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第百七十話 対ドワーフ用秘密兵器

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第百七十話 対ドワーフ用秘密兵器

閑話も書きたいところなのですが、ドランの街での話の区切りがついたらになりそうです(汗)

もう少しお待ちください。

「バッカヤローッ! ここを何だと思ってやがるッ! 二度と来るんじゃねぇッ!!」

怒鳴られてすごすご店を後にする。

これで5件目だ。

冒険者ギルドを後にして、バーベキューコンロを作ってもらおうと鍛冶工房が集まる区画へ来たのはいいけど、入る工房入る工房すべてに断られる。

最初は「どんな武器なんだ?」って聞かれるから「いえ、武器じゃなくってこういうのを……」と紙に書いて説明するんだけど、説明の途中でみんなブチ切れる。

鍛冶つったらドワーフを想像すると思うんだけど、そのとおり今までの5件の鍛冶工房の親父もドワーフだった。

見た目どおり頑固親父って感じではあるんだけど、あんな怒鳴んなくてもいいのにさ。

ドワーフって短気な人が多いのかね。

ウゴールさんからこの街の鍛冶工房は武器専門のところがほとんどだとは聞いてたし頑固者が多いとは聞いたけど、これほどとはね。

武器以外作れないわけじゃないんだから作ってくれてもいいのに。

それにしても、どうすべきかな。

…………あ、酒。

鍛冶工房の親父ってドワーフばっかりだ。

ドワーフと言えば酒だよね。

ネットスーパーで買った酒を見せたら……。

クフフフ、イケる、イケるぜこれは。

そうとなったら早速酒を買わないと。

俺は人目のない路地裏に入りネットスーパーを開いた。

何の酒がいいかな?

やっぱりある程度アルコール度数のあるものがいいか。

そうなると……やっぱりウイスキーが無難かな。

ウイスキーといえばやっぱこれかな。

ウイスキーはあんまり飲まないけど、ウイスキーって聞くと俺はこれが一番に浮かぶ。

日本のメーカーの四角い瓶のウイスキーだ。

それの700ミリリットル入りの瓶を購入した。

ネットスーパー ( 異世界 ) の酒だけど、そんなに劇的に変わるってことはないだろうと思う。

とりあえず鑑定してみるか。

【 ウイスキー 】

異世界の酒。酒精が高い。体力を5分間およそ2%低下させる。

おう、向上じゃなくて低下だよ。

ネットスーパー ( 異世界 ) を取り入れたからって向上とは限らないんだな。

5分間およそ2%低下だって。

こりゃ酒だからか?

酔っぱらってバッドステータスってことなのかな?

よくわからんけど、新たなことが分かって良かったぜ。

ウイスキーは劇的に変わるってことでもなさそうだし。

よし、これを携えて次の鍛冶工房へ行ってみるぞ。

「すみませーん」

「ん、客か。何だ?」

店の中へ入ると、出て来たのは背の低いがっしりした体型の髭もじゃのいかにも頑固そうなドワーフ親父。

よっしゃ、思ったとおりだぜ。

これならいけそうだ。

「あの、注文したいのですが……」

「おう、どんな武器だ?」

やっぱり注文は武器だって前提になっちゃうんだね。

「えーと、注文したいのは武器じゃないんですが……とにかく話だけでも聞いていただけないでしょうか?」

武器じゃないと言った途端に眉間に皺を寄せるドワーフ親父。

「武器じゃないだとぉ?」

「ええ。作るかどうかは別にして、話だけでも聞いてもらえるとありがたいのですが」

「まぁ今は暇だから話だけは聞いてやる。作る作らないは話を聞いてみてからだぞ」

「はい、それでけっこうです」

俺は事前に雑貨屋で購入した羊皮紙にバーベキューコンロの絵を描きながら説明していった。

「このくらいの大きさで、ここの引き出しには炭を入れるんです。それでですね脇は、こう網の目にしてもらうか穴を開けてほしいんです。そうすることでここの引き出しに入れた炭が良く燃えるようになるんで。あと上のこの網の部分は取り外し可能にしてもらって、ここで肉を焼いたりします」

フェルたちのこともあるけど、将来はこれ使って屋台なんかをやってみるのもいいかと思って大きめにお願いした。

「……はぁ~、帰れ帰れ。相手がドワーフとしちゃ温厚な俺で良かったな。オメェ、他の親方連中が相手だったらブッ飛ばされてるぞ」

さすがにブッ飛ばされはしなかったけど……。

「既に何件か怒鳴られて追い返されました」

「何だ、俺んとこ来る前に他にも行ったのか。なら分かるだろ。この辺でお前の注文受けるような工房はないぞ」

うーん、この辺の工房はやっぱり武器一辺倒なんだね。

でもな、何度も断られてそれは分かっていたこと。

今回は対ドワーフ用秘密兵器を用意してきたんだぜ。

これでも断るかい?

「話は変わりますけど、親方は酒は好きですか?」

「見りゃ分かるだろう。俺はドワーフなんだぞ、酒嫌いなわけないだろうが」

親方は何当然なこと聞いてくるんだって顔してるな。

ドワーフが酒好きなのは言うまでもないことってことか。

「実はですね、私、こういうものを持っていまして……」

俺はアイテムボックスからウイスキーの瓶とコップを取り出して親方に見せた。

「これはとても珍しい酒なんですけど、酒精も強くてドワーフの皆さんの好みに合うかと」

俺が手に持ったウイスキーの瓶を見て親方がゴクリと唾を飲み込んだ。

「まずは一杯お試しにどうぞ」

ウイスキーの瓶のふたを開けてトクトクとコップに注いでいく。

甘さを含んだアルコールの香りがほのかに立ち上る。

俺は琥珀色の液体の入ったコップを親方に差し出した。

親方は吸い寄せられるようにコップを手に取ると、琥珀色の液体の香りを嗅いだ後にゴクッと飲み込んだ。

「カ―――ッ、ウメェッ! な、何だこの酒はッ?! こんなウメェ酒は初めて飲んだぞッ!!」

クククッ、対ドワーフ用秘密兵器はバッチリ効いたようだな。

「この酒はですね、小国群の一部で細々と造られてる酒なので滅多に手に入らないんです。私はこの酒を少々持っていましてね。私の注文を受けていただけるようでしたら、代金とは別にこの酒を5本ほどお譲りしてもいいと思ってます」

これでどうだ?

さっきの手応えから行くとウイスキーはかなり気に入ってもらえたみたいだけど。

親方は俺の言葉に少し考えているようだ。

「……10本だ。代金とは別にこの酒を倍の10本くれるんならやってやる」

よっしゃ、受けてくれたぜ。

ウイスキー効果抜群だね。

「分かりました10本お譲りします。これはお受けしていただいたお礼に」

さっき開けたウイスキーの瓶を渡すと、親方は喜々としてコップに注いだ。

「ハーッ、ウメェ。こんな美味い酒があったんだなぁ」

ウイスキーを飲みながらそんな言葉が親方の口から洩れた。

小国群の一部で細々と造られてる酒なんて適当なこと言いましたけど、それ異世界の酒ですからね。

俺はウイスキーはあんまり飲まないから詳しくはないけど、この酒もかなりロングセラーのウイスキーだからね、それだけ長く愛されてるってことはやっぱ美味いってことなんだろう。

「出来上がるまでにどれくらいかかります?」

「そうだな、3日だ。3日後にまた来い」

「代金はいかほどに?」

「けっこうな大物だからな、材料費含めて金貨350枚程度ってところだな」

それくらいなら問題ないね。

「それじゃ、3日後にまた来ますんでよろしくお願いいたします」

「おう。オメェも酒忘れんなよ」

代金忘れんなじゃなくて酒忘れんなですか。

さすが酒好きドワーフ。

俺は苦笑いしながら「分かりました」と伝えて店を後にした。

店から出ると、フェルたちは店の外で眠りこけていたよ。

スイは最初から俺が肩に掛けてる革鞄の中で寝てるし。

『おーい、帰るぞ』

寝ているフェルとドラちゃんに念話を送った。

『ぬ……終わったのか?』

『ふぁぁ~、ようやく終わったのか』

「お待たせ。今日はもう用事もないし宿に戻るよ」

『腹も減ってきたし、宿に帰ったら飯だ』

もうそんな時間なのかと思ったら、太陽が大分傾いていた。

説明したりしているうちに大分時間が経っていたようだ。

さて、今日は何にしようかな。

アイテムボックスに残っている肉を思い浮かべる。

オークジェネラルは大分減ってきてるんだったよな。

あとはブラッディホーンブルとワイバーンの肉はまだまだあるし、ダンジョン産のオーク肉もまだある。

あとはこの間フェルが獲って来たジャイアントタレポが半分くらい残ってて、それからコカトリスとロックバードの肉はそのまま残ってるんだったな。

それなら、魔道コンロのデカいオーブンで作ってみたかったあれにするか。

このオーブンなら丸々入るしね。

うん、そうしよう。