LNCrawler

SS:ルルの包丁

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SS:ルルの包丁

※サトゥー視点ではありません(ルル視点)

再掲載です。

今日はご主人様と海上デートです。

船が海面の少し上を飛んでいますけど、細かい事はいいじゃないですか。

だって、2人きりのデートなんですから。

「ルル、見えたよ。アレが目印だ」

「あれですか?」

ご主人様の指差す方向にいるのは、海鳥達です。

たしか、今日はマグロという魚を獲りに来たはずなのですが、鳥に変えるのでしょうか?

「うん、あの鳥の狙っている小魚を、マグロが追いかけているはずなんだ」

「はい、ご主人さま!」

さすが、ご主人さま。凄い、です。

アリサが、ご主人さまを称賛する時は「凄い」の後にタメを入れるのが「お約束」だと言っていました。でも、少し恥ずかしくて、声に出して言う時は普通に話してしまいます。

「ご主人さま、マグロって美味しいんですか?」

「もちろん! 特に大トロはね、食べると、こう口の中で溶けるんだ! ああ、どう言葉にすればいいんだろう! 一度食べたら、ルルにも分かるよ。最上級の霜降り牛肉と比べても甲乙付けがたいくらいなんだ! まさに鯨と双璧を成す海の王者だね」

ご主人様の饒舌な言葉に、コクコクと頷く事しかできませんでした。

だって、ご主人様が、ハンバーグの事を語るポチちゃんみたいで可愛くて。ああ、鼻血が出そうです。たまに、アリサがご主人様を見て、ニマニマしている気持ちがよく分かります。普段は落ち着いていて紳士なのに、好きなことをしているご主人さまって、どこか可愛いんです。ヒミツですけどね。

「ほら、海の中を見てご覧、あれがマグロ……だよ?」

「はい!」

どうして、ご主人様は疑問形なんでしょう?

小首を傾げるご主人様が素敵です。そう、アリサ風に言うなら「れあ」です。

海を裂いてマグロが空を飛んで、海鳥を食べています。

さすが、海の王者だけあります。

リザさんへのお土産に、数羽獲って帰りたかったんですが、あの様子じゃ全部食べられてしまいそう。

空を飛んでいたマグロが、こちらに向かってきました。

自ら調理されに来るなんて、なんて潔いのでしょう。

私は、妖精の鞄から、昨晩ご主人様に作ってもらった、黄金色の大包丁「マグロスレイヤー」を抜きます。リザさん達のように魔刃を使う事はまだできないですけど、魔力を通すくらいはできます。青く輝きを放つ全長2メートルの巨大な包丁を肩に載せて構えて、襲ってきたマグロを一刀両断で真っ二つにしました。さすが「おりはるこん」の包丁です。素晴らしい切れ味ですね。

どうしたんでしょう? ご主人さまの笑顔が固いです。

連日の剣造りで疲れが溜まっているのでしょうか?

今日は、ご主人様の楽しみにしていたマグロ尽くしを堪能してもらいましょう。

マグロの兜煮に炙り焼き、それからお刺身。中でもマグロのお寿司は、とっても喜んでもらえました。

アリサなんて泣きながら食べていました。

よっぽど好きだったんですね。

ご主人様が食べ終わった後に、「美味しかったよ、ルル」って言ってくれたのが、最高のご褒美です。マグロは沢山獲れたので、今度は「ネギトロ」と「漬け」を食べてもらおうかな。ご主人さまから頂いたレシピ集は、「くいず」のように所々抜けているので、ちゃんと完成させるまでが色々楽しいです。

えへへ~、お母さんも言ってました。

「男の人は、胃袋からだよ」って。

明日も頑張りましょう!

「10-39~40.修行」あたりのお話です。

※活動報告 2013/11/13 に掲載したものと同じです。