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16-49.ザイクーオンの試練(4)

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16-49.ザイクーオンの試練(4)

※「16-48.ザイクーオンの試練(3)」の後半の流れが変わっています。未読な方はご注意ください。

※2018/5/28 誤字修正しました。

※2018/5/29 一部追加しました。

サトゥーです。若い頃の純粋な恋心というのは得てして愚かに映りますが、変に斜に構えてそれを馬鹿にするよりは、心の赴くままに恋の道を邁進する方が素敵だと思うのです。

◇

「――ぐNZUヌ」

少し剣で戦ってみたが、最初に戦った近接型の使徒とさほど変わらない感じだった。

リザ達とくらべると攻撃の重さや速度が上だが、戦い方がイマイチなので、うちの前衛陣と戦った時ほど苦労はしない。

たぶん、「黄金の猪王」くらいの魔王ならプチッと潰してしまいそうな感じだ。

『剣士様ぁああああ!』

『あいつ誰だ?』

『すげぇ強ぇええぞ!』

神殿騎士に向いていた歓声が、オレを称えるモノに変わってきた。

『出ると負けのザイクーオン神殿は、今年も負けか』

『しゃーないって、ザイクーオンだもん』

『あいつらに賭けるんじゃなかったぜ』

『バカだな。神様が復活しても、ザイクーオン神殿のヤツらなんてカスばっかりだぜ』

『ちげぇねぇ』

聞き耳スキルが色々な声を拾ってくる。

中には『負けるな聖戦士!』みたいな神殿騎士を応援する叫びもあったが、ほとんどはそんな感じの罵声や侮蔑の言葉だった。他人事だけど、ちょっと不快だ。

「おのれぇエ!」

神殿騎士が「 征遠弓士 ( ヴァンキッシュ・アーチャー ) 」で作り出した矢の雨を放つ。

オレはその矢が後ろに逸れないように、魔刃を纏わせた魔剣で斬り飛ばしていく。

一発だけあらぬ方向に飛んでいた矢が、外縁の透明な壁に当たって砕けた。

歓声と一緒に罵声や侮蔑の言葉が悲鳴に変わる。

それを見た神殿騎士が昏い笑みを浮かべた。

どうやら、さっきの心ない言葉は神殿騎士にも届いていたらしい。

「ぬぅおおおOおおおオ」

怒りの咆哮を上げ突撃してきた神殿騎士を、回し蹴りで蹴飛ばす。

ザイクーオン神の介入もないので、そろそろ終わりにしたいのだが、今までの試練の傾向からして、神への信仰が減る状況はマズイはずだ。

神殿騎士に花を持たせる流れで戦ってから、引き分けあるいは辛勝くらいでいこう。

あんまり長引いたら、神殿騎士の身体や魂がヤバイし、サクサク進行しないとね。

この時はそんな風に考えていたのだが――。

「ぐぬぬぬ――NぬぅおおおOおおおおOOおおお」

神殿騎士が天に向けて叫びを上げる。

彼の周りにハリネズミの針を思わせるほどたくさんの光の矢が生み出された。

ロボットアニメのミサイル攻撃を彷彿とさせる軌道で光の矢が放たれ、外縁部の透明な壁に激突して光と轟音、そして会場の人々の悲鳴や怒号を誘う。

闘技場の観客席を守っていた透明な壁が、ガラスのような薄片を散らしながら崩れていく。

半数の矢がオレやオレが後ろに庇う巌の巫女やルスス達に向かって飛んできたが、それらは全て魔剣で斬り飛ばした。

「何をやっているのやら……」

さっきの客席の暴言にムカついたんだろうけどさ。

こんな事をしたら、ザイクーオン神への信仰が増えるどころか、排斥が起きても不思議じゃない。

現在の主導権はザイクーオン神じゃなくて神殿騎士にありそうだし、きっと感情のままに力を振るってしまったのだろう。

「ぬははHYAははハ」

続く第三弾は先ほどよりも少なかったが、今度は全て客席に向かっている。

――させないよ?

オレは「 自在盾 《 フレキシブル・シールド 》 」の魔法を詠唱しつつ、魔剣から放った魔刃砲で矢を撃墜していく。

征遠弓士の能力で作られた矢は、オレの魔刃砲を回避しようとするが、オレも魔刃砲を誘導してそれに対処する。

その内の一発が、魔刃砲を回避して客席へと飛び込んだ。

客席で爆発が起こる。

赤い光が舞い、爆発の煙を吹き飛ばした。

「ご主人様! こちらはお任せください!」

リザだ。

観客席にいたリザが、矢を撃墜してくれたようだ。

「あたしらも手伝うよ」

「サトゥー、あの子の手伝いは任せな」

魔法薬で治療を終えたルススとフィフィだ。

「お願いします。できれば観客の避難誘導のついでに巫女殿もお願いできますか?」

「ああ、任せろ」

こっそりとフォートレス系の魔法道具で守っていたから大丈夫だと思うけど、彼女を庇いながらだと手加減しつつ戦うのが大変なんだよね。

巌の巫女を連れて観客席へと移動する二人を見送り、オレは小康状態になっている神殿騎士の方へと足を向けた。

「ザイクーオン神は無辜の民を傷付けるのを是とされるのですか?」

オレは神殿騎士に近付きながら問いかける。

「偉大なるザイクーオン神を貶す不信心者には当然の誅伐ダ!」

やっぱり、さっきの攻撃は観客を狙ったものだったようだ。

「――セヌマ」

観客席の方から、巌の巫女の声が聞こえた。

まずいタイミングで目覚めてしまったようだ。

◇

「ウルSZAIイ」

神殿騎士が不快そうに吐き捨て、巫女のいる方に光の矢を放った。

その矢は近くにいたルススとフィフィが叩き落としたが、仲間からの攻撃を受けて巌の巫女はショックを隠せないようだ。

「ど、どうして――」

「キサマのYOUWな足手まとイなど、もはや不YOUW」

神殿騎士の呂律が本格的に怪しくなってきた。

彼の額に新たに現れた黄色い結晶が、角のように伸び始めている。

とりあえず、ザイクーオン神への信仰心は諦めて、神殿騎士の症状がこれ以上進行しないように無力化するとしよう。

「行くぞ――」

「くぉWIII」

光の矢の雨をかいくぐり、闘技場を二つに割る斬撃を紙一重で受け流す。

土煙が追いつくより早く神殿騎士の懐に飛び込み、寸打を打ち込んだ。

彼の防壁が砕ける感触を掌に感じる。

術理魔法の「 魔力強奪 ( マナ・ドレイン ) 」で神殿騎士から魔力を奪う。

それに少し遅れて、掌が神殿騎士の腹に触れた。

「――ハァッ」

防御壁に軽く手を当てた状態から、更に体の捻りを加えて抉り込むように力を叩き込む。刹那のうちに打ち込んだ衝撃に、純粋な魔力の塊を追撃で放つ。

迷宮下層の小鬼姫ユイカとの戦いで覚えた魔力撃スキルだ。

静かな一撃を受けた神殿騎士がガクガクとその場で痙攣し、朽ち木のように倒れ伏した。

拉致スキルを併用したので死んでいないとは思うが、ヤバイ感じの倒れ方だ。

「セヌマぁあああああ!」

同じ事を思ったのか、巌の巫女が神殿騎士の名を呼ぶ。

ころころとサークレットが足下に転がってくる。

神殿騎士が兜の下に付けていたザイクーオン神の神器だ。

なんとはなしに神器を拾い上げ、神殿騎士の傍に歩み寄る。

神殿騎士の指がぴくりと動くのが見えた。

「――私は、――俺はザイ、クーオン神の聖戦SWII」

掠れた声を聞き耳スキルが拾ってきた。

ユニークスキルのお陰か、彼はまだ意識を保っているようだ。

「いや――違ウ。……俺は。僕はシト、神の使徒セヌMUAWAAAA」

黄色い光が神殿騎士の体表を流れる。

「そこまでだ」

オレは暴走の予兆を潰すべく、神殿騎士の鳩尾を踏みつけて呼吸を止め、ダメ押しに顎を蹴って脳震盪を誘う。

これで無理なら、蹴り技のついでに無詠唱で麻痺系の魔法を叩き込むとしよう。

そんな風に気楽に構えていたオレの前で、予想外の事が起こった。

◇

「セヌマぁあああああ!」

爆発音 ( ・・・ ) と巌の巫女の悲鳴が、 人気 ( ひとけ ) のなくなった闘技場に響く。

爆発音と共に広がった黄色い煙の向こうから、黄色い光を帯びた白い破片が飛び散る。

それを防ぐ為に無詠唱で出した 自在盾 《 フレキシブル・シールド 》 を、白い破片が 通過して ( ・・・・ ) 飛んできた。

オレは驚きつつも、軽いステップで白い破片を避ける。

「――何が?」

「セヌマという神殿騎士が破裂したようです」

「破裂? サトゥーの攻撃か?」

「いいえ、違います。ご主人様の攻撃は神殿騎士を無傷で無力化する為のものですから」

ルススやフィフィの問いにリザが答えている。

やがて、白い煙が晴れる。

――げっ。

「セ、ヌマ……」

巌の巫女が絶句する。

三つに分かれた立方体が宙に浮かび、その全ての平面に神殿騎士の顔が浮かんでいた。

幾つもの小さな立方体がそれらの周りを衛星のように巡っている。

さすがにこれは予想外すぎる。

――ZWAEEEE。

――ZWAEEEE。

――ZWAEEEE。

使徒達のような硬質の異音が響き、立方体から黄色い光が溢れる。

それぞれが一つずつ「神の欠片」を内包しているらしく、「 無敵戦士 ( チャンピオン ) 」「 至高術士 ( グレート・キャスター ) 」「 征遠弓士 ( ヴァンキッシュ・アーチャー ) 」の効果を帯びていく。

全ての平面に神殿騎士の顔を映したまま、立方体が幾何学的な変形をして形を変えていき、最終的にポリゴン数の少ない人型のような形へと変わった。

一度、全ての顔が消滅し、少し間をおいて、三角錐のような頭部に新たに神殿騎士の顔が浮かんだ。

「セヌマ、どうして……」

巌の巫女がとめどなく涙を流しながら、ぼうぜんと呟いた。

さて、倒すのは簡単だけど、どうしたものやら……。

◇

「サトゥー! 三対一じゃ辛いだろ?」

「あたし達も加勢するぜ――」

闘技場へと飛び込もうとしたルススとフィフィに小さな立方体達が襲いかかり、彼女達をそこに止めおく。

「なんだこいつら?」

「剣をすり抜けやがる」

どうやら、あの小さな立方体達も使徒本体と同様に、半物質的な 不死性 ( イモータリティー ) を持っているようだ。

よそ見するオレの隙を狙って、至高術士の使徒が神聖魔法で作り出した電柱サイズの聖なる槍を幾本も放ち、タイミングを合わせた征遠弓士の使徒が光の矢をマシンガンもかくやという速さで連射する。

オレは「 魔法破壊 ( ブレイク・マジック ) 」で魔法を消しつつ、高速の斬撃で光の矢を斬り飛ばしていく。

「――<開け>」

眼前に迫る無敵戦士の使徒に、アイテムボックスから取り出した白剣で対応する。

手加減した初撃を受け流して体勢の崩れた無敵戦士の背を蹴飛ばし、オレはその反動で後衛の二使徒に迫る。

――ZWAEEEE。

――ZWAEEEE。

至高術士の使徒が慌てて神聖魔法で防御を固めるが、もう遅い。

オレは「 魔法破壊 ( ブレイク・マジック ) 」で防御魔法を消し、そのまま流れるように白剣で至高術士の使徒を斬り捨てる。

征遠弓士の使徒が距離を取りつつ光の矢を降らせる。

その攻撃を連続する縮地で回避しつつ追撃し、征遠弓士の使徒を両断してみせた。

白い粉となって消える使徒達から、黄色い光の玉が離れる。

いつもなら、神剣で抹殺するのだが、それをするとザイクーオン神に恨まれそうなので、抹殺を保留してその動きを見守る。

――ZWAEEEE。

加速陣を通過した弾丸のような速さで突っ込んできた無敵戦士の使徒を、白剣で牽制しながら投げ飛ばす。

無敵戦士の使徒は黄色い光の玉が狙いのようだ。

「■■■■■■■■ ■■ ■■■■……」

オレはかつて迷宮下層でムクロから教えてもらった「神を封印する」魔法の詠唱を始める。

神剣と違って封印魔法なら、後で解放できるしね。

――ZWAE。

――ZWAEZWAE。

無敵戦士の使徒が手にしていた剣に光を集めて、巨大な剣を構築していく。

どうやら、オレがなんの魔法を唱えようとしているか、向こうも分かったようだ。

巨大な剣を構築しおえた無敵戦士の使徒が、表面に浮かべた神殿騎士の顔を決死の形相に変えて襲ってくる。

オレは詠唱を続けながら、無敵戦士の使徒の猛攻を白剣と魔剣の二刀流で受け流す。

白と赤、そして黄色い火花が飛び散り、詠唱が終わるよりも早く無敵戦士の使徒を幾つもの破片へと変えて無力化してみせた。

◇

戦闘終了の宣言がないので、封印魔法の詠唱を続けつつ、無敵戦士の使徒の残骸を眺める。

破片は地面に転がったままだが、いくつもの表面には鏡に映る影のように神殿騎士の顔が浮かんでいた。

「……ボ、BOWQUUハ、……SAY騎シ」

破片の表面が震えて、声のようなモノが聞こえる。

「セヌマ!」

巌の巫女が駆けてきて、一際大きな破片を胸に抱え上げる。

その破片から白い棘が浮かび上がり、巌の巫女の眉間へと伸びる。

だが、その凶刃が巫女に届く事はない。

「――放しなさい。危険です」

白い槍を手にしたリザが白い棘を迎撃し、巌の巫女が胸に抱いていた破片を白い粉へと変える。

「ご主人様、申し訳ございません。許可も得ずに秘匿武器を使用してしまいました」

「構わないさ」

オレの使う白剣も大概だし。

「ペンドラゴン様、セヌマを、セヌマをお助けください!」

巌の巫女がオレに縋り付いた。

オレとしては、はじけ飛んで使徒に変じた時点で、神殿騎士の命は諦めていたんだけど、知り合いである彼女はまだ諦めきれないようだ。

顔があった破片はリザが潰したけど、既に他の破片全てに新しく神殿騎士の顔が生じていた。

「その為ならば、私の命が果てても構いません」

巌の巫女が懇願する。

「いくらサトゥーでも無理だろ」

「だよなー、サトゥーがどんなに規格外でも、神様じゃないんだしさー」

そう言ったのは、巌の巫女達を追いかけてきたルススとフィフィだ。

まあ、確かに無理なんだけどさ。

――いや、待てよ。

「まさか、なんとかなるのですか?」

オレの表情変化に気付いたリザが、驚きの声を発する。

「本当ですか?! セヌマを助けられるなら、なんでもやります。この身体も命も――いいえ、この魂さえ全て差し出してみせます!」

巌の巫女が力強い瞳を向けてきた。

本当に魂さえ差し出しそうな感じだ。

「では力を貸してください。あなたの助けが必要です」

オレの言葉に巌の巫女が首肯する。

◇

「――全く、神を脅すなんてね」

「信じられない事するよな」

全てが終わった後、ピアロォーク王国を離れる飛空艇の中で、ルススとフィフィからそんな事を言われた。

「脅してなんかいませんよ。ザイクーオン神にお願いしただけです」

二使徒から出てきた「神の欠片」を封印してから、巌の巫女と精神リンクしてザイクーオン神を呼び出してもらい、欠片二つの封印を解く事を条件にして、最後の使徒に残留していた神殿騎士セヌマの魂を、使徒の残骸から作った新しい肉体に戻してもらったのだ。

「まあ、いいんじゃね?」

「神殿騎士が暴れた件も、魔族の仕業にしてザイクーオン神の株が更に落ちる事も無かったわけだし」

ルススとフィフィが肩を竦める。

全てが終わった後に、オレは光魔法で派手な爆発音や閃光を放ってから、闘技場の上空にザイクーオン神の聖印を出現させて、いかにもザイクーオン神が何かした風に演出してから、ザイクーオン神の神器を装備して闘技場の外へ出たのだ。

神殿騎士セヌマの姿を騙った魔族が暴れ、それをザイクーオン神の神託を受けたオレや巌の巫女が退治したという話をでっち上げた。

いかにも聖なる戦士的な甲冑を身に着けてから闘技場の外に出たので、多くの人達が信じてくれたようだ。

まあ、そのフォローが利いたのか、試練はちゃんと成功し、称号欄に「ザイクーオンの証」が増えていた。

他にも「神を欺く者」とか「不遜なる背信者」といった不満そうな称号も増えていたが、試練さえ成功していれば別に構わない。

それにしても――。

セーラが試練前に意味深な事を言っていたので注意していたのだが、今回の試練でザイクーオン神の狙いが何だったのかは、今ひとつ分からなかった。

最初の二つの試合はある程度分かる。

ザイクーオン神が「神の欠片」を付与した使徒と「魔王殺し」であるオレとの力量差を確認したかったように見えたからだ。

でも、最後の試合の前に、オレに「神の欠片」を与えようとした事はよく分からない。

興味本位の実験のようにも思えるし、パリオン神における勇者のように人々の信仰心を集める広告塔にしたかったのではないかとも考えられる。

深い考えがあるのかもしれないが、推理が苦手なオレに思いつくのはこの程度だ。

孤島宮殿に戻ったら、アリサ達にでも意見を聞いてみよう。

「暴動も起きなかったし、いいんじゃね?」

「天罰が落ちて大して経ってないのに、暴動なんて事するバカはいないだろ」

ルススとフィフィがエールを傾けつつ、窓外に目をやる。

「結局、全部の神殿に寄付してきたのか?」

「些少ですが――」

ルススに首肯する。

七つの神殿全て均等に、金貨一〇〇枚分に相当する食料と幾ばくかの貨幣を寄付しておいた。

彼女達の話だと、放置してもサガ帝国が食糧支援してくれるとの事だったが、それまで飢えさせるのもかわいそうだしね。

「それで、本当に寄るのか? 廃墟しかないぞ?」

「ええ、少し気になる事がありまして」

生ハムを美味しそうに食べるフィフィに答える。

「吸血鬼でも生き残ってたら遊べるのにな~」

「それは楽しそうですね」

骨付き肉と戦っていたリザが、次のモモ肉を手に取りながらルススの言葉に賛成した。

オレ達の飛空艇は吸血鬼に滅ぼされたという隣国の都市へと向かっている。

その都市はサガ帝国の軍隊が封鎖しているそうなので、ルススとフィフィをドラグ王国へ送るついでに、通行証代わりをしてもらう予定だ。

この辺りの国々にもエチゴヤ商会を派遣するつもりだし、隠れるのが得意そうな野良の吸血鬼が潜んでいたら危ないので、先に調査しておこうと思ったのだ。

「なあなあ、サトゥー」

「ドラグ王国に行ったメイコが、あの国の守護竜と喧嘩していないか賭けないか?」

ルススとフィフィが満面の笑みで、縁起でも無い事を言い出した。

どうも、この世界は脳筋な女性が多いと思う。

そんな二人を見て、リザが笑みを浮かべた。

「守護竜ですか。私も一度手合わせをお願いしたいですね」

――お前もか、リザ。

※次回更新は 6/3(日) の予定です。

※活動報告に「コラボカフェ」についての記事をアップしてあるので、宜しければご覧下さい。

※2018/5/29 感想欄で「ザイクーオン神の意図が分からない!」という人が散見されたので、「それにしても――」以降を追加しました。