LNCrawler

戦災討ち砕くは煌々たる赤き闘志

シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 — ncode.syosetu.com · All chapters

戦災討ち砕くは煌々たる赤き闘志

この章長くなりすぎでは……?(まだ書く内容が山積み)

キルスコアを重ね、死を浴び続けた 別離なく死を想ふ ( メメント・モリ ) は羽のように軽くなる。いや嘘だ、中身入りのジュース缶よりは多少重い。

さらに言えば軽率に振り回すと高確率で空気抵抗を受ける、でかい団扇はそれだけでただの気体をドロついた水のような壁に変えてしまう。

「風を切っte、お前mo斬る!!」

だが強く握り締めて、まっすぐ振り抜いて、空気の壁すら切り裂けば缶ジュース程度の重さにしか感じない大質量が超重量の凶器となってサイボーグカブトへと叩きつけられる。

二度、三度、四度。片手で振ったのではDPSに甘えがあるので両手で振るにはどうすればいい? 答えは簡単、手に頼らない方法でしがみつけばいい。

暴血赤依骸冠 ( ブロード=クロゥネ ) による形態変化で発生するこの獣の外殻は人の身体には本来存在しないはずのパーツを増やす。例えば頭の目なんかそうだ、左右合わせて六つある目は飾りのように思えるがどれか四つをランダムに隠しても左右一つずつ目が開いていれば視界は保持される。

同様に拡張された人体は単なる飾り以上の能力を発揮する、例えばサイボーグカブトの胸角に足を引っ掛けるだけではなく尻尾も巻きつけて鉄棒へ逆さにぶら下がるようにして……

スキル「万武賦当」起動。得意武器以外の武器でこのスキルを使用した場合、熟練度が上がる効果は今は関係ない。重要なのは得意武器以外の武器であっても火力を上げられるスキルということだ。

「くっ……ヒビあっteもどんdaけ……!」

だが両手でフルスイングして尚、ヒビの入った甲殻は砕けない。ダメージは入っているのだろうがそれが決定打にまで持ち込めない。

マズいぞ、暴走判定まであと十秒……倒しきれない、ならば判定をクリアする為の道を見出すしかない!

「もっTo重くShiてやる……!!」

振り子運動のように身体を回して逆転した天地を正しく戻す。そして奴の上にロデオの如く飛び乗ってインベントリアからアイテムを取り出す。

食らいやがれクソカブト……スーパーヘヴィメタル、戦術機亀【玄武】と 女帝城の顕壁盾 《 ヴォーバン・ガルガンチュラ 》 、別離なく死を想ふのトリプルデッドウェイトだ!!

脳天に機械の亀が激突、ただでさえ重い特大剣に加えて城塞を圧縮したが如き特大盾によるシールドバッシュも加わったことで、最早サイボーグカブトのキャパシティを大きく超えた重量負荷が奴の全身を襲う。

空を飛ぶという行いは自由なように見えてその実、とても繊細で制限の多い行いだ。限界を超えた重量なんか抱えた日には……どうなる? こうなる。

「安心しroよ、俺は動体 cHaく ( 着 ) 陸に詳shIい」

戦闘機ありのFPSじゃよくやらかしたもんだ、上手い人達は地面すれすれを飛んで飛行機の羽で斬撃するとかいう達人芸をするモンだから真似して何度墜落したことか……お陰で飛行機からの脱出技能ばかり磨かれてしまった。

「墜落しyaがre!!」

叩きつけられ、地面を胴体着陸で滑走するサイボーグカブトの上から飛び降りつつ、地面を足でガリガリ削りつつも身体を捻って別離なく死を想ふをフルパワーでぶん投げる。

残り二秒。回転しながら飛んで行った別離なく死を想ふが小蜘蛛を薙ぎ倒していく。一体、二体、残り一秒、ゼロ………

「乗りKiったぁ!!」

三体目が誘爆したことで判定を乗り切った俺は【玄武】と女帝城の顕壁盾にタッチしてインベントリアに格納しつつ、武装を展開する。

あの滑走も強固な甲殻ならそう大したダメージでもないのか、六つの脚で器用にドリフトしたサイボーグカブトの角から放たれたビームを冥王の鏡盾で屈折させるようにガード。色々とフィニッシュまでの準備をしなきゃならんのだ、ちょっと黙ってろ盾フリスビー!!

おおよそ分かった、必要なのはパワーだが種類が違ったわけだ。ヒビを砕くなら斬撃ではなく……打撃だ。 煌蠍の籠手 ( ギルタ・ブリル ) を装備し、必殺の超過機構を……あ、魔力チャージしてねぇわ。

「やってやRaaaaaaaaaaaAAAAAAA!!!」

パラベラム・ルーティーン! 規定ポーズと同時に封雷の撃鉄・災を発動! 連結スキル「 爆心奔流 ( ニトロ・フロー ) 」「 旅終わるまで ( ネヴァーエンド ) 」「 降誕拳圧 《 カウントダウンバースト 》 」連続起動!!

左ジャブ!左ジャブ! 左ジャブ!!

墜落の衝撃で甲殻のヒビが全身に回ったサイボーグカブトの体躯にジャブを叩き込んでいく。どうやら翅がひしゃげて空を飛ぶことは叶わないらしい。

辺りを見回せば周囲に奇妙な空白が出来ている、蜘蛛も百足もうざったいカブトムシが墜落した時点でそのヘイトをいつも通りの状態……即ち不倶戴天の相手との血で血を洗ういつもの戦争状態だ。そして蠍達も領空侵犯していたサイボーグカブトが消えた事で下界への興味を失ったらしい。

奴の巨体は身動ぎするだけでも俺を吹き飛ばしかねないが、この手のモンスターとノーダメで戦うコツはステップを入れる事だ。ワンツーワンツー、前後左右にステップを踏みつつ殴るのはまるでボクシングのようだ。だがあながち間違いでもないのかな?

つまり……タイマンだコラァ!!!!

「KO狙いDa!!」

しつこいくらいに左ジャブ、降誕拳圧は左で積み立てた力は必殺の右手に収束する。左利きプレイヤーへの配慮とかあるんだろうか? 知った事じゃないがな。

そしてこれは個人的意見だが……蜘蛛、蜂、蝶、百足、蟻、飛蝗、蟷螂。虫型モンスターのタイプは数あれど、カブトクワガタに代表される甲虫型モンスターは絶望的に小回りが利かない。

真正面から自分よりも大きい相手に挑む分には重装甲と怪力が輝くが、自分よりも小さくすばしっこい相手にはメリットが全て「鈍重」に変換されるが故にめっぽう弱いのだ。

だからこそこんなにも容易く左拳による積み立てが叶う。もう数センチは幅のある大きなヒビを、甲殻の下にある恐るべき筋繊維で崩壊に至らんとする己が身を無理やり縫い止めながら戦い続けているサイボーグカブトの姿に生まれてから何秒だとかは最早関係ない。

俺はこいつを地下から地上に出した時点で常に逃亡の可能性を考えていた、羽化したばかりのモンスターが生存を優先することは十分に考えられた。

エクゾーディナリー発見というウィンドウが出た時点で最後まで戦えるかも、という打算がなかったとは言わないがそれでも逃げられる可能性はあった。

「敢 toう ( 闘 ) 精神は褒meておくぜ……だが!!」

勝つのは俺だ、ゲーマーはゲームをクリアするものだ、フルプライスを積むなんてとんでもない! GH:Cはノーカウントで。

積み立てられたチャージは右腕に収束する、カウントされた左が右に宿る 気流 ( ダウンバースト ) を補強する。威力上等、頭を動かして角をスイングする程度でこの俺を止められると思ったか? バカ言え、旋回性能がゴミすぎるんだよジャンプで回避できるわ。

残り時間はもう残されていない、五分間のうちの四分三十秒が経過した……あと三十秒で俺はハイパーローテンションモードになってしまう。ならばここで決める、粉砕してやるぜFM'sクリサリス!!

「最終ラ un ( ウン ) ドだ!!」

飛行戦はもう望めない、それを悟ったFM'sクリサリスは後脚と比べると戦闘用に発達した前脚を駆使して俺を狙うが、FM'sクリサリスの全能力は悲しい程に対小型に向いていない。

突き出された前脚を踏みつけ、あまつさえその上を通路代わりにして奴の顔面前まで肉薄した俺は右拳を振りかぶる。右手から発せられるスキルエフェクトは既に次の一撃が尋常ならざるものであることを示している、FM'sクリサリスが攻撃のための「動」ではなく防御のための「静」に固まり、拳が甲殻に叩き込まれて……

ゴンッ

悪いな、フィニッシュブローはこっちじゃない。

クリティカル・レイズ起動、積み立てた貯金をさらに賭け皿に載せ、狙うは一点張りの大当たり!!

爆心奔流と封雷の撃鉄・災のデメリットで体力が10%を切る瞬間に 死戦上足踏 ( デッドホライゾン ) 起動、そしてこっちが 真の切り札 ( フィニッシュブロー ) …… 百秀の神腕 ( サウィルダーナハ ) だ!!

機動力を拡張するスキルの数々が俺の身体をFM'sクリサリスの攻撃から回避させ、狙いの場所へと至らせる。あまり損傷のない顔を殴ったって意味などない、狙うは奴の身体の中で最も損傷が激しい表胸部だ。

残り時間五秒、ここで終われやFM'sクリサリス!!

空中ジャンプの応用、天地逆転ながら虚空を足場に積み立て、賭け、そして倍増した威力を更に補強した拳を渾身の力で叩きつける。これが最後のひと押し、スキル「 星幽界導線 ( アストラルライン ) 」起動。

この目が見る導きに従うままに叩き込んだ拳。一瞬、ゲームがフリーズしたのかと思える思考の空白……だが、それは直後に炸裂したインパクトによって塗り潰されていく。

先ほどのスカった打撃音とは比べるのもおこがましい衝撃がFM'sクリサリスの全身を這う亀裂を致命的なものになるまで砕き割れて……そして、奴の身体から力が抜けるのと同時に俺の身体を覆う赤い外殻もまた弾けるように飛び散り消えた。

「て、テンカウントは不要だぜ……」

一撃ノックアウト、俺の勝ちだ。

おさらいも兼ねてサンラク、スキルフル活用の巻