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SS:タマと悪者退治

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SS:タマと悪者退治

※ちょっとだけ未来(13章中)のお話です

※年末年始特別号です。

「夜のお散歩~?」

お出かけするご主人様を見つけたので、緊急タイホなの。

だって、アリサとミーアに頼まれてるから。

「ああ、見つかっちゃったか。皆には内緒だよ?」

「あい」

ご主人様に 翼靴 ( ウィングブーツ ) を穿かせてもらって一緒にお出かけ。

ミーアやアリサは「ご主人様が一人で出かけようとしたら捕まえて」って言ってた。

でも、今はタマと一緒だから、大丈夫。

――大丈夫だよね?

隣のお屋敷の天辺から、ぴょ~んと飛んで出発!

ご主人様の黒いマントが風に揺れて楽しそう。白い仮面も笑ってる。

タマは上手く飛べないから、ご主人様にだっこしてもらう。

「どこまで~?」

「もうすぐ――ほら、あそこだよ」

ストンと尖塔の天辺に着地。

マントは風に揺れてるのに、ご主人様はぴくりとも揺れない。

――さすが、なの。

「ほら、あの悪者を退治するんだよ」

「悪者~?」

ご主人様の指差す方を見ると、黒ずくめ達が武器を持って路地裏に潜んでる。

「ウチの従業員の実家を襲ったらしいんだ――って、そんな話は後だ」

ご主人様がタマを顔の前に持ってくる。

見つめられると、恥ずかしい、にゃん。

「いいかい、あいつらは迷宮の魔物より遥かに弱いから、手加減を忘れずにね」

「あいっ!」

シュタッのポーズでお返事。

「さあ、忍者の時間を始めよう」

ご主人様の言葉に、コクリと頷く。

だって、ニンジャは喋らないから。

ご主人様がタマを抱えたまま黒ずくめ達の正面に着地する。

「なんだ、キサマらは!」

「お前達の敵さ」

着地と同時にタマは影に潜む。

「なんだ? ピンクの塊が消えたぞ?」

「それより、こっちの怪しい仮面を殺せ!」

「「「応!」」」

黒ずくめ達が、一斉にご主人様に襲い掛かる。

タマは助けに行かない。

だって、必要ないから。

――しゅごい!

ご主人様が6人に増えて、6方向から襲ってくる黒ずくめ達を攻撃してる!

みんな剣を振り下ろすヒマもなく、打ち倒されて地面に転がった。

タマも覚えなきゃ!

だって、ニンジャだから。

◇

見とれてばかりじゃ、叱られちゃう。タマも仕事をしなきゃ――。

「向こうが騒がしいな」

「衛兵に見つかったのかもな」

「オレ達だけでも、さっさと奪って、殺して、逃げようぜ」

「だな」

悪者発見。

しゅりけん、しゅっ、しゅっ、しゅ~?

――あれ?

「ふん、なかなかやるようだが、元赤鉄の俺様には通じないぜ?」

手加減しすぎちゃった。

オジサンが大斧で襲い掛かってきた。

居合い一閃なの。

ニンジャトーをしゅぱんと抜いてシュシュッと振ると、斧なんて真っ二つ。

「うぉ、なんだ? 赤い刃が飛んできた?」

うにゅ、魔刃砲が出ちゃった。

――あっ、ご主人様が向こうで魔刃砲をキャッチしてくれてる。

タマは手を振ってご主人様にありがと、ってする。

あれ? でも、さっきまで向こうで戦ってたのに?

振り向くと、そっちでもご主人様が戦っていた。

残像! アリサが魔王ごっこでよくやってる「それは残像だ!」にゃん!

さすがはタマのご主人様。

「魔法の武器か。この卑怯者め!」

オジサンがぷんぷんって怒ってる。

卑怯じゃないもの。

それに卑怯って言った方が卑怯なの。

だって、ニンジャは正義のミカタ、だから。

タマも、残像、するっ。

「くっ、瞬動か!」

オジサンの斧をクナイで受け止めながら、距離を取る。

う~ん、ちょっと違う。

オジサンが短剣を投げてきたのをひょいひょいと避けながら、向こうで戦うご主人様をよく見る。

う~ん、難しい。

ちょっと動いて、ぎゅん、って動くのかな~?

「ちっ、簡単に避けやがって、これなら、どうだ! 『炎よ』」

オジサンが火石の付いた短い杖をこっちに向けてきた。

小さな火の弾が飛んでくる。

無駄にゃん。

これは、ここを、斬・れ・ば――解決っ。

「なんだとぉ! こいつ魔法を切りやがった!」

今度は、タマの番。

ちょっと動いて、ぎゅん、って動く。

「な、増えた、だと?!」

成功したみたい。

でも、勢い余ってオジサンのお腹にぶつかっちゃった。

口から血を吐いて死にそうなオジサンに、ご主人様が回復魔法を掛けてくれた。

ご主人様、ありがとなの。

「タマも倒し終わったみたいだね。衛兵の人達も来たみたいだし、こいつらを引き渡したら帰ろうか」

「あい!」

ご主人様が、えーへーの人に悪者を渡した後、お屋敷に帰る。

途中で変装を解いて「ぴーぷー」って鳴るお店に寄って「ヨナキソバ」を食べた。

「まさかラーメンの屋台があるなんてね」

「美味しい~」

今度はポチや皆も一緒に「ヨナキソバ」を食べに来たい。

「そうだね、今度はポチ達も連れて食べに来ようか」

「あい!」

だから、ご主人様の言葉が嬉しくて、シュタッのポーズで元気良くそう答えた。

年越しそばネタのふりをしたラーメン屋台でした。

本年も「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」をご愛顧頂きましてありがとうございます!

来年もWEB版および書籍版ともによろしくお願いいたします。

2014.12.31 愛七ひろ

※2015/4/5 下記のような指摘がありました。

後日、この幕間を修正して10章に持っていくかもしれません。

>第十章の幕間:忍者タマの冒険で三人に分身してるんですけど……