第1章 五節
第1章 五節
目の前で起こったことが何一つ信じることが出来なかった。いや、信じたくなかった。
しかし、目の前の惨劇は非常にも事実を理解しろと自分たちの感覚に訴えてくる。
「…え」
ある者は茫然と言葉を失い。
「...なんの、躊躇もなく」
「自爆しやがっただと...」
ある者たちは目の前で幼子だったものが行った所業を信じられないと、瞠目した。
嗅覚を刺激する火薬の匂い、身を焦がさんとする熱風を触覚が感じ、瞠目する視覚が力なく体を預ける姿を捉える。
時間がゆっくりと流れる様な錯覚が事実を拒絶する自分たちには寧ろ酷な物だった。お前たちが自覚しなければいつまでも見せつけるとでも言われているようにすら感じた程だ。
「嘘よ...」
そしてある者は信じたくないと現実を逃避する言葉を発する。その声はいつもの様な自身に満ちた声でも、昼と見紛う錯覚すら起こす様な明るい声でもない。この場に居る仲間たちの心象を表したかのような絶望を含んだ声色だった。しかし、揺れる緑瞳は戦場ではなく倒れ行く彼を映し、アリーゼは不本意にも現実を受け入れようとしてしまっている。
「嘘って言って八幡!」
そこから続いた言葉は傷つくのを誤魔化す為の絶叫でしかなかった。
そうしなければ理性を保てないから、そうでなければ此処での戦いは続けられないから。彼女は反射的にそう叫んでしまった。
「ヒャハハハハハハハハハハハハハハハ!」
そして、厳粛な空間を割ったのは耳を劈く邪悪な笑いだった。その目は興奮の色に染まり、彼の蛮勇を自身にとっての好都合と、ヴァレッタは大きく笑った。狂気的なそれは商館に反響し、正義に属する全ての者の神経を逆撫でした。
「ヴァレッタ...貴様ァ!」
「最高だぜ、火炎石に撃鉄装置で誰でも簡単にぶっ飛べる自決装置。適当な奴が引っかかりゃいいと、思ってたが...腐り目が釣れるとはこれ以上ねぇ成果だ!笑いが止まらねぇ!」
目の前で起こった惨劇をこの女は最高と笑った。人の命などおもちゃだとでも言うような策と装置にシャクティはこれ以上ないほどの怒りを覚える。しかし、それを上回るレベルの不安と動揺があった。
それは、爆発から守られた妹、アーディだ。先程から嫌に静かなのが彼女の不安を呷っている。
「あ、あぁ...」
瞠目する中視線を下に落とし、預けられた体を支えようとアーディは八幡の背中に触れる。手から離れた彼女の剣が空虚な音を商館に響かせる。その感触は乾いた布を触った柔らかな感触ではなく、血に濡れた生暖かい不気味な感覚。その感覚がアーディの意識を現実へと引き戻していく。先程の惨劇をしっかりと自覚させていく。
「ハァ、ハァハァッ!」
彼をこうしたのは紛れもない自分であるという最悪の自覚を、アーディは覚えてしまった。罪悪と恐れと動揺と、そして自分の愚かさに耐えきれず呼吸はどんどん加速する。熱くなる一方である彼の体とは逆に瞳孔は開き一瞬にして体が冷えていく。
「いいねぇ、ちょうどいい。もう一人くらい生贄が欲しかったところだ。...おいおい、そんな絶望に浸かった顔するなよ...殺してやりたくなっちまうだろうが!」
殺帝、ヴァレッタはその隙を見逃さなかった。戦場では隙を晒したものから死んでいくその鉄則を容赦なくアーディに叩きつけていく。最も、それを行動に移した理由が絶望に満ちようとしているアーディの表情が彼女の欲を刺激した為であるが...
「アーディ、避けろ!」
剣も持たず両手は塞がり、人の体を支えている為に身動きを取れない。絵に描いたような無力、俎板の鯉とはまさにこのことだ。アーディはその時まで目の前で剣を振りかぶられている事にすら気付かなかった。
そして、ヴァレッタももはや切ったものとすら考えていた。見せしめは腐り目の死体も使って盛大にと、その身を振りぬいた瞬間であった。
「ん゛っ!」
剣を弾く音と同時に、声にならない声が聞こえる。
弾いたのはアーディではなく虫の息だったはずの八幡だ。
「ってめぇ!」
傍に刺さっていた剣を引き抜き比企谷八幡は自身とその先にアーディを守った。レベル5の攻撃を何とか弾いたのだ。それに反応し間合いを広げたのは、そこに最も近かったシャクティだ。弾かれて宙に乗り出したヴァレッタを槍の横なぎで更に遠くへと飛ばす。
「八幡良かった生きてっ!」
「ゲッボ…ゲッホゲッホ!あぁ...」
そう言いながら八幡はアーディの肩に手を乗せながら、何とか立った。口からどっさりと血を吐き出し、羽織が黒いお陰か目立っていないがアーディの手が真っ赤という時点で直撃を受けた背中は血だらけというのは明らかだ。
寧ろ少年の体を跡形もなく消し飛ばした爆発を喰らっておいて五体が残っているのが幸いなほどだ。しかし、破裂した火炎石の破片が背中を穴だらけにしたのならそれらが内臓に届いていないはずはない、つまり今の吐血は...
「大丈夫なの?」
「なわけあるかよ...今にも死にそうだ、頭に当たらなかったのが奇跡まである」
「なら、今すぐ治療院か回復を、」
「回復なら私が」
「いや、いい...それよりお前ら急いで都市に向かえ」
隙を見計らってか仲間たちがすり寄ってくる。しかし、死に体の体を押して八幡はファミリアの中枢である二人と聞き入る様に近くに居た者たちにそう告げる。
「どういう事?」
人の心配を知らずにと言いたい気持ちを抑え、その言葉の真意をアリーゼは問う。
「気付かないか?此処とは、別に、爆発音が聞こえてくる」
「え?...」
「まさか!フィンたちの方でも!」
「だけじゃない…フィンが考えてた中で最悪のケースだ」
八幡は意識を脚の神経に集中させ、地面からの振動を細かに解析する。内二つは他の拠点の方向から、他多数の振動は街の方からだ。
「街から少なくとも三箇所以上から振動が来てる。」
「信憑性は?」
シャクティは当然の疑問を呈する。不確定な情報で空振りに終わっては溜まったものではないからだ。
「鍛冶師としての感だ。信用してくれていい」
鍛冶師としての実力はレベル2しにて都市、最高レベルの八幡は槌の扱いに長けている為、音や振動には敏感だ。
「そうか…では急いで、!」
シャクティは旋回を命じようとした矢先だった、奴らは予定通り、シナリオ通りとでも言うように退路を塞ぎヴァレッタは終始にやけ顔で剣を撫でている。奴らの余裕はこの為だったのかと今更になって気づいた自分たちの浅はかさが露見する。
「そうは問屋が卸さないだろな…じゃ、急げよお前ら」
「ちょっ!」
そう言うと八幡は支えとなっていたアーディの肩を離れる。一瞬くらりと倒れそうになるが、足を横に開くことで何とかバランスを取る。しかし、肩で息をしながらもう片方の刀を地面から引き抜く様は最早死人のそれである。
「殿は俺がやる。急げよ...」
「...はぁ?」
「おい、ふざけんのも大概に!...てめぇ、いつ覚悟を決めやがった」
まるで死人の様な目つきが今は何故かしまっている。それを見てライラは何かを察したのか怒鳴り声を上げる。そこで八幡は一つ嘘をついた。
「爆発が始まってからだ。俺の手で復讐できないのが腹立つけど。まぁ、いいかなって...」
「だめよ!」
「アリーゼ...」
「貴方も連れて帰る。皆でここを抜ければ、貴方も治療できる。だから、その提案は却下します」
「...お荷物付きで突破するのは無理だろ。俺の代わりにシャクティを残しても。俺が居ちゃ退却の邪魔になる。だから、俺はここまでだっ!」
「もーいーかいってかぁ!」
この場に似つかわしくないほど陽気な声が響く。邪教徒が今か今かと武器を研ぎ澄ます中での密談、寧ろ待っていることの方が不気味だ。
八幡はそれはそれで好都合と、再び鎖を振るい一点に道を開く。
「行け!行って一人でも救って来い!」
それはめったに声を上げない彼の最初で最後の激であり、彼なりの正義の示し方だったのかもしれない。
それでもなお、足を止めている者たちへ血反吐と同時に最大の激を再び飛ばす。
「行けよ!アストレア・ファミリア!」
「っ!」
「絶対助けに戻るから!」
「生きて、生きて下さい!」
望みの薄いことを知りながら必ず迎えに来るという仲間たち、しかし、責任感に押し潰されそうなものはそうも言ってられない。
「ダメ、ダメだよ!八幡が、八幡が死んじゃう!」
その手で終わりの感触を知ってしまった彼女は否が応でもという、感情で手を伸ばそうとする。しかし、その一瞬に乾いた音が響く。姉が妹の頬を叩く音だ。
「お前が、それを言う資格はない!...お前が今なすべきことは奴の望み通り市民を救うことだ。走れアーディ、お前はあの愚行の責任を取らなけらばならない!」
悪い...シャクティ。辛いよな、大事な妹の叱るのは、痛いよな誰かの頬を叩くってのは。でも、助かる。
「答えは決まったかよ...」
「あぁ、お前が道連れになってくれるなら、俺の命一つぐらい安いもんだ」
体が熱い、背中が形容しがたいほど痛い。内臓が内側に針でも刺さってるんじゃないかと思える程痛い。
息が続かない...けど、目の前の野郎だけは絶対に殺す。
再び目が紫に染まる。それと同時に怒りの感情が痛みに勝っていく、熱かった頭が冷えていく、殺す為の術が湧いてくる。剣を握る両の手に力が再び入る。
「誰がなるかよお前の道連れは足元のそいつらだけだ」
「!」
ヴァレッタがそういったのとほぼ同時に足元に倒れていた構成員が先程の子供と同じように爆発を始める。
八幡は、それを横に回転するように回避するが爆弾はそこら中にあり、避けたところで
「お前らはここに焙り出された時点で詰んでんだよ!ヒャハハハハハ!」
けたたましい声が響く中、八幡は不気味に口角を釣り上げた。
「馬鹿だなお前」
「あぁ?」
「もう一度行ってやるよ。馬鹿だろ...お前」
先程とは違い、八幡の目はヴァレッタに対する憐みに変わっていた。
「俺が何でここまで先行してきたと思ってんだ?」
「そんなもんてめぇの私怨に決まって......てめっぇええぇ!腐り目野郎!」
そうだ、ここに来るまでにのして来た構成員は全員地面に縫い付けてある。つまり、自分の爆弾を起動できないのだ。対して、この場でそれを行わなかったのは
「言っただろ。道連れはお前だヴァレッタ」
「自惚れんなよ!レベル2の雑魚が!ここでてめぇを殺せばあたしは逃げおおせる。雑魚どもはそのあとで自爆させりゃいい!おあいにく様、どいつもこいつも自決装置は胸につけさせてる、一人でも此処の柱を落とせばがれきが落ちててめぇは死体も残らねぇってなぁ!」
「そうか、ならお前をその柱に縛り付けてやるよ」
「やってみろよ!腐り目がぁぁ!」
背後に無数の鎖を率いて八幡は接敵する。燃え盛る商館の中で、敵の将を打ち取るというなんとも御大層な大義を掲げ復讐に駆られる修羅の少年はその剣を振りぬいた。
商館を脱出し、拘束された構成員をまとめている一団に合流すると、そこでは簀巻きにされた闇派閥構成員達が何かをしようと身じろぎをしているが、動くたびに鎖が更に複雑になり腕一つ動かせない様になっている様があった。
「お前たち!」
「シャクティ様!それが...」
「クソなんだよ!この鎖。力がでねぇ」
八幡の鎖は恩恵を縛られた者の恩恵を封印する【天の鎖】、即ち鎖に囚われた時点で神の眷属は逃れる術はない。だが、こんな複雑な形式を何故...
「......アリーゼ、急いで戻れ。」
「え?」
「早くしろ!」
合流して構成員を見ていたシャクティは怒鳴る声でアリーゼに、商館に戻れという。八幡の覚悟をその場で見ていた筈の彼女が何故と考えたが、その瞬間だった。
一つ、大きな爆発がしたかと思うと、先程まで自分たちが居た敵拠点の商館が大きな爆発の熱を伴って崩壊する。それを彼女たちは瞠目した目で見ていることしか出来なかった。
そして、それを見て先のシャクティの言っている意味がようやく分かった。
「八幡?...八幡!」
「......ふざっけんなよ」
「...っ!」
「間に合わなかった...」
倒壊した建物の瓦礫からは大量の粉塵が舞い上がり、暗澹とした空をより感傷的にさせた。
彼と関わった者全てが胸に穴が開いたような冷たい感覚を覚える。そして、喪失感ともに一部の元たちは託された使命に燃える。
「アリーゼ...急ぐぞ!」
もはや伝えることの無い感謝を伝える為にも、
「ライラ...でも」
「あいつは救って来いと言った。あいつの最後の望みなら叶えてやるのがせめてもの手向けだ」
苦虫を嚙み潰したような表情で顔を歪ませながら輝夜がそう諭す。しかし、その表情から読み取れるだけでもアリーゼに匹敵する痛みが見て取れた。
「助けると言ったのに...生きてくれと言ったのに。私は仲間を、大切な家族を救えなかった...」
「ごめん...なさい。私のせいで...ごめん、八幡」
親愛と家族愛と謝罪を述べるものが二人、青く小さくまだ幼い正義はこの悲劇にその膝を折り、絶望した表情を浮かべる妖精と、涙を流し謝罪する只人の少女。
状況が掴めない者も、それを見てそれまでを察する。ある者たちはそれに心を痛め、またある者たちは仲間の謝罪に唖然とする。
崩れ去り燃え盛る商館から市街地とは反対方向の通路にて、脇腹を抑え息を上げながら壁に手をつく女性の影が一つ。
「クソが、あれがレベル2だと。詐欺も大概にしやがれ」
先程まで商館内で八幡と接敵していた、ヴァレッタは予想外の痛手に怒りを露にする。
脇腹からは血が流れ、苛立ちもあってか体が上気している。
「はっ!まぁいい。あの野郎が居ないとなりゃ、都市も落としやすいってもんだ」
「ヴァレッタ様!」
暫く路地を進んでいると、伏兵が近づいてくる。
「丁度いい、他の連中に伝えろ。腐り目は死んだ、今なら落とし放題だってな」
「はっ」
これから自分も都市へ向かう表にはあいつらが居るから正面切ってじゃないがまあいい。どちらにしろ傷を塞いでからだ。さーて、フィンここからはあたし等が攻める番だぜ。
ヴァレッタは口角を不気味に釣り上げると、傷の痛みなど忘れて猟奇的に笑い始める。
フィンたちは自分たちが攻めていた拠点から急いで転進し街に戻ったところだった。案の定、街の各所から火の手が上がり、地獄絵図と化していた。
「どうした八幡、ここは君の独壇場だろう...」
疼きが止まらない親指を口に当てながら、フィンは期待していた戦力が未だに姿を現さないことに疑問を禁じえなかった。中央広場を避難所に定め、そこを中心とした防衛線を張ったまでは良い。しかし、敵の動きが早すぎる。
「フィン!」
「ロキか、避難民はこっちに、」
「それよりき~つけよ。このどでかいドンパチ明らかに厄介な神が絡んどる」
「!...なるほど、通りで」
だとすれば合点がいく、自惚れではないがヴァレッタと僕の戦術眼は同程度。だというのに手が早いのは、よりにもよって出来る神が相手だったからだ。
「他のファミリアも各自動いてくれているが」
態々煽りと共に激励したフレイヤの陣形は大丈夫だ。だが、見たところ八幡の抜けた?と考えていいアストレア・ファミリアはどれだけの数を捌けるのか。
「それと、アストレアん眷属から聞いた話や...」
「一応聞こう...」
「坊主は死んだ、やて」
「...そうか」
そうでなければ、この盤面で真っ先に頭角を現さなければおかしいと思っていた。
彼の憎しみはアイズのモンスターに対する怒りにすら勝るほどのものだ。だというのに、見えないというのはそう言うことだと考えていたが、
「いや、だからか」
「ん?」
「僕の方にも、フレイヤの方にもヴェレッタはいなかった。奴らは八幡が死んでいることを知っていたからここまで大胆に出られた。どれだけ強力なカードがあっても、八幡がかかれば意味がない。」
懸念していたことだ、オッタルすら超える戦力が敵にあるという事は考えていた。それはこちらも同じだ、切ればそれを止められる切り札があった。だが相手はそれが何なのか理解していた。
「団長!」
「ラウルか、どうした」
戦況を逐一伝える為の伝達役として、ヘルメス・ファミリア同様に扱っていた団員の一人が、まるで恐ろしいものを見たという蒼白といった剣幕で走ってくる。
「南に機影防衛網が崩されてるっす!」
「ヴァレッタ、タナトスか」
「違うっす...」
「何」
「敵は二人、大剣を振るう戦士と灰色のローブの魔術師。たった二人っす!」
「!」
ここで切ったか...
フィンは最悪な報に最悪な報せが重なったことに、険しい表情を強めこの先に広がりえる更なる最悪をその碧眼に見据える。
道を歩くのは二人の覇者だった。なんの誇張もなく彼、彼女の歩いた道は「覇道」と言っても差し支えない程、その強さを物語っていた。
だが、覇者はただ散歩をするかのような足取りで、目の前に立ちふさがる有象無象を撫でていった。しかし、知っているだろうか人間にとっての撫でるとは蟻にとっては致命傷になりえるという事を...最も、踏み潰している当事者の一人は自身を捕食者、像であると表現しているのだが。
片やその立ち姿は正しく怪物、顔すら覆う血を馴染ませたような黒の全身鎧、身長は2メルドを超える巨体。
そして、その横に控える。得体のしれない魔法で肢体を破壊した灰色ローブの魔術師。男と比べるとあまりに小柄に見える為、おそらく女性だと考えられる。
「弱い、ただ撫でただけだというのに...まだ喰らってすらいないぞ」
嘆きを隠さず、目線の先に広がる自身が行った蹂躙に眉一つ動かしていなかった。目庇越しの視線は終始据わったままで、周りから狂気的に見えるのは仕方のないことだ。何故なら、彼が通った道には切り捨てられた脚や腕、果てには人までも転がっているのだから。
それも、ただの人ではない神より恩恵を賜ったものの中でも選りすぐりの第二級、更に第一級冒険者を要する戦力が端から挑み、文字通り破れていった。
「俺はただ、歩いているだけだぞ?それで、狩る者のつもりか?」
脚がなくなり見えなくなった先に怯える者も激痛に苦悶する者も、一様にその姿を恐怖と捉えた。
当然だ自分たちは強さに自信があったはずだ、だというのになんだ?目の前にいるアレは本当に同じ人間なのか?本当に同じ神から恩恵を授かっただけの下界の子供だというのか?
「理不尽か?それとも驕りか?」
その発する言の葉全てが理不尽を叩きつける。それを言えるだけの災禍を目の前の怪物は示した。それを認めさせるだけの力を振るった。いや、奴はいまだに振るってすらいないと言った。だとすれば、自分たちの今までは何だったのか?激痛に苦悶し、目の前尾怪物に恐怖し、目じりに情けなく涙を浮かべる様は
「おいおい、やめろよ。俺がいじめてる様じゃないか?お前たちが向かってきた。だから、俺は優しく撫でてやっただけだぞ」
そうだ、自分たちはただ歩いて都市の中心を落とさんとする存在を討伐するためにここにいたはずだ。相手の弁は間違っていない。いないが、これは...この惨状は、
「お前たちは十分にぬるま湯を堪能した。俺たちはそれに溶岩を叩きつけに来ただけだ。この停滞を破壊するために...なぁ、最先端」
その悪態はいつの間にか都市へと向けられていた。言っている意味が分からないと疑問を呈することのできる者は誰一人としていなかった。
目の前に唯一立っていた槍兵でさえもだ。
「しかし、これだけいて残ったのが一陣の風一つか...お前は良い、体を呷る風は久しく感じていなかったからな」
「っ!」
傷だらけになりながら懸命に立ち、この場において唯一肢体が満足な状態で槍を構える猫人族の槍兵。
アレン・フローメル。この都市一の敏捷を誇る彼はその足を止めることなく槍を振るい旋風を巻き起こす。今一度砂埃が立ち上がったのもほんの一瞬だった、一瞬の風は覇者に激突すると同時に反対の風が巻き起こり、振り上げた大剣の速度とは比べ物にならない速度で建物を破壊しながらアレンは吹き飛ばされた。
「ゴッハ!」
やっと止まったアレンは、怒りを含んだ視線を再び敵に向けるが、その目には最初程の力も先程の勇猛さもない。圧倒的な力の差に気づきかけているそんな目だ。
「ほう、これにも耐えるか...そうでなくてはなぁ。」
先程とは違い多少嬉々とした声を路頭に響かせるが、アレンはどうでも良かった。何故ならこれはあのお方を守るための力、大切なものを切り捨ててまで手に入れた覇道の証。それはこんな奴に賞賛されて喜ぶものではない、全てはフレイヤ様のための力、目の前の覇者が猛威を振るい被害が及ぶのならば。この命に代えても殺す!
「っ!...!?」
「待て、アレン」
「退け!奴は俺が倒す!」
目の前に立ったのは怒りの対象の一人、自分たちの団長とされている者だった。
いつの間に目の前にと思ったが、その背中にはいつもと違う何かがあった。
「獲物の横取りなど、ふざけるたまねは大概にしろよ!あれは俺の獲物だ」
「アレン、今すぐフレイヤ様の下へ急げ」
「あぁ?」
奴は何を言っている。いつも言葉は足りないが、今回はいつにも増して足りていない。
あのお方は現状最も安全な場所にいる筈。だとすれば、俺が今すべきことは見ているであろうあのお方の前で雄姿を示す事だ。場合によってはこの猪を狩ることも視野に入れる。
「やっと見知った顔が出たな。よぉ、オッタルのガキ」
「......貴様、【暴食】のザルドか!」
だが、それは違った。立ち塞がっている最強は目の前の覇者を知っていた。
そして、その声音は自分がこの男から聞いたことのないような感情が込められていた。いつも俯瞰しているような目を大きく見開き、毛が逆立ちそれから感じられるのは恐れであり、屈辱であった。
そして、目の前の覇者の声は正しく好奇に染まっていた。見知った人間が残っていて嬉しいのか、それとも別の理由があるのかは知らない。
だが、少なくともオッタルからはただならぬ因縁を感じた。
「っ...聞け、アレン!僅かでもいい俺を団長として認めてくれているのなら、頼む。女神の為、貴様の矜持に泥をかぶせる事を許してくれ」
「!」
その頼みは尋常ではなく、頭を下げた程だ。
この男と俺に共通していることは一つだけある。それは、女神への絶対の忠誠心だ。団長としてと言ったが、その言葉の裏には同じ志を持っているのならという意味も感じられた。
アレンはその言葉に、歯を食いしばりながら無言で全速力で立ち去り答えた。
オッタルはそれを確認すると背中に収めてある二本の片刃の剣を引き抜く。
「女神至上主義は変わらずか...相変わらず乳離れが出来ん糞ガキめが、貴様はいつもそうだった二言目には女神のためと、貴様のそれは最早依存にすぎん」
「黙れ...」
今こそ雪辱を果たすとでも言う勇猛な剣幕のオッタルに対し、覇者の態度と声色は憐みと失望を含んだものだった。しかし、オッタルは気付かなかった。先程まで彼の端に控える様に立っていた灰色の魔術師の影が消えていることに....
街の各所からは火の手と煙が上がり、下界の最先端都市であるオラリオはもはや地獄と化していた。響く阿鼻叫喚と爆発音、剣戟と蹂躙の木霊は残酷さを示す一つの曲の様だった。
しかし、悲しいかな...
そこで生まれるのは賞賛でも、感嘆でも、賛辞を述べる為の言葉でもない。ただの絶望、目の前で手を伸ばすも切られ絶望する市民も、それを繰り返されん為に手を伸ばすも届かない現実に心が折れかける正義も、一様に絶望が見えていた。
曇天は時間が経つごとに深さを増していき、まるでその絶望を表しているかのようだった。
「数が多すぎる!」
「あぁ、手が足りない。救おうにも、限度が出てきてしまう」
切ったとしても兵は爆発し少なくとも数人の市民を巻き込んで死んでいく。
悪態をつくライラと輝夜、目の前で零れていく手、その光景が先程の絶望が重なってしまう。
「...クソッ!」
「っ...」
思い出さない様蓋をしていた絶望が、目の前の近似に呼応して蓋を退かそうとしてくる。分かっている...分かってはいるんだ。だが、頼む今はやめてくれと、必死に忘れようとするが、助けを呼ぶ声と、それが今に消えている現状がその思考を破壊してくる。
そして、その表情は最早敵を狩る険しいものではなくなっていた。何も分からず、助けているという実感もなく、寧ろ助けてくれと言っているのは彼女達の方に見えた。
しかし、それでも振るい続けるのはたった一つ、彼が残した「一人でも救って来い」という一言のためだった。それは縋っているようなものだった。
けれど…
「急げ、あっちだ!」
「あの人について行って下さい」
私達を導いてくれるのは団長であり、背中を押してくれるのはいつだって私達の鍛冶師だった。彼女は私達より辛いはずなのに、指示を出し自らも走り回っている。それが紛らわせるためであっても、応えないわけにはいかない。だからこそ、救い続ける。
絶望と向き合うのは後回しだ、彼の死を悼むのは悪いが先延ばしにする。だから、頼むもう少しだけでいい。この盤面が終わるまででいいから、黙っていてくれ。
戦火が広がるこの盤面において、その場所だけが不自然なほど穏やかだった。絶えず爆風が巻き起こり、乱れた風が吹き荒れる中、彼女だけは髪を揺らさず静粛な中で佇んでいた。まるで、一人だけ別の世界に居るかのような錯覚さえ見せた。
「.......」
彼女はこの阿鼻叫喚の場に、耳を澄まし。
湖畔に佇んでいるかのように穏やかな様子で、立っていた。この戦火の中にあって一層似つかわしくないほどに、
「何をしている。貴様」
たどり着いた一人の妖精が目の前に覇道を築き上げた人物に敵意を向ける。その不気味過ぎる様相を見て、何より味方にこんな者はいなかったとリヴェリアは視線を投げる。
しかし、ハイエルフである彼女にさも知ったことかと不躾にも姿勢を変えず、両目も明けずに口を開いた。
「喧騒が煩わしいのは変わらない。聞くに堪えん雑音だが、二度も聞くことはないと思うと貴重でな」
「命あるものは等しくそうだ。それが人というものだ...だが、貴様のそれは人の所業ではない」
彼女の足元に転がる四肢を内側から破壊された沢山の冒険者指し、リヴェリアはその瞳を怒りに振るう。
明確な敵意を容赦なく向けられるが、一瞥もくれず恐ろしいほど冷静な声色で告げる。
「ガラクタを片付けて何が悪い。」
「っ!もういい!貴様の思想が奴らに共通していることは明らかだ!」
積み上げられた人の亡骸を目の前の魔術師はガラクタと称した。その狂人の様な思想は理解できないし、しようとも思わない。だが、その在り方はリヴェリアの矜持を逆撫でし、理性で対話に臨んだもののその結果は最悪であり、激昂に駆られた王族妖精は精神を込め詠唱を開始する。
魔法円は開き、三つに別れ回転していく。
『吹雪け三度の厳冬....我が名はアールヴ』
自身の身長程ある錫杖を掲げ、唄い込める精神を高めていく。
流れていく魔力は余波を生み、対する魔術師のローブの裾を揺らすが、その者は微動だしていない。
『ウィン・フィンブルヴェトル』
銀色に輝く三つの魔法円が冷気を解き放ち、三叉の槍のごとく轟き叩きつけんとするが、彼女はゆっくりと袖を揺らし片手を上げる。そして、発したのはたったの一言。
『魂の平静...』
リヴェリアの一射が突き上げられた片手に直撃した瞬間だった。触れた側から魔力は霧散していきついには根幹にあった魔法円すらも消え去った。まるで、起こったことが嘘だったかのように、音一つなく消え去った。
「何!消えた...いや、魔法の無効化か!」
「貴様らは常に騒がしい、忌み嫌う雑音をこうも近くでまき散らされる私の気すら知らずに...」
周囲が再び静寂が支配することはなく、今度はまるで過去に会ったことがあるとでも言うような言葉にリヴェリアは考えずにはいられなかった。しかし、今の力に既視感がないと言えば嘘になる。
彼女が思考に耽る中、ガレスは間髪入れずに突撃する。雄叫びを上げながら戦斧を振りかぶり、少ない敏捷で接敵せんとするが、
「まったく嘆かわしい...八年という月日を得ながら、変わったことなど微々たるものだ」
「八年だと...」
「だああぁぁぁぁぁ!!!」
リヴェリアが八年という短い時間を振り返ろうとしたその時、背筋が凍るような錯覚に陥る。先程から、目の前の女から感じている不気味な感覚が、今度は明確な恐怖に変わろうとしているのである。
ガレスも本能で分かっていながら、突撃をやめないのは彼の勇猛さゆえである。
しかし、そんなものに意味はないと彼女更なる理不尽を叩きつける。
『福音』
またしてもひと言、しかし起こったことは先ほどとは真逆の物だった。
自身が思考に結論を出そうとしたその時には、前衛をになおうと突撃したガレスが壁を壊しながら後方に吹っ飛んでいた。並みの攻撃ではダメージを与えるどころか動かす事すら困難なほど、高い耐久を誇るガレスがだ。
そして、それと同時にリヴェリアは彼女の正体に確信を得た。何故なら、あれほどの威力を誇りながら一言で発動するという理不尽を持つものなど、自身の知る中で二人、そしてその一人は男であり今自身と同じ側で戦っている。よって、その正体は心当たりの残った一人。彼女の名は
「何故お前がここに居る!【静寂】のアルフィア!」
「っ!なんじゃと!」
流石生きていたのか、彼魔女の一撃を受けてなおガレスは多々上がり、その正体に驚愕する。だが、ガレスはそれと同時に先程の破壊力に対する既視感の正体を理解し、そして納得した。
彼女は正体を知られてなお、そのローブを脱がず。フードを目深にかぶったまま、今度こそリヴェリアたちに向き直る。
「ヘラ・ファミリアが生んだ、最強の不条理、【才禍の怪物】」
自分たちが前にしているのは過去千年にわたって、都市最強を保持し続け今もなお勝るものなき語り継がれる伝説。その中でも抜きんでて数えられる者の一人が、このアルフィアだ。
「生きて、おったとはな、ヘラ・ファミリア」
案外余裕な表情でガレスはそう言うが、勝算が薄いことは身をもって知っている。何故なら、彼ら彼女らの武勇をこの目で見てきたからだ。
「何故...か」
「何故か...だと?」
アルフィアが投げかけられた質問を、ザルドもまたオッタルから投げかけられた。
その顔は兜越しでも分かるほど、不機嫌だった。その質問が不快なのか、それとも別の理由故に顔をしかめているのか。
「...俺には学がない。ベヒーモス討伐を機に一戦を退き、戦死したとまで言われた貴様が戦いを求めてここに来たのは理解できた。だが...」
その言葉に続くのはゼウス・ファミリアを知っている者たちならば当然疑問に思う事だ。
「お前たちが隆盛をもたした都市を、それを称えた民たちを蹂躙し脅かす。その矛盾は何だ?」
この迷宮都市オラリオを世界最先端の都市としたのは他のファミリアの尽力あれど、ゼウスとヘラ最強と呼ばれた彼らあってのものだ。それは敗北によって俺たちに排斥された今も変わることのない武勇。
だからこそ、自分達が守り続けた物を自らの手で破壊する意味が分からない。
「貴様は敵の動機も聞かなければ剣も握れぬ臆病者に成り下がったのか?女神の為、忠義の為と泥臭く立ち向かってくる貴様の在り方は多少評価していたのだがな。何たる惰弱、何たる脆弱」
「っ」
「...まぁいい。貴様の脆弱さなどもはやどうでもいい。故にその問いに対する答えを語ってやろう。」
オッタルは畳みかける言葉全てに言い返すことは出来ず。罵倒の末に得られる、ザルドの答えを聞くことにする。
「俺が無辜の民草に牙を剥き、貴様ら冒険者を踏み殺す理由。それは貴様ら...この神時代に対する失望故だ」
「神時代に対する失望だと...」
「いったい何に失望したというのだ」
「この常世全てにだ。...その一つにオラリオも含まれる。故に破壊する」
こいつは何をいっている?
【静寂】のアルフィアが理不尽なことはヘラ・ファミリア最盛期の頃からの事なので知っている。だが、その理不尽を振りかざすのは常に冒険者もしくは癇に障ったものだけだ。それを除けば比較的あのファミリア内では常識人だったはず。だが、
「貴様の失望一つで都市を滅ぼすだと...ふざけるな!そんな行い許されるものか!」
「聞く耳持たんな。この世には雑音が多すぎる、故に私はこの都市を滅ぼす。貴様らもその一つだエルフ、お前たちは黒き終末を待たずして私に間引かれる」
そして、再び蹂躙が始まった。一方では都市そのものを揺らす一閃が最強と謳われた猪人をただの一撃で下し、また一方では妖精達の女王とドワーフは魔女の一声に沈んだ。
その報はバベルに叩きつけられた死に体のオッタルの姿という、最悪の形で知れ渡り。都市の防衛を担っていた冒険者たちの士気が致命的なまでに低下する。
阿鼻叫喚の列に冒険者の声が入り始めたころ、絶望は更なる厄災を呼んだ。
業火に包まれる都市の只中に、天へと一条の神秘的な光が伸びる。その一瞬都市中の音が停止した。その光景に絶句する者、絶望の中の光明と錯覚する者、そして……最高の劇が始まったと歓喜する者。絶対悪が胎動を終え、靴音を響かせながら、待ち侘びたと開かれる幕を見ながら間から溢れる光を不気味に笑う。
「もう時期夕刻は過ぎ夜が来る、世界を混沌に堕とすなら絶好のタイミングだろ?」
一条の光、神々の送還が始まり蹂躙は加速する。一方的な殺戮が繰り広げられる中、一柱の神はその姿を大衆へと晒す。
さぁ、真の悲劇の幕をあげよう。
オッタルの撃沈が都市中に響き渡ったそのころ。崩壊した一画の商館、その瓦礫の下で血だまりに沈んだ少年が一人、その瞼を重たく上げた。
「……っ」
俯せの下つまり自分の腹から致死量と言っても過言ではない量の血が流れていることに気がつく。
「あぁ…そうだったな」
あの時、殿を果たす為に死に体を引き摺りヴァレッタと対峙し、相手の脇腹を切り裂いたと同時に八幡は土手っ腹に穴をあけられたのだった。
「通りで動けねぇ訳だ…」
朧げにだが意識はある、しかし指先はピクリとも動かない。と言うか寒いな...
手先の感覚がない。視界が霞む、意識が遠のく、上がっていた息がどんどん落ち着いていく。
肉体は諦め始めたらしい。
「まぁ、俺も...後悔なんて...後悔なん、て」
ないのか?
八幡は薄れゆく意識の中で、死にゆく自分に思い残したことはないかと考えた。そして、真っ先に思い浮かんだのは...
「俺は...何も、やり切ってねぇな...」
息も絶え絶え、抗うために目先に刺さっている二振りに手を伸ばす。しかし、もはや腕は満足に上がらず、足の感覚など何も感じない。それでも手を伸ばした。自分が出来たことなど彼女らに勝手に望みを託しただけだ。
「っ!」
瓦礫燃え盛る業火の中、少年は宿業と共に抱いた感情を拳に込めようと力む。
「...ムリっぽいな...悪い、お前ら......」
しかし、抗う命は輝きを失っていく。少年が再び意識をなくし、今度こそ血だまり永遠と沈もうとしたその時...
絶対悪がその産声を都市中に響かせた。
『聞け!オラリオ!』
神の声は絶望に打ちひしがれる冒険者たち、そして阿鼻叫喚を上げる市民たちの魂すらも逆撫でし、恐怖を更に上塗りしていくかのようだった。
その声は街だけではなくギルド地下の祭儀上にてダンジョンへの祈りを絶やさない創設神でさえも地上を見上げる形で耳を傾けた。
『我が望み、神々ですら予期出来ぬ純然たる混沌のため。地上に現存する希望の芽すべてを狩りつくす!』
声には微々たる神威が込められており、耳にした地上の子供たちの心に確実な影響を与える。ある者は先の神々の退去からか膝を折り絶望し、ある者は元凶を見定めたゆえの反骨心。
『傲慢と謗るか!それも結構、しかし英雄たちの芽はここで尽きる!』
故に絶対の悪はその両の手を広げ、零落せよと都市へと命じ、その黒い根を下ろす。
『君たちの絶叫、阿鼻叫喚雨の様に浴びせて欲しい!それが、それこそが我らの幸福なのだから』
そして、最後に彼の神はその神名を宣言する。その名は...
『我が名はエレボス!原初の幽閉にして、地下世界の神である!』
此処に絶対悪は都市の隅々までその名を轟かせた。都市がどう転ぼうと、後を生きる人々はその名を世界で最も恐れ憎むだろう。闇派閥はその名を称え、先程までの覇者への喝采が今では掲げられた絶対悪の名を称え、人々は戦慄していった。それは冒険者たちですら例外ではなかった。
しかし、たった一人その瞳を彼にしては珍しいほど大きく開き。先程まで生気を移さなかった瞳が感情に揺れていた。
「エレ...ボス」
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卒業式終わりました。流石に一カ月近く休むことになるとは...誠に申し訳ない。
大分、雑な感じになってしまいましたが、これ以降の展開はしっかり組んであるので勘弁してもらいたい。そして、ダンまちの連続刊行が楽しみ過ぎて財布が軽い。バイトしないと、ジュースも買えなくなってしまいそうです。さて、お待たせしておいて大変申し訳ありませんでしたので。これ以降大した予定も詰まっていない為投稿頻度は若干上がると思います。少なくとも週一、多くて週三まで上がると思いますので期待していただけると幸いです。
それでは長くなりそうなので閲覧ありがとうございました。また今週中に投稿できると思います。それでは、