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蝶

ちょっとHぃショートショート — novelba.com · All chapters

蝶

女は目立たないように生きて来た

長い髪はひっつめて

太い縁の眼鏡は顔の半分くらいを

隠していたが硝子の素通しだった

身体に合わないオーバサイズの服は

女が痩せているのか

太っているのかさえ分からなかった

女は 実は優美だった

ギリシャ彫刻の女神のような身体に

大理石に刻んだような美しい顔をしていた

そうして 硝子で出来ていたのだ

女は見せ物になるのはごめんだし

美しかった彼女の叔母のように

砕かれてバラバラにされ腕や 太腿

乳房や 尻だけにされ持ち去られるのは

もっと嫌だった

女は知らなかったが

もうとっくに彼女は盗まれていて

コレクターの地下の奥まった部屋の

硝子ケースの叔母の

乳房の隣に並べられた

良く似た乳房が彼女だった

もうずっと女は 其処で

地味に目立たず楽しまない夢を

見ているのだった