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第百七十九話 ムコーダ、一軒家を借りる。

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第百七十九話 ムコーダ、一軒家を借りる。

皆様、あたたかいお言葉ありがとうございます。

これからも(ほどほどに)頑張りまます。

ネイホフの商人ギルドに来ている。

フェルたち連れだからなんか注目されてるね。

さっさと用件済ましちゃおう。

窓口に行ってさっきヨーランさんにもらった紹介状を見せた。

「少々お待ちください」

窓口の受付嬢が紹介状を持って席を立った。

少しすると、チョビ髭を生やした恰幅のいい40代半ばくらいのおっさんがやってきた。

「ムコーダ様、お初にお目にかかります。私はここネイホフの商人ギルドで副ギルドマスターをしておりますドメニコと申します。よろしくお願いいたします。冒険者ギルドのギルドマスターのヨーラン様のご紹介ということで、本来ならギルドマスターがお相手するべきなのですが、あいにくと外出しておりますので、私が担当させていただきます」

ヨーランさんの紹介状は威力バッチリだね。

副ギルドマスターが来たよ。

しかも、もみ手で偉く丁寧に対応してくれてるよ。

「ご丁寧にありがとうございます。それで早速なんですが……」

「従魔と一緒に泊まれるような大きめの一軒家を借りたいということでございますね?」

「はい。この街にいる1週間から10日間ぐらい借りられればと思ってます。値段は少々高くてもかまいません」

副ギルドマスターのドメニコさんが、それではと奥から資料を取り出してきて確認している。

「ご希望に合うような物件が3つほどございます」

3つか、けっこうあるね。

物件についてドメニコさんから説明を受けた。

まず1つめが、ドメニコさんおすすめの物件でとある工房主の持ち物だった7LDKの邸宅だ。

街の中心部にもわりと近いうえに、冒険者ギルドもさほど遠くない場所に立地している。

他の2つの物件よりも小さい造りだが、フェルも十分に入れる大きさではあるとのことだった。

立地場所がいいので、こちらの物件の賃料は1週間で金貨60枚とのことだった。

7LDKで小さいって、どうゆうことよ。

そう思ってたら他の2つがすごい物件だった。

2つめは、街の中心部からは少し離れた物件だが、元は貴族の別荘だったとかで、広い庭付きの13LDKの大邸宅だ。

中の部屋も一つ一つが大きな造りになっているのと、貴族の持ち物だったということもあってかなりゴージャスな造りになっているそうだ。

こちらは物件自体は大きいが、街の中心部からは少し離れているため、賃料は1週間で金貨63枚とのことだった。

3つめは、こちらも街の中心部からは離れた物件で、元は商人の邸宅で10LDKの物件だ。

これは物件の築年数が古いのと、2つめの物件よりもさらに街の中心部から離れた物件のため、賃料は1週間で金貨45枚とのことだった。

聞いた限りでは3つの中では1つめの物件がいい感じだな。

何より街の中心部に近いっていうのと冒険者ギルドにも近いというのはありがたい。

ドメニコさんは小さめだとは言うものの7LDKもあったら俺からしたら大邸宅だよ。

とりあえず一番気になる1つめの物件を見せてもらって、気に入ればそのまま借りたいと思うとドメニコさんに伝えた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「こちらです」

ドメニコさんに案内されて1つめの物件を見に来ていた。

門を開けて入ると、けっこう広い庭がある。

赤や黄色にピンクの花々が咲き誇り、庭には小さいけど噴水まであった。

「少々小さい庭ですが、ご覧のとおり管理はきちっとされています」

え、これで小さい庭って言っちゃうの?

テニスコート2つ分くらいあるから十分に広いと思うんだけど。

「それでは中へどうぞ」

建物の外観からして随分立派で俺の感覚からいくと夢の大邸宅って感じの様相だ。

玄関の扉はアーチ型の観音開きの扉で、フェルでも余裕で通れる大きさだ。

ドメニコさんに案内されて、その扉の中にみんなで入っていく。

中に入って、玄関ホールの広さにびっくりした。

吹き抜けの開放感のある玄関ホールで、ここでみんなで寝てもいいくらいの広さがあった。

『なかなかいいではないか』

『ほ~、広くていいじゃねぇか』

『わーい』

フェルも一目で気に入ったようだし、ドラちゃんも同じく気に入ったみたいだね。

スイも嬉しそうにポンポン飛び跳ねてるよ。

広い玄関ホールには、その壁際に沿うように螺旋階段があった。

螺旋階段がある家なんてテレビでしか見たことないぜ。

「中をご案内いたします」

ドメニコさんの後について入ったのはリビングに当たる部屋だ。

30畳はあろうかという大きな部屋だった。

その先がダイニングで10人くらいが座れる大きなダイニングテーブルがデンっと置いてある。

しかも、そのテーブルとセットになっているイスはところどころに細かい細工が施されて随分と意匠をこらした高級感のあるものだ。

そして、ダイニングの先がキッチンだ。

だが、そこはもう個人宅のキッチンというより飲食店の厨房と言った方がしっくりくる大きさと設備だった。

「魔道コンロと、こちらの魔道保冷庫も完備しております」

魔道コンロも俺の持ってる最新式のものと同じく4つ口ついていた。

魔道保冷庫は、3畳くらいの小さな部屋がそのまま冷蔵庫になったような感じだった。

す、スゲェな、この屋敷。

正にセレブの豪邸だよ。

この後、2階の部屋も案内してもらったんだけど、主寝室は20畳くらいある部屋で高そうな絨毯が敷かれてたよ。

それから天蓋つきのキングサイズのベッドが完備されていた。

2階のほかの部屋も主寝室ほど広くはないけど、同じく高そうな絨毯が敷かれてこちらはクィーンサイズのベッドが完備されていたよ。

このクラスの家になると、当然風呂もあって、俺の風呂の1.5倍くらいの大きさの花柄の絵付きの風呂があったよ。

確か絵付きのものは高いんだよね。

俺が驚いていると、ドメニコさんが「なかなかこの大きさの絵付きの風呂は出回らないのですが、ここは焼き物の街ですからな」と少し自慢げだった。

確か風呂もこの街で作ってるって話だったはずだもんな。

さすがは焼き物の街だね。

フェルもドラちゃんもスイもこの家は気に入ったようだし、俺ももちろん気に入った。

街の中心部にもわりと近いうえに、冒険者ギルドもさほど遠くない立地もさることながら、こんなに広々として豪華でキッチンもすごい設備の家なんて夢のようだよ。

文句なしの物件だね。

俺はここをとりあえず1週間借りる契約を結んだ。

「それでは賃料の金貨60枚です」

俺はドメニコさんに賃料を渡した。

「はい、確かに金貨60枚お受け取りしました。こちらはこの家の鍵です。もし、延長される場合はご足労ですが商人ギルドまでお越しください」

ドメニコさんは俺に鍵を渡すと、商人ギルドへと帰って行った。

今日から1週間は、ここが拠点になるわけか。

なんかセレブになった気分だぜ。

あ、そうだ、もうそろそろ夕飯の時間だし、早速キッチン使わせてもらおう。

何作ろっかなぁ。

…………あっ、あれだよあれっ。

今まで匂いが強いからって控えてたあれ。

戸建てだし、ここならある程度お隣さんも離れてるから大丈夫そうだよな。

思いだしたらめっちゃ食いたくなってきた。

今日は絶対あれを作るぞ。