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SS:釣り

デスマーチからはじまる異世界狂想曲( Web版 ) — ncode.syosetu.com · All chapters

SS:釣り

※1/2 誤字修正しました。

「何を作っているのです?」

「むし~?」

道具を作っていたオレの手元を、左右からポチとタマが覗き込んでいる。

「これはフライだよ」

「けむし~?」

「虫じゃないのです?」

「虫のフリをして魚を釣り上げる疑似餌だよ」

よく分かっていないのだろうが、ポチとタマは「なるほど~」「なのです」と腕を組んでうんうんと頷いている。

ちょうど完成したので、2人を連れて近くの水場に行く。

このボルエナンの森に限らず、こちらの世界の水場には魚が多い。居なかったのはムーノ男爵領くらいだ。

竿のガイドはともかく、リールを作るのが面倒だったので、釣り道具は1セットだけだ。竿を前後に振ってフライの勢いを付けて目標の場所にキャストする。

好奇心旺盛な魚が多いのか、フライが着水するや否や大魚が食いついた。

「いれぐい~?」

「しゅ、しゅごいのです! もう釣れたのです。フライの人は名人なのです」

のんびりな口調で喜ぶタマと、興奮しすぎて噛みながら手をブンブン振り回すポチが対照的だ。

今度は、普通に竿の長さの糸に調整して、水面でフライを落としてみる。少し間をおいて、さっきと同じ大きな口のマスっぽい魚が喰らい付いた。それにしても50センチ級がこんなに簡単に釣れるとは、入れ食いにもほどがある。

3分だけポチとタマに待ってもらって、即席で釣竿2本と疑似餌を2個作って2人に渡した。

「さあ、やってごらん」

「ばくちょ~?」

「がんばるのです!」

竿を振り回したポチが針を木の枝に引っ掛けたり、大物過ぎる巨大魚を釣ってしまったタマが池に引きずりこまれそうになったりと、ささやかなハプニングを挟みつつ、夕方までに100匹以上の大漁になってしまった。生簀に入りきらない分は逃がしたのだが、それでも溢れそうだ。

「さかなまつり~?」

「今日は魚なのです?」

「魚は泥吐きをさせてからにしよう。今日は、悪いけどいつものクジラ肉を使った料理にしよう」

確かに美味しいけど、ちょっと飽きてきたんだよね。

「問題ないのです! クジラ肉はチーオドルくらい好きなのです!」

「からあげ~? カツ?」

揚げ物も続いているし、ステーキも昨日したしね。ちょっと野菜を取りたいから別の料理がいいかな。

「そうだね、ハンバーグにはあんまり合わなかったから、すき焼きにするかい?」

「ハンバーグ先生は万能なのです!」

「すきやきすき~」

「もちろん、すき焼き大明神も大好きなのです」

そういう事で、夕食はすき焼きになった。

今日の魚は数日後に煮魚にしてみた。小骨の多さにポチが泣きそうになっていたが、ルルが根気良く小骨の取り方をレクチャーしていたので、残さず食べてくれた。

さて、明日は何をしよう?

※2013/09/20 の活動報告に掲載したSSの再収録です。