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幕間:忍者タマの冒険

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幕間:忍者タマの冒険

※サトゥー視点ではありません。(タマ視点)

※2/11 誤字修正しました。

ご主人様の作ってくれたピンクの忍者服を鏡の前で確認。

うん、かわい~

ポチに見せびらかそうとしたけど、どこにも居なかった。

朝早くに遊びにいっちゃったらしい~

「タマちゃん、これ今日のお弁当とオヤツよ」

「さんきゅ~ばりま~」

うれしくて、楽しみで、ルルの作ってくれたお弁当セットを頭上に掲げてくるくると回転する。

きっと今日もいい日にゃん。

◇

今日も街をぱとろーる。

だって、忍者は闇に生きるサダメだから、街の平和を陰から見守るの。

あ、トンボだ!

小川のそばに飛んでるトンボの横をピョンピョンと追いかける。

洗濯してるおばちゃんや、赤ちゃんを抱いたおね~さんに手を振る。

みんな楽しそうに振り返してくれた。

あれ? 忍者は見えないはずなのに。

ま、いいか~

あ、オジサンが苛められてる!

まってて~ 忍者タマ、ただいまさんっじょ~。

◇

「待ってくれ! それを持っていかれたら商売が立ち行かないんだ!」

「奴隷商に身売りすればいいだろう?」

「お父さん! 助けて!」

「ああ、娘は許してくれ!」

え~っと、こっちのチンピラの人が悪い人?

むずかし~?

「はん! 今日は調理道具と娘だけで許してやるぜ!」

「そんな、借金は銀貨1枚だけのはず!」

「利息ってもんがあるんだよ! 今じゃ金貨100枚だ!」

「そんな暴利にもほどがある!」

金貨? にゅ~ん?

今朝、ご主人様に1枚貰ったけど足りないね。

あ、オジサンが棒で叩かれ始めた。

お姉さんが泣いてる!

泣かすのは、だめっ!

「テンシルー! チシルー! ミラクルン! 謎の忍者タマ参上!」

そうだ、ここは忍術で!

「にんぽー、う ち ( ・ ) せみのじゅつ~」

気絶させたチンピラの人たちと、服を着せた丸太と交換しちゃう。

丸太は残して、チンピラの人達と一緒に屋根の上へ、じゃ~んぷ。

えっと、素早く縛ったチンピラの人達は、路地裏に捨てちゃえ。

くるくる~っとまわして、ポイっと。

「え? 強欲狐の人たちがいない?」

驚くお姉さんの横に、密かに着地。

「あく、そく、ザザーン!」

勝利のポーズで、勝ち誇る。

お姉さんが口を開いたまま固まってる。虫が入るよ?

「たいじした~でゴザル」

「あ、ありがとう」

「どういたし あ ( ・ ) して~、ニンニン」

後ろのオジサンは、そのままでいいの?

コテンと首を倒してオジサンの方をみたら、ようやくお姉さんがオジサンの事に気が付いたみたい。

「そうだわ! お父さん、しっかりして!」

「これ、のませるる~でゴザル」

怪我にはポーションが一番だよ?

ご主人様のくれたポーションを飲ませたら驚いてた。

◇

蔦の館の近くの公園で、お昼。

う~ん、ここは緑一杯でとっても好き。

ご主人様の膝の上の次くらい。

耳短兎でもいたら追いかけっこして遊ぶのに。

あり? 誰か来た。

人形を地面に置いて、タマは木の上に移動しちゃう。

だって、忍者だから。

「見つけたぞ! お前だな! 三代目をボコったヤツぁ」

「へいへい、どうした? 怖くて振り向く事もできないんじゃねぇか?」

「ぎゃははは~、俺達は、泣く子も逃げ出す強欲狐一家だからな!」

えっと、脂肪ふらぐ? ダイエットは大変だよ?

チンピラの人たちが、人形に剣を突きつけて大声で喋ってる。

そろそろ気付こう?

なかなか出番がこなくて、ちょっと、おこ。

「なんだ、こりゃ? 人形じゃねぇか!」

「くそっ、もう逃げられたか!」

あ、キョロキョロしてる。

木の上も見てるけど、タマに気が付かない。だって忍者は見えないの。

そろそろ、風車で割り込む時!

ポシェットから取り出した風車を、チンピラの足元に投げる。

えいっ。

「うわっ、兄貴! 兄貴がぁ!」

あれ?

チンピラの人たちが風車の下敷きになっちゃった。

おかし~、アリサがこういうときは、風車って言ってたのに。

「どうして、こんな場所に 風車 ( ふうしゃ ) が!」

「おい、生きてるか?」

カザグルマとフーシャって違ったっけ?

証拠隠滅~?

蛇腹剣で、しゅっと回収してポーチにしまう。

「あ、あんな場所に桃色のヤツが!」

「おい、兄貴を担いで逃げるぞ!」

あ、逃げ出した。

追いかけなきゃ! だって、逃げるんだもん!

◇

チンピラの人を追いかけてる時に貰ったオイモを、食べながら陰から陰へ飛び移る。

このオイモおいしい。半分はポチへのお土産にしよう。

全部食べちゃいそうだから、オイモの残りを包んでポーチにしまっちゃう。

「親分! 桃色のバケモノが襲ってきやがったぞ!」

「なんだと! 先生を呼んでこい」

「へいっ」

ナタや骨棍棒を構えたチンピラの人たちを、ちぎっては投げ、ちぎっては投げる。

大怪我させないように注意するのがタイヘン。

「なんて、強さだ」

「先生はまだか!」

あと2人。

さっきから大声で命令するだけで、何もしないヒゲのオジサンと、痩せたオジサン。

「もう、まだ肉串を食べてる途中だったのです! ぷんぷんなのです」

奥から羽織袴のサムライがでてきた!

サムライといえば忍者のらいばる!

頭巾の隙間から見える顔がポチに似てるけど、センセイなんて名前じゃないから別人。

「正義の用心棒、遊び人のキンさんなのです!」

「なぞの忍者~?」

その正体は謎なの。

キンさんが日本刀を抜いて構えてる。

「円月さっぽーなのです!」

「木の葉おとし~?」

きゅいんと飛んでくる赤い魔刃砲の輪っかを、両手の忍者刀で斬り裂いちゃう。3つのうち避けた2つが、後ろに飛んでいって壁を壊しちゃった。怒られるよ?

ポチやリザみたいに魔刃砲を使うなんて、キンさんは強い。

「こっちのばん~?」

分身の術で、3人に分かれて三方から襲い掛かっちゃう。

「すごいのです! さすがは忍者なのです!」

むむぅ、ポチの瞬動みたいに凄い速さで、分身に襲ってくる。

はんそく~?

「三人なら三倍速で攻撃すればいいのです!」

「こんどはりったいきど~?」

天井も使って、手裏剣乱れ撃ち。

たまに天井に掴まって、ふぇいんとを混ぜちゃう。

「当たらなければどうという事はないのです!」

全部、日本刀で弾かれちゃった。

すごい、すごい! ポチ以外にも、こんなに強い子がいるなんて。

後でポチに教えてあげよう。

「次で決めるのです!」

「こっちも、ひっしょうわざ~?」

必ず殺すと書いて必殺。

ぜったい殺さないようにするときは、必生。アリサが言ってた。

「 魔刃突貫 ( ヴォーパル・ランス ) !」

「 魔刃双牙 ( バンキッシュ・ファング ) 」

全身が真っ赤に光ったサムライが、必殺技の名前を叫んでる。

お約束がよくわかってる~

◇

「はい、そこまで」

あれ?

軽々と掴みあげられちゃった。

くりんと見上げると、ご主人様がいた。

「ごしゅじん~?」

「ご主人様なのです!」

あれれ?

忍者装束の頭巾を外して、キンさんの方を向く。

向こうも同じように頭巾を外した。

「ぽちー!」

「タマなのです!」

どうりで強いはず、にゃん。

ご主人様の後ろからやってきた人たちが、チンピラの人たちを縛っていく。

「それじゃ、隊長さん、この人たちの始末をよろしく」

「はい、士爵様」

衛兵の隊長さんだ!

この人は良く出店でお肉を奢ってくれるイイ人。

ご主人様に抱えられたまま、シュピッのポーズでご挨拶。

「どうして、ワシらが捕縛されるんだ!」

「お前達の所業は、すべて侯爵様の諜報班が調査済みだ。おまけに魔人薬の製造に必要な機材の密輸にかかわっていた以上、反逆罪が適用される。申し開きができると思うな」

むずかし~、説明はもっとみじかく!

ポチにさっきのオイモをあげながら、今日の活躍をご主人様とポチに話してあげた。