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ピグマリオンピノッキオ

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ピグマリオンピノッキオ

まだ追加のカットを撮り出して漸く展示会が開かれたのは何とか夏の終わり頃だった

工房でドールが作られている環境をドラマに取り込み 失敗した型やパーツを上手く画面構成してスタジオ撮影の2体のエッグヘッドの写真に繋ぐ展開

人形っぽい一体のモデルと人間っぽい球体関節人形が様々なポーズをとり(或いはとらず)工房の雰囲気を再現したスタジオの中で撮られた精緻な写真

梓が最後のカットとしていたのはドールの立つ足元に誠が転がっているシーンだったんだが 撮り直したのは正面を向き頼りなく立つドールの横に後ろ向きでボディメークをしていない素の誠のヌード

が手に梓のライフマスクを抱えて立つ姿だった

入場者は多数で五日間の会期中にプログラムが急遽 追加印刷された

会場の丁度 中央あたりに事務所のエッグヘッドを運んで来て椅子に座らせ膝に梓のライフマスクを置いて固定した

念の為にポールを置き周囲をロープで囲い "触れないで"と数カ国語で表示した

作者名として村井の名と工房名も入れた

そうそうに前回 梓の処女写真集を出した出版社から作品集の打診があったので契約関係の話をウチの顧問弁護士事務所にして貰う事にした

前は実績が無い為  関係が梓に弱い契約になりキトゥンズ事務所に負担分を回したが 梓も実績と評価も高い作家になっている

この際 強気の契約関係に持って行く

やはりモデルは本人か と言う声が多く上がったがライフマスクに関してだけ本人でモデルは"キトゥンズテイルス"所属モデルで匿名である と声明を出すと あ〜またか となり鎮まった

念の為 誠は会場には行かないように指令を出した

が 俺が怜子と遥を連れて会場を訪れた時は2人ともまだ薄着でプロポーションが分かる服装だったのでエッグヘッドのプロポーションとの相似に注目を集めたが逆に2人一緒だった事から 世間的にはありがちなプロポーションと言う事で認識されたようだった

いっそ誠とひかりも連れて来れば良かった

秋には県展も開かれるから村井の作品にも注目が集まるだろう

村井の所へも取材があったようだが 要は村井のドール有き の撮影ではなかったか の確認だったようで 村井は向こうからの持ち込みの企画であり仕上がりの指定からモデルの指定までの 何なら作業工程の指示までついた相手先オーダーの作品である と名言した

まあ 御大がやっかみで業界誌に圧力を掛けたようだが いい恥晒しだった と裏で噂が流れた

エッグヘッドは地方の百貨店の催事展のポスターモデルに貸し出されたりした

キトゥンズテイルス所属モデル と言うクレジット入りでだった

梓は作品集のデータを入稿し終わると暫くはスナップ写真を撮ります と 休みには街中をカメラを持って流すようになった

色々 充電したいらしい

タイトルの ピグマリオンピノッキオ は意味深長だ とインタビューでも質問されたが梓はノーコメントで通したし 俺たちもそこは聞かなかった

梓のアイデンティティの深い所の話だ