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第九十七話 フェル丸洗い

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第九十七話 フェル丸洗い

レビューいただきました。

読んでいただいている皆様本当にありがとうございます!

今日は、フェル丸洗いの日だ。

昨日のうちに犬用シャンプーと犬用のブラシと大判のバスタオルを購入してある。

ネットスーパー見たら、あったよ。

ペットフードの種類も豊富だったし、ペット用品も充実していた。

やっぱり今はペット飼う人も増えてるからなぁ。

しかも、金に糸目をつけない飼い主も多いみたいだし。

俺にとってはそのおかげでネットスーパーで買えたから良かったけどさ。

スイが入った鞄を肩にかけて、フェルの待つ獣舎へと向かう。

「フェル、今日も街の外へ行くぞ。昨日言ったとおりフェルの体洗うからな」

『ぬ……ほ、本当に洗うのか?』

「もちろん。それとも何か、やっぱり水が怖いのか?」

『そ、そんなことがあるはずなかろう。濡れるのはちと苦手ではあるが……』

「別に水の中に入れってわけじゃないから大丈夫だって。行くぞ」

『ぬぅぅ、仕方がない』

昨日と同じく人気のない森まで連れてきてもらった。

まずは、フェルのブラッシングだ。

洗う前にブラッシングして毛の絡んだところは、ちゃんと解しておかないとな。

犬好きの知り合いから聞いたことを思い出しながらやっている。

いきなり洗うと、毛が固まったところの汚れが落ちなかったりするし、事前に抜け毛をブラッシングで取り除いておくとシャンプーしやすいし洗い流しも楽になるのだと犬好きの知り合いが力説していた。

「フェル、まずはブラッシング、毛を梳かしていくからな」

『う、うむ』

フェルの毛をブラシで梳かしていく。

『イテッ。もう少しやさしくやらんか』

「ごめん、ごめん」

毛の固まってる部分は皮膚をひっぱらないように気をつけながら梳かしていく。

牛並みに体がデカいから大変だ。

「ふ~これでいいかな」

特に腹の部分は固まってる毛が多くて苦労したけど、なんとか全体を梳かし終わった。

俺の脇にはこんもりと山になった大量のフェルの抜け毛が……。

これは土魔法で穴を開けて埋めた。

ブラッシングが終わったから、シャンプーにとりかかる。

まずは風呂を出してと。

『スイ、ちょっと手伝ってもらいたいから起きてくれるか』

念話で話すと、スイがすぐに鞄から這い出してきた。

『何ー、あるじ』

「ここにお水入れてくれるかな」

『分かったー』

スイに風呂に水を入れてもらったら、ファイヤーボールをぶち込んでお湯にする。

湯かき棒でかき回して温度を確かめると、まだ少し熱いのでスイに水を足してもらう。

うん、このくらいで大丈夫かな。

少し温めがいいらしいから、ちょっと温めにしてある。

湯おけにお湯をすくってフェルにかけていく。

『ぬっ……』

なんかちょっと腰が引けてるね。

フェルはやっぱり濡れるのは苦手のようだ。

お湯をすくってはかけてを何度も繰り返していると、フェルがソワソワしだした。

『まだ終わらぬのか?』

「ぜんぜんだよ。ってかフェル大きいから全体を濡らすのだって大変なんだよ」

『スイの水魔法で何とかならんのか?』

あっ、その手があったか。

風呂のお湯を吸い上げて、シャワーみたいに出してもらうって出来るかな?

水の女神ルカ様の加護もあるから水の操作はできそうだし、スライムの特性を生かして変形できるから、スイならできるかも。

「スイ、このお風呂のお湯を吸い上げてフェルに雨みたいにシャーって降らせることできるかな? そんなに強くなくていいからな」

『うーんと、やってみるねー』

そう言うとスイは風呂に触手を伸ばしてお湯を吸い上げると、反対側にもう一方の触手を伸ばして、その先端からお湯を出した。

これだとホースからお湯をだしただけのような感じだ。

『こうして、こうかなぁ?』

触手の先端が変形して、その先からシャワーのようにお湯が出てきた。

「そうそう、上手上手。これで大丈夫だよ。さすがスイだね」

『うふふふ。スイ偉いー?』

「偉い偉い。じゃ、フェルを洗い終わるまでちょっとこのままでいてくれるか」

『うん、いいよー』

スイのシャワーでフェルの体も満遍なく濡れた。

ここで昨日買った犬用シャンプーが登場だ。

とは言っても実際は犬・猫用シャンプーらしいが。

商品紹介に獣医おすすめって書いてあったやつだ。

皮膚の健康維持に最適で低刺激だから子犬や子猫にも使えるとも書いてあったな。

コンディショナー入りで洗いあがりもしっとり柔らかな毛になるそうだ。

ちょい高めだったけど、良さげなのでこれにしてみた。

よし、あとは確か首から肩その後に背中と高い方から順に洗っていくって確か言ってたな。

あくまで優しくって犬好きが力説してたな、そういえば。

シャンプーをつけて首から優しく洗っていく。

「フェル、かゆいところとかないか?」

『うむ、大丈夫だ。だが、もう少し力を入れて洗ってもいいぞ』

ああ、そうだよね。

フェルだし、犬好きが飼ってた犬と一緒にしちゃいけないか。

俺はフェルの希望どおりガシガシ洗った。

『おおぉ、そこだそこ』

へいへい。

フェルがそこだというところを力を入れてガシガシ。

『うむうむ、なかなかいいぞ』

背中、脇腹、足と全体をくまなく洗っていく。

シャンプーで洗うのはマッサージ効果もあるのかフェルも気持ちいいみたいだ。

この際だから顔も洗いたいんだけど、顔に泡つけたらさすがに嫌がるだろうなぁ。

お湯で洗うだけでもしときたいんだけど。

「なぁ、フェル、顔洗いたいんだけど、お湯かけてもいいか?」

『か、顔にか? ぬううう、我も男だ。さっさとやれいっ』

フェルがそう言って目を瞑った。

やっぱりフェルは水が苦手なんだね。

だけど、そこまで覚悟する必要もないんだけど。

高ランクの魔物をバンバン狩ってくる伝説の魔獣が水苦手って……。

笑っちゃ悪いんだけど笑いそうになっちゃうよ。

「ブフッ」

『ぬ、お主今笑ったな?』

「わ、笑ってないよ。スイ、お湯吸い上げてくれるかな? ブッ」

『はーい』

『ぐぬぬぬ』

「フェル、顔にかけるぞー」

『ぐっ』

シャー。

フェルの顔にスイの触手の先から出るシャワーをかけて洗い流していく。

うん、これで綺麗になったかな。

「はい、いいぞ」

『ふぅぅ』

「次は体の泡流していくからな」

スイのシャワーでシャンプーを洗い流していく。

すすぎ残しのないように丁寧に。

決して嫌がらせじゃないんだぞ。

「これでよしと、流し終わったぞ」

『ふぅ、ようやく終わったか』

「今タオルで拭くから、うわっ、やめろーーーッ」

タオルで体を拭こうと思った矢先、ブルブルブルッとフェルが体を豪快に揺すった。

ビチャビチャビチャッ。

「…………フェル?」

『ぬ? おお、すまんな』

「すまんじゃないよぉ、全身ビチャビチャになっちまったじゃねぇか、ペッペッ」

しかも吹っ飛んできた水にフェルの毛まで交じってるし。

フェルを洗いに来たのに俺まで風呂に入る羽目になったぜ。

はぁ~。

フェルはというと、ブルブルブルッとして水を切ったあと、自分で温風を出して体を乾かしてた。

ニンリル様の加護があるから風魔法はお手の物ってことみたいだ。

水は苦手みたいだけど、洗い上がりの仕上がりには満足してるようで、自分の体を見て『うむ』とか言ってる。

確かにつやつやサラサラの白銀の毛並みは見惚れるようだ。

でも、それを維持するのが大切なんだよね。

「これからも1か月に1、2回はフェルの体洗うからな」

『なぬ? こ、これで終わりではないのか?』

「何言ってんだよ、汚れたままなのは皮膚に悪いんだぞ。それにその毛並みお前も満足そうにしてるじゃないか。それを維持するのにはちゃんと洗わないとな」

『ぬ、い、いや、我は別にな……』

「それに、今の綺麗な銀色の毛並みをなびかせたお前の方がフェンリルらしくっていいじゃないか。薄汚れたフェンリルなんて、幻滅されるぞ」

『う、薄汚れたフェンリルだと……ぐぬぬぬ』

「まぁ、ちゃんと洗ってればその毛並みも維持できるんだし。俺が責任をもって洗ってやるから心配するな。それにな、スイ、今のフェルおじちゃんどう思う?」

『んーフサフサで綺麗でカッコいい!』

「ほら、スイだってこう言ってるんだぞ」

『むぅ、仕方ない、1か月に1、2回洗われてやる』

よし、これで埃っぽいフェルに乗らないですむ。

毎月1、2回はワシャワシャ洗ったるからなぁ。