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新しい季節8 影使い

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新しい季節8 影使い

細長く広がる邑を見下ろせる高台まで登って風に吹かれている

長閑ですねぇ

誠が額に手をやって邑を眺めている

あの旅館に渡り廊下で繋ぐ形でホスピスを建ててその裏に寮だな

診療所も近くに移設して女医さんは早めに誘ってメンバーに加わって欲しいな

コンビニは無理でも食料品や衣料品 日常雑貨を扱う店を持って来たいなぁ

今 邑の人はその辺り どうして?

自動車で買い出し 行ける人は谷抜けて隣町まで行ってるみたいだな

あと 農協系の移動販売車が回って来てる

一から邑作りですね

ああ 俺たちの な

俺たちは邑をあちこちと移動して地図と照らし合わせながら夢を語った

谷あいの早い夜を避けて切り上げ旅館に戻ると健さんが来ていた

お ちょうど良かった

仕事は上がりかい?

やあ 健さん 終わったよ

これ 嫁さんからだ

田舎料理だがな 口に合うか

あ〜 ありがとうございます!

レトルト食品 持って来たくらいですから助かります

と 誠が健さんから料理を受け取る

健さんはシワだらけの顔を綻ばせる

若い人の口に合えばいいがな

ああ 温泉の方も今日は皆 早めに済ませるように言っておいた

会社の調査があるからって言ってな

まあ ゆっくり調べて貰おうかな

それだけ言って健さんは旅館の玄関を出て行った

あ 戸締りは頼んでいいんだな?

と 振り返り 俺が頷くとそのまま 歩き去った

で 飯にしたいか?風呂にするか?

温泉!

と 声が重なった

わぁ〜

と 誠が声がを上げる

当然のように男湯について来ての所業だ

山梨の古民家のお風呂も良かったけどやっぱり温泉旅館のはひと味違いますね

ああ 広いだろ?

実は男湯も女湯も外の露天風呂もひと続きなんだ

俺は掛け湯をしながら外を差した

ざっくりと大きな楕円形の温泉を仕切っている訳だ

実際 女湯との仕切りも下の所は開いているだろ?

掛け湯を済ませた梓がお湯に身を沈めて仕切りを確かめた

あ 本当ですね

30センチくらいまで仕切りは有りませんね

30センチじゃ 忍び込んだりは出来ないですね

とは 誠だ

なんだ そりゃ

と 笑いながら俺は2人の白い背中を見た

外はまだ夕焼けには早い西日が照らしている