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16-79.サガ帝国、サトゥーの戦い(2)

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16-79.サガ帝国、サトゥーの戦い(2)

※2018/12/20 一部修正しました。

サトゥーです。プレイヤーとしてラスボスと戦う時には、たっぷりとレベルを上げて最強装備で挑む主義です。もっとも、仕事でゲームを作るようになってからは、そこまでレベルを上げる時間が取れなくなっちゃいましたけどね。

◇

「チェックメイトやて? ワイがここで終わるとでも?」

「ああ、もう逃げられない――」

すでに本体にマーカーを付けた。

どんな世界に逃げようと追いかけられる。

ユイカの結界と同種の能力があれば現在位置をごまかせるかもしれないけれど、マーカー位置を記録し続ければ結界に入った場所が分かる。

場所さえ分かれば、どんな結界でも侵入できるオレの不思議能力で追えるはずだ。

「逃げられない、と来よったか――」

華奢なゴブリンの魔王の顔に壮絶な笑みが浮かぶ。

「なめんのも大概にせえよ。これでも狗頭と最強の座を争った大魔王様やで――」

ゴブ王の貧弱な身体がボコボコと脈打ち、筋骨隆々とした巨体へと膨張する。

巨大化と同時にゴブ王が身に付けていた腕輪を外した。

オレが持つ「盗神の装具」と似ている。

それと同時にゴブ王のレベル表示が変わっているのに気付いた。

「レベルが上がった?」

「当たり前や。これは制限ありのアバターやあらへん」

レベル99だったゴブ王のレベルが、今では130まで上がっていた。

どうやら、さっきの腕輪はレベルを99に制限する枷のようなアイテムだったらしい。

ゴブ王がアイテムボックスから取り出した濃紫色の衣装を身に纏う。

その両手には日本刀が、一本ずつ握られていた。

謎金属でできた刃渡り三メートルを超える黒に近い暗紫色の刀身をした日本刀だ。

AR表示によると神骨刀というモノらしい。

あからさまに危ない雰囲気の品なので、聖剣で受けないように注意しよう。

まあ、でも、その前に――。

「≪動くな!≫」

強制 ( ギアス ) スキルを使う。

同時にゴブ王の身体が一瞬だけ暗紫色の燐光を帯び、オレの身体が重くなった。

>「強制」を 抵抗 ( レジスト ) しました。

どうやら、なんらかのユニークスキルで反射されてしまったようだ。

パリオン神国の闇賢者が持っていたような「 反射 ( カウンター ) 」の一種だろう。

これまでは 擬体 ( アバター ) 相手だったから、強制スキルの対応策を用意されないように使用を控えていたのだが、その甲斐も無かったようだ。

「ワイにギアスは効かへんで」

ゴブ王が唇の間から牙を見せながらニヤリと嗤う。

「いくで!」

暗紫光の波紋を身体の表面に纏わせたゴブ王が宣言と同時に消える。

――縮地だ。

そう認識するよりも速く、目の前に現れたゴブ王が神骨刀でオレの首があった場所を薙ぐ。

避けると同時に振ったオレの聖剣は、ゴブ王の体表近くに現れた黒い板に少しめり込んだ状態で止められてしまった。

「さすがはイレギュラーや」

追撃してくる神骨刀乱舞を避けながら、指先から撃ち出した魔刃砲で牽制して距離を取る。

「 絶対物理防御 ( アンチフィジカル ) の盾に、剣をめり込ますなんて普通やあらへん」

どこかで聞いたユニークスキル名だ。

いったいどこで――思い出した!

狗頭だ。

「狗頭の古王」が持っていたユニークスキルの名前だ。

「お前は他の魔王のユニークスキルが使えるのか?」

「せや。ワイは今まで出会った魔王や勇者の力が使えるんや」

――魔王だけでなく勇者も?

一瞬だけ真に受けてしまったが、ゴブ王が嘘つきなのを思い出した。

現 ( げん ) に移動に便利なオレのユニット配置を奪っていない。

さっきのユニークスキルも、狗頭のモノに似ているだけの全く違うユニークスキルだったのだろう。

「嘘や思うんやったら、その身で刻めばええわ!」

ゴブ王が幾度か暗紫色の光を帯びた後、縮地で飛び込んできた。

同時にオレも縮地で距離を取り、攻撃モーションになったゴブ王をめがけて詠唱の早い「 光線 ( レーザー ) 」を使う。

――危なっ。

反射して戻ってきた光線を聖剣で切り払いながら縮地で避ける。

やはり、魔法系は「 反射 ( カウンター ) 」されてしまうらしい。

続けて範囲攻撃である「 爆裂 ( エクスプロージョン ) 」を使ってみたが、それは縮地で避けられた。

眼前に迫るゴブ王の神骨刀の乱舞を避ける。

それにしても危機感知の反応が強い。一撃でも掠ったら、オレでも大怪我をしそうな感じだ。

互いに縮地を使いながら攻防を繰り返す。

それにしても――変だ。

最初の攻撃よりも明らかに戦闘技術が上がっている。

「猪王はんの『一騎当千』や」

一瞬だけ青い光を帯びたゴブ王が、勇者ハヤトの「 閃光延烈斬 《 シャイニング・ブレード 》 」に似た遠距離攻撃系の必殺技を使った。

オレの先読みスキルが、回避した瞬間にゴブ王が縮地で斬りかかってくるつもりだと教えてくれたので、使い捨ての防御壁ファランクスを発動して必殺技を受け流す。

閃光延烈斬が触れた瞬間に、ファランクスが真っ二つに斬り裂かれて砕けた。

いくらなんでも異常な切れ味だ。

「『 最強の刀 ( きれぬものなし ) 』――メイコはんのユニークスキルや」

ゴブ王がわざわざ種明かししてくれた。

発動前に青い光を帯びていたし、どうやら本当に勇者のユニークスキルまで使えるらしい。

でも、それなら、オレのユニークスキルを奪わないのは何故だ?

メニューはともかく、ユニット配置はかなり使いやすいはず。

狗頭の「 森羅万象 ( ライブラリ ) 」やアリサの「 全力全開 ( オーバー・ブースト ) 」や「 不倒不屈 ( ネバー・ギブアップ ) 」なんかの使いやすい技を用いないのも腑に落ちない。

さすがに無条件でユニークスキルを奪ったり、奪ったユニークスキルが無制限で使い放題だったりするわけではないのだろう。

「よけるだけかあ、イレギュラー!」

暗紫色の光を帯びた魔王が、真っ白な火の玉を放ってきた。

何のユニークスキルか知らないが、炎系禁呪の「 煉獄の白焔 《 ホワイト・インフェルノ 》 」なみの熱量だ。

その火弾を隠れ蓑にして接近したゴブ王が、一振りで三つの斬撃を放つ不思議攻撃をしてきた。

これも何かのユニークスキルだろう。

「ちっ、ワイの攻撃方法を知ってるみたいに避けよる」

ゴブ王が悪態を吐きつつも、猛攻撃を続ける。

それにしても凄い数のユニークスキルだ。

前にゴブ王が言っていた、 小鬼 ( ゴブリン ) 族は「魂の器」が大きいという話は本当だったのかもしれない。

◇

「なあ、教えてぇな」

オレはゴブ王から飛んでくる多彩な魔法攻撃や飛び道具を縮地や閃駆で避けつつ、発動の早い中級攻撃魔法や指弾で反撃する。

残念ながら、いずれの攻撃も様々なユニークスキルを行使するゴブ王に届かない。

「格下やとおもて舐めプしてた相手に、手も足も出ぇへんってどんな気持ちや?」

ゴブ王が嘲り嗤う。

一撃必殺の聖弾も、不自然な軌道を描いてゴブ王の傍らを通り過ぎる。

ゴブ王の言葉が真実ならば、アレは狗頭のユニークスキル「 確率変動 ( トリックスター ) 」によるモノに違いない。

無駄に色々なユニークスキルを使うヤツだ。

「決め手に欠けるのはお互い様だろ?」

現にオレは未だに無傷だ。

それにタイミングを見計らっているだけで、決め手が無いわけじゃない。

「それはどないやろなあ」

紫色の光を帯びたゴブ王が、広告付きの奇妙な鎧を身に纏う。

なんとなくヒーローが着込むプロテクト・スーツのようだ。

たぶんだけど、デジマ島に潜んでいた鼠魔王の変身系ユニークスキルじゃないかと思う。

「そら、チェックや!」

オレの告げた「チェックメイト」という言葉を嘲るようにゴブ王が告げる。

次の瞬間、神骨刀を振り下ろすゴブ王が目の前に現れた。

そこまでは今までの攻防と同じだったが、振り下ろす速さが今までと段違いに速い。

オレはファランクスを使いつつ、聖剣で神骨刀を受け流した。

ファランクスは一瞬だけ神骨刀を抑えただけで砕け散り、聖刃で保護された聖剣が、発泡スチロールのように削れていく。

――重い。

数倍どころじゃない。

数十倍にパワーアップしたかのような重さだ。

オレはすぐさま、身体強化スキルや身体強化魔法を発動するが、それでも押し返せないほどだ。

――だが。

僅かに拙い。

先ほどまでのゴブ王の戦闘技術が衰えている。

まるで、「一騎当千」のユニークスキルを 解除した ( ・・・・ ) かのようだ。

もしかしたら、ゴブ王が同時に使えるユニークスキルの数には制限があるのかもしれない。

「どうしたんや? 別に、今からでも自慢の神剣を出してええんやで?」

ゴブ王がオレを挑発する。

何か企みがあるようだ。

だが、ヤツが神剣に何かしようとした時が狙い目だと思う。

それに神剣は極めて危険だが、斬られれば危ないのは神骨刀と同じだ。

「なら、お言葉に甘えよう」

オレはメニューを操作しつつ、アイテムボックス経由で白鞘に入った漆黒の神剣を取り出した。

「ほんま、アホやなあ」

次の瞬間、神剣がゴブ王の手の中に現れる。

「主さんの別名は盗神やで――ぬおおおおおおああああああ」

勝ち誇るゴブ王が、白鞘から神剣を抜き放った瞬間に悲鳴を上げた。

神殺しの称号もなしに神剣を手にすれば神罰が下るようだ。

このタイミングだ。

オレはゴブ王の眼前に縮地で現れ、それと同時にメニューで準備していた「 魔力中和 《 ニュートラル・マジック 》 」を実行した。

これはデジマ島で「 迷宮の主 ( ダンジョン・マスター ) 」が使っていた、魔素を消失させて魔法や魔法系のスキルを使えなくするタイプと同じ魔力無効化空間を作り出す。

偽王シンが使っていた魔法の構成を破壊し続ける魔法無効化空間と違って、外から魔素を補充すれば魔法が使えるようになるので、どちらが優れた魔法無効化手段かは一概に言えない。

ゴブ王が取り落とした神剣を視線で捉えてストレージに回収しつつ、それと同時にストレージから取り出した 白い ( ・・ ) 聖魔剣で斬り付ける。

――おっ、当たった。

神剣を掴んでダメージを負ったせいか、ゴブ王のユニークスキルが解除されていたようだ。

オレの斬撃で、ゴブ王の首がそれを守ろうとした腕ごと切断された。

ゴブ王がユニークスキルで作り出したプロテクターは頑丈そうだったが、「全てを穿つ」竜牙の粉でコーティングした聖魔剣の前では紙切れ同然だったらしい。

オレは魔力中和を解除しつつ、ゴブ王の頭部に対神用魔法の禁呪「 神話崩壊 ( ミソロジー・ダウン ) 」を発動した。

濃密な黄金の光が虹色の光と混ざり合い、奔流となってゴブ王の死骸を蒸発させる。

対神魔法の桁外れな破壊力は、大空洞とも言えるような広い地下空間を破壊し尽くし、その余波が分厚い天井の岩盤を一瞬で吹き飛ばした。

轟音と爆風が収まる頃、岩が溶ける赤い光と噴き出す蒸気が、地下を不気味に装飾する。

「――やったか?」

思わず呟いてしまったのは、ログにゴブ王討伐が記載されていなかったからだ。

――危機感知。

レーダーに赤い光点が現れるのと同時に、白い炎を帯びた神骨刀が飛んできた。

地面から上半身だけを生やしたゴブ王によるモノだ。

対神魔法ですら倒しきれないのは、いくらなんでもしぶとすぎる。

「舐めんなああああああああ!」

青と暗紫色の光でできた縞模様がゴブ王を染める。

何をする気か分からないけど、ここは畳みかけよう。

再度発動した「 神話崩壊 ( ミソロジー・ダウン ) 」が、予定の場所から逸れて着弾し、その余波でゴブ王を吹き飛ばす。

また「 確率変動 ( トリックスター ) 」か「 無敵の機動 ( あたることなし ) 」を使ったようだ。

こちらに吹き飛ばされてきたゴブ王の首を切り落とそうと剣を構えたが、恐らくさっきの神話崩壊と同じ目に遭うだけだ。

オレは牽制の範囲魔法攻撃をしつつ、相手の攻撃を誘う斬撃を振る。

ゴブ王の背後に現れた黒いカーテンが攻撃魔法を防ぎ、オレの斬撃はユニークスキル任せに回避した。

ヤツの目の前には、攻撃を回避されて無防備な胴を曝すオレの姿があるはずだ。

「 貰 ( もろ ) たで!」

ゴブ王が神骨刀でオレの胴を両断した。

「――また忍術か!」

まっぷたつになった丸太を見たゴブ王が、殺気を感じて慌てて後ろを振り返る。

――はずれだ。

オレの術に引っかかったゴブ王の背中に、丸太の陰から再出現し、手に持った白い竜牙聖魔剣で十字切りにする。

「ぐおっ」

やはり、メイコ同様に認識外からの攻撃は避けられないらしい。

一瞬だけ遅れて発動した「 神話崩壊 ( ミソロジー・ダウン ) 」がゴブ王を再度消滅させる。

さて、ここからは持久戦だ。

◇

「ま、待――」

赤い光点が現れると同時に、発動待機状態にしていた「 神話崩壊 ( ミソロジー・ダウン ) 」を叩き付けて滅殺する。

「な、何度――」「でも――」

今度は赤い光点が同時に二ヶ所現れて焦ったが、片方を神話崩壊、もう片方を縮地で移動して竜牙聖魔剣でみじん切りにして、火魔法の「 火炎地獄 ( インフェルノ ) 」で焼き尽くして事なきを得た。

そこからは分身の術を使い、人海戦術でゴブ王を倒していく。

「――そろそろ打ち止めかな?」

ゴブ王の復活再生が止まった。

討伐ログはマダだから油断はできないが、そろそろ終わりが見えてきたようだ。

猪王の「万夫不当」による連続復活だと思うが、オリジナルの猪王ほど復活回数が多くないらしい。

MMOの時間湧きレイドボスを待つかのようなイライラする時間が過ぎ――。

レーダーに赤い光点が現れた。

「しまった――」

発動待機状態にしていた「神話崩壊」はゴブ王を確かに捉えたが、命中した瞬間にそれが分体へと変化したのが見えた。

本体は――上だ。

見上げたオレの視線に、歪にゆがんだゴブ王の姿と、無数の白い柱――ICBMと書かれた戦略核兵器が映った。

ゴブ王の傍らにはアイテムボックスらしき黒い板、そして、ヤツの手には――。

白い粒 ( ・・・ ) が入った小さな瓶。

次の瞬間、太陽が落ちてきたかのような閃光と全てを焼き尽くす炎が世界を満たした。

◇

「ケッけっKWE、満身SOW痍やNZAいれぎゅラー!」

再び復活を果たしたゴブ王が、血みどろになって地に伏す勇者ナナシを見下ろす。

「さスガNWOいれぎゅラーも竜牙片付きNZO核爆発まデは防げんKWAったヨウやナ」

ゴブ王の呂律が回らなくなってきて何を言っているかよく分からない。

復活再生のしすぎで魂の器が崩壊しつつあるようだ。

恐らく、先ほどの攻撃はイタチ大魔王がザイクーオン神を倒すために作った対神核地雷をまねたモノだったのだろう。

さっきのICBMはデジマ島の夢幻迷宮にいたイタチ魔王のユニークスキルを使って手に入れた品に違いない。

ゴブ王が周囲を見回して神骨刀を探す。

「まア、EZE」

ゴブ王は見当たらない神骨刀を諦めて、アイテムボックスから取り出した呪われた魔剣を振り上げた。

その時、幼い声が天空から聞こえてくる。

『――よくも、ご主人様を!』

「神撃NWO娘カぁ!」

キノコ雲の上がる空に浮かぶ杖艦を見たゴブ王が、紫色の光を幾度か帯びる。

恐らく、魔法反射系のユニークスキルを使ったのだろう。

『くらええええええええええ!』

「ジBWUンの攻撃デ滅BWE」

勝ち誇るゴブ王の首を、神殺しの神剣で斬り落とす。

「――なんでや」

地面に落ちるゴブ王の首が怨嗟の声を漏らした。

『腹話術だよ』

オレはアリサの声でそう答え、神剣でゴブ王を滅多斬りにして倒す。

血みどろの偽装を拭いつつ、空中に浮かべた杖艦をストレージに回収した。

核攻撃をまともに喰らったらさすがに痛そうだったから、衛星軌道まで目視ユニット配置で逃げた後、爆風が通り過ぎた後に同じく目視ユニット配置で戻ってきたのだ。

「おっ」

ゴブ王の死体から暗紫色の光が三個と青い光が一個浮き上がってきた。「神の欠片」だ。

青い光はパリオン神由来の気がしたので放置する。

『……』

『……ぁ』

『……ぅ』

ほぼ無言で離れていく暗紫色の光――神の欠片を神剣で斬り裂く。

砕けた暗紫色の光が、いつものように神剣の漆黒の刀身へと吸い込まれる。

そういえばゴブ王が作ったリッチの魔王やその魔王を取り込んで魔王化したザーザリスから離れた「神の欠片」も、こんな感じに無言だった。

「マダYAW……」

少し間を空けて、ゴブリンの魔王が復活した。

神の欠片が出た後に復活するのは、今までにないパターンだ。

一応、ログを確認したが、ちゃんと「神の欠片」を倒した事が記載されている。

「マダ終ワらヘン――」

もはや、復活してもゴブリンの姿に戻ることもできないのか、オレが手を出すまでもなく暗紫色のスライム状の液体となって消えてしまう。

『……』

『……』

再び無言で現れた暗紫色の光を神剣で切り裂いて始末する。

「神鍵SWAエ……、あレBUW……」

一度消えた赤い光点が再び点ったが、こんどはスライム状にさえなる事ができずに消えてしまった。

>魔王「小鬼王」を倒した。

>称号「魔王殺し『小鬼王』」を得た。

待ちわびた言葉がログに流れる。

それと同時に、暗紫色や黒に近い紫色の光が、ゴブ王だった水たまりから噴き上がる。

『やっぱゴブはダメだにょ』

『じだいはスライムだよー』

『ゴブは存在進化してナンボやでぇ』

『存在進化は主様に却下されたやん』

『おまいら、ゴブの口癖移ってるぅ~』

全部で二十数個近い「神の欠片」だったが、愚痴を零す欠片は五つだけだった。

先ほどと同じように、僅かに交ざっていた青い光を避け、紫系の「神の欠片」を神剣で切り裂いて倒す。

神剣で斬られて散った光が、漆黒の刃に吸収された。

そういえばゴブ王は神剣に吸収されたはずの「神の欠片」由来のユニークスキルを使っていた事に、今更気がついた。

もしかしたら、ゴブ王の持っていたユニークスキルは、元の「神の欠片」を複写したコピー品だったのかもしれない。あの無言の欠片達は複写した偽モノだったからなのかもね。

「これで完了かな?」

しぶとい相手だったけど、これで魔王関係は打ち止めだろう。

ゴブ王が最後に何か気になる単語を言っていたけど、マップ検索でも「神鍵」なんて単語はヒットしなかったし、ゴブ王が自身のアイテムボックスにしまい込んだまま一緒にロストしてくれた事を祈りたい。

さて、アリサ達の方はどうなっているかな?

※次回更新は、12/23(日)の予定です。

※2018/12/20 核爆発後のシーンに「神の欠片」関係の描写を色々と加筆しました。