃特化もすごいが、それに合わせる軽量級も凄まじい。デモンストレーションにしては使われてるテクニックが高度すぎるぜ。

「でも、あの真紅のネフィリム……対処、してますね」

「あっちはネフィリムの可動域を完全に把握してるのがデカいな」

◇

鉛筆騎士王:新体操でも見てる気分

サンラク:あれ、誰でもできるけどできる奴が少ないテクニックな

鉛筆騎士王:どゆこと?

サンラク:ネフィリムって基本的に構造が球体関節のマネキンだから割と無茶なポーズも取れるんだわ

サンラク:でも動かしてるプレイヤー自身がそういう身体の動かし方を知らないから実際にやろうと思うとネフィリムの身体が硬くなるわけで

鉛筆騎士王:あー、リアル側の認識で柔軟出来ない感じ?

サンラク:そういう事。でもルストってリアルでも身体柔らかいらしくてネフィリムの可動域をフルで使って動けるんだよな

サンラク:ちなみにモルドは身体クソ硬いらしいです

鉛筆騎士王:わー、この先の人生で役に立つビジョンが全く見えない豆知識

鉛筆騎士王:ていうか司会進行的に何かコメントしないといけないのでなんかそれっぽい台詞考えて

サンラク:リアルタイムゴーストライターやめろ

サンラク:とりあえず隻腕状態のバランスで鬼挙動やってる真紅とそれを包囲して囮二機のネフィリムにぶつけようとしてる包囲二機の動きについて褒めたら?

鉛筆騎士王:それ採用

◇

『いやぁ、すごい動きだね。隻腕という崩れたバランスを逆に利用して不規則な動きで撹乱する真紅のネフィリムに、それを包囲して残りのプレイヤー達にぶつける事で瞬間的にマジョリティを形成しようとする二機……エイトちゃんはどう思う?』

『え゛っ!?』

ゴーストライターのアイデア丸パクリした上で他人にキラーパス仕掛けるとかどういう精神構造してるんだあのヤロー。

つまりルストはリアルでマックナイフみたいな柔軟が出来る

ルストモルドは一般入場者、ただしネフホロ製作会社がチケットを送って招待したのでネフホロに関しては行列をスキップできる。

なんでそんな贔屓をしたって? そりゃお前、ネフホロ運営が最新技術によってリリースするネフホロ2のデモプレイには最強のプレイヤーを使いたいってもんでしょう、サンラクが呼ばれなかったのは総合スコア的には低いため

なお残り七人は抽選で選ばれたのでガチで偶然マッチングされた、テンションマキシマムルストと戦わされるとは哀れ黙祷