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第百話 地竜の解体は断られました

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第百話 地竜の解体は断られました

今日は100話と101話更新です。

本編100話超えました。

お読みいただいている皆様ありがとうございます。これからもよろしくお願します。

冒険者ギルドに入ると、職員の人が知らせたのかギルドマスターがすぐにやって来た。

俺とギルドマスターは倉庫に向かった。

倉庫にはいつものようにヨハンのおっさんがいた。

「お、来たかい。出来てるぞ。兄さんに戻す分のワイバーンの肉7匹分とワイバーンの皮と魔石が2匹分だ。いやぁ、どうやったかわからんがこれだけキレイに血抜きしてあんのは初めてだ。そのおかげで解体作業も楽だったぜ」

ああ、血抜きね。

スイのおかげで血抜きは完璧だったからね。

ホントにスイは万能だよ。

「血抜きはスイにしてもらったんです」

ポンっとスイのいる鞄を叩くと、スイが頭を出した。

「そのスライムの従魔か? スライムにそういう使い方があるとはねぇ」

「おい、ヨハン。こんな器用なことを出来るのは、おそらくそのスライムだけだぞ。特殊個体らしいからな」

「それじゃ冒険者パーティーごとに1スライムってのは無理か。そうなれば俺の仕事も楽になると思ったんですけどねぇ」

「まぁ、そんなにうまくはいかんわい。ハハハ」

ワイバーン肉、さすがにデカいな。

こりゃ食いでがある。

皮と魔石は5匹分はギルドで買取ってくれるってことだから残り2匹分だな。

魔石ってこんな感じなのか。

ワイバーンの魔石は、直径20センチくらいの黒っぽい丸くて平べったい石だった。

魔道具やらに使うみたいで高値で取引されてるって言うけど、俺じゃ使い道ないしね。

金に困ったときにでも売ろう。

おかげさまで今のところ懐は超がつくほど温かいからいつになるかはわからんけども。

ワイバーンの皮は触った感じ薄い。

何の皮かって言われると似ているものが思い浮かばないけど、色は好みだ。

ダークグレイの落ち着いた色合いだ。

これはマントにしたら確かにかっこいいかもしれないな。

「買取代金は、今回渡してもらう残りのワイバーンの解体が終わってからまとめてでいいか?」

「いいですよ」

「あ、そうだこれは先に渡しておかねばな」

ギルドマスターから渡されたのは金貨10枚だ。

「上級ポーションの代金だ。ケガをした冒険者パーティーからきっちり回収したからな。まぁ、そうは言っても初級冒険者だから、ギルドが貸し出した形ではあるがな。ハハハ」

ああ、そういえばスイ特製上級ポーションを渡したんだった。

すっかり忘れてたよ。

金貨10枚くれたけど、普通の上級ポーションって金貨10枚もするのか。

「お主から渡された上級ポーションは明らかに普通の上級ポーションよりも効き目があったのだがなぁ。あいつらも深く感謝していたぞ。代金については、申し訳ないが、同じ冒険者同士の助け合いと思ってこれで勘弁してやってくれ」

「あれはタダ同然で手に入れたものなんで、そんな気にしないでください」

「どうやったらあのようなポーションがタダ同然で手に入るのか気になるところではあるが、お主に関しては詮索は禁物だろうからな」

そうしていただけるとありがたいです、はい。(苦笑)

スイが作っただなんて言えないですからね。

「そういえばポーションっていくらくらいするもんなんですか?」

「ポーションはな、初級が銀貨5枚、中級が金貨1枚、上級が金貨10枚だ。その上の特級もあるんだが、これは金貨50枚する。冒険者が持つのはせいぜい中級までだろうな。高ランク冒険者になれば上級を持つ奴もいるが」

冒険者ギルドでは念のために上級ポーションを何本か保管しているのだが、ワイバーンのときはたまたま在庫を切らしていたそうだ。

「冒険者ギルドでは特級は保管してないんですか?」

「ありゃ高額だからなぁ。王都の冒険者ギルドなら置いてるが、それ以外で置いてるところはないだろうな」

なるほどね、確かに金貨50枚は高いしね。

ギルドマスターが初級冒険者からきっちり回収したって言ってたから、今回に限らず、ポーションを使用したら使用した冒険者に代金は請求されるんだろうから、金貨50枚なんて普通の冒険者じゃ払えないだろうからな。

ちなみに特級になると、切断された腕や足も時間が経っていなければ繋がるそうだ。

「ああ、そうだ、残りのワイバーン出しますね」

残りのワイバーン6匹を取り出した。

ポーションの話をしていて忘れそうになったけど、ここに来たのってこのためなんだよね。

『おい、我が獲ってきたアレを解体だけしてもらうという話も忘れるな』

「ああ、そうだったな」

フェルに言われて 地竜 ( アースドラゴン ) のことも思い出した。

これはこのまま忘れてても良かったよ。

出したくないしさぁ……。

「ん? フェンリル様が獲ってきたっていうと、またどえらいもんか?」

ギルドマスターが俺たちの会話を聞いてそう言う。

「ええ、実はフェルが 地竜 ( アースドラゴン ) を獲ってきまして……」

………………

…………

……

「儂の耳がおかしくなってないのなら、お主、今、 地竜 ( アースドラゴン ) と言ったか?」

たっぷり間を空けてからギルドマスターがそう言った。

「え、ええ」

「…………本当の本当に 地竜 ( アースドラゴン ) なのか?」

「え、ええ。出しますから確認してください」

俺はアイテムボックスから 地竜 ( アースドラゴン ) を取り出した。

「…………」

「…………」

ギルドマスターもヨハンのおっさんも 地竜 ( アースドラゴン ) を見て呆然としていた。

あれ?長いな。

おーい、2人とも戻ってこーい。

「あ、あのー……」

「あ、ああ、すまん。いや、何だな、驚き過ぎて放心しちまったわ」

本当にすんません。

「おい、ヨハン、大丈夫か?」

ギルドマスターがヨハンの肩を叩いて現実に引き戻す。

「……あ、ああ、ギルドマスター。俺、夢見てるんですかね、目の前に 地竜 ( アースドラゴン ) がいますよ、ハハハ」

あ~、やっぱりそういう反応になるんだよね。

ギルドマスターもヨハンのおっさんも、本当にすんませんです。

「あのですね、ドラゴンの肉は美味いらしくって、フェルが解体だけでもしてもらえないかって言ってまして」

『うむ。ドラゴンの肉は美味いぞ。ワイバーンの肉も美味いが、それ以上だ』

フェルがそう言うと、ギルドマスターもヨハンのおっさんもまた黙ってしまった。

「…………ドラゴンの肉が美味いとはなぁ」

「え、ええ。ドラゴンの肉の味なんて知ってる奴はいやしませんよ」

え?ドラゴンステーキとかないの?

「何せ、直近でドラゴンの討伐があったのが200年以上前の話だからなぁ……」

「ええ、長命種のエルフやドワーフなら当時の話を知ってる者もいるかもしれませんがね……」

前にチラっと聞いた話によると、エルフの寿命は500年から600年でハイエルフになると1000年は生きるらしい。

ドワーフは200年から長生きの者で300年だそう。

200年以上前っていうとヨハンのおっさんの言うとおり、エルフかドワーフくらいしか当時の話は知らないだろうなぁ。

「やっぱりこれの素材の買取は……」

「無茶言うな。キマイラにオルトロスときて、それ以上の 地竜 ( アースドラゴン ) なぞ引き取れるわけなかろう」

あ~やっぱりね。

まぁ、そうなるわな。

「それは分かりましたけど、何とか解体だけでもお願いできませんか?」

「うーむ、どうなんだヨハン?」

「そりゃ無理ですよ。ドラゴンといやあ捨てるところがない。血から内臓から、何がしかの材料になるって言いますからね。血の一滴も無駄に出来ない慎重な作業を俺1人でなんてとてもじゃないが無理な話です。それに、ここにはその設備もないっすからね」

ドラゴンの解体ともなると、それなりの設備が必要らしい。

まぁ血の一滴も無駄にしないように解体するならいろいろ必要なのかもしれないな。

「ここじゃ無理だけど、王都やダンジョン都市の冒険者ギルドならできるかもしれませんね」

「確かにな。王都やダンジョン都市なら解体専門の職員も多いからな」

王都かダンジョン都市か。

とにかくここじゃ無理ってことだよな。

「フェル、ここではこれの解体できないってよ」

『残念だが、仕方ないか』

俺は 地竜 ( アースドラゴン ) をアイテムボックスに戻した。

「悪いね、兄さん」

「いえいえ、それどころか俺専門みたいにやってもらって感謝してます。でも、もうすぐそれも終わると思いますんで」

何だかんだ言ってこの街にも長く滞在したからな。

フェルが海行きたいって言ってるから、もうそろそろ急かしてきそうだし。

ワイバーンの買取代金もらったらとりあえずは一区切りつくから、また旅に出ようと思う。

この国もいろいろと見て回りたいし。

「ん? お主、もう旅立つのか?」

「ええ。ワイバーンの代金を頂いたら、旅に出ようかと思います」

「そうか。残念だが仕方ないな。そういう話もしておったしな。それならば前に言っていたとおり……」

「ああ、途中の街で高ランクの依頼を受けるってやつですね?」

「うむ、お願いできるかの」

「それは大丈夫だと思いますけど、まだどこを通っていくとか決まってないんで……あ、この国の地図ってギルドにあったりしないんですか?」

「おお、あるぞ。そういう話なら儂の部屋でしよう。今後のこともあるからな」

ギルドマスターと一緒にギルドマスターの部屋に向かおうとしたところ、ヨハンのおっさんから声がかかる。

「あ、この残りのワイバーンだがキレイに血抜きしてあるから手間もかからん。取りに来るのは明後日で大丈夫だ」

「分かりました。また明後日来ますんで、よろしくお願いします」