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第二百話 ブラッディホーンブルの塩釜焼き

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第二百話 ブラッディホーンブルの塩釜焼き

なんと本編200話です。

ここまでこれたのも読んでいただいている皆様のおかげです。

ありがとうございます。

家に帰ってきたところで飯にしようと思っているんだが、どうしようか迷ってる。

それというのもここの豪華キッチンを使えるのも今日が最後だからだ。

明日は朝早くこの街を発つ予定だから、朝飯は作り置きしてあるので簡単に済ませるつもりだし。

うーん、最後にちょっと豪勢なもんでも作ってみるか。

何を作ろうか考えて思いついたのが塩釜焼きだ。

だいぶ前だけど、面白そうだったから一度だけ作ったことがあるんだよな。

そんときは豚肉を使ったんだけど、ちょっと失敗したんだ。

レシピどおり作ったんだけど、肉がちょっと塩辛かった。

あとでネットで調べてみたら、キャベツとかレタスで肉を包んで塩が直接肉に付かないようにしてあるレシピもあったんだよな。

前に作ったときのことを考えて、今回はキャベツで包む方法で作っていくことにする。

リベンジだぜ。

今回はブラッディホーンブルの肉を使おうと思う。

まずはネットスーパーで材料の調達だ。

塩釜に使う粗塩と卵、味付けはちょっと良い物をと思って天然塩とミル付きブラックペッパーと生のローズマリーを購入した。

よし、作っていこう。

まずは肉を包むキャベツを軽くゆでておく。

塩釜の塩用に、ボウルに卵白と粗塩を入れてしっとりして握ったときに固まる程度になるまで手で混ぜていく。

塩釜の塩の用意が出来たら、ブラッディホーンブルの肉に天然塩とブラックペッパーをまぶし、肉の上にちぎった生ローズマリーを載せる。

その肉をゆでたキャベツの葉を何枚か使って包んでいく。

天板にクッキングシートを敷いて、その上に塩釜の塩を肉の塊より少し大きめに広げてキャベツで包んだ肉を載せる。

あとは、肉が見えないように塩釜の塩で隙間なく覆っていく。

それから余熱したオーブンで焼いていく。

200度で焼いていくんだけど、ここのキッチンのオーブンも魔道コンロと一体になってるタイプだからその辺は様子を見ながら焼いていく。

キッチンの空いてるスペースに俺の魔道コンロを出して、そのオーブンも使って焼いた。

2つのオーブンでブラッディホーンブルの肉の塊をそれぞれ6個ずつ焼いてる。

ちょっと多いかなと思いつつも、残ったらアイテムボックスに入れておけばいいしね。

「もうそろそろ、いいかも」

焼けた塩釜焼きをオーブンから取り出してあら熱をとる。

あら熱をとっている間にソース作りだ。

そのままでも美味そうだけど、粒マスタードソースが合いそうだからそれを作っていく。

鍋に粒マスタード、みりん、醤油を入れて一煮立ちさせ、冷めたところにオリーブオイルをちょびっと足したら出来上がりだ。

あら熱とれたかな?

うん、もうよさそうかも。

包丁の柄で塩釜をコンコンと叩いて割っていく。

ハーブのいい香りがしてくる。

出てきたブラッディホーンブルの肉の塊からキャベツの葉を剥がして、上に載ったローズマリーも取り除く。

肉の塊を切ってみると、中は薄いピンク色でいい感じだ。

端っこを味見してみると……。

「ウマッ」

ハーブの香りが鼻を抜けていく。

塩味もいい塩梅だ。

肉もしっとり柔らかくて火の通りも絶妙。

このままでも十分イケるよ。

今回の塩釜焼きは大成功だ。

やっぱりキャベツの葉で包んで正解だったな。

とりあえずフェルたちの分として肉の塊1個ずつ切り分けて皿に載せていく。

最初はソースなしでそのままで味わってもらう。

俺の分も少し切り分けて皿に載せる。

残りの塩釜焼きをアイテムボックスにしまっておく。

塩釜焼きの載った皿をワゴンに載せて、腹ペコで待っているみんなの下へ向かう。

「お待たせー」

『待ちくたびれたぞ』

フェルが不貞腐れた顔でそう言った。

「ごめんごめん。いや、ここの豪華なキッチンも今日で使い納めかと思ったらさ、何か作りたくなっちゃって。その代わり美味いもん作ってきたから勘弁してくれよ」

そう言って俺はフェルとドラちゃんとスイの前にいい具合に塩釜で蒸し焼きされたブラッディホーンブルの肉の載った皿を出した。

『おお、美味そうな肉だな』

『うんうん、何かいい匂いすんな』

『美味しそうだねー』

「今回はいい感じに焼けてるから食ってみてくれよ」

そう言うとみんなが食い始める。

『むむ、これは美味いな』

そう言ってフェルがバクバク食っていく。

『この肉柔らかくてウメェじゃねぇか』

ドラちゃんもそう言って口いっぱいに頬張っている。

『このお肉いい匂いして美味しいね~』

そう言ってスイが嬉しそうに肉を取り込んでいる。

ハーブの香りもいい感じでついてるし、生ローズマリー使ったの成功だね。

まぁ、面倒なときはハーブソルトをまぶして塩釜で焼くだけでも良さそうだけどさ。

さ、俺も食おう。

パクリ。

うんうん、しっとり柔らかで美味い。

いくらでもいけそう。

塩釜焼き大成功して良かったよ。

この塩釜焼きはオークとかロックバードで作っても美味そうだな。

あ、今度ベルレアンに行くんだから魚の塩釜焼きも美味そう。

『『『おかわり』』』

へいへい。

アイテムボックスから塩釜焼きを取り出した。

『ぬ、何だそれは?』

塩を外していない塩釜焼きを見てフェルが不思議そうな顔をする。

「この中にさっき食った肉があるんだよ。こうして包丁の柄で……」

包丁の柄で塩釜をコンコンと叩いていく。

割れた塩釜を取り外していくと……。

「ほら、肉が出てきただろ。この中で蒸し焼きにされたから、しっとり柔らかな肉に仕上がってるんだ」

『なるほどな。よし、それを今度は厚めに切ってよこせ』

『厚めか、それいいな。俺のもそうしてくれ』

『スイのもー』

人が説明してやってんのにお前らは食い気先行かよ。

俺はみんなの注文どおり肉を厚めに切って、粒マスタードソースをかけて出してやる。

『おおっ、このピリッとしたのがこの肉によく合うな。うむ、美味いぞ』

『ホントだな。ピリッとして美味い』

『ピリっとするけど、これくらいならスイも大丈夫ー。美味しいね~』

みんな粒マスタードソースも気に入ってくれたみたいだ。

どれどれ俺も一口。

うむ、美味い。

粒マスタードのプチっとした食感とピリッとした辛さがアクセントになっているね。

『ふ~腹いっぱいだ。もう食えねぇ』

ドラちゃんが塊肉の半分を食ったところでギブアップ。

あの塊肉2つはドラちゃんには多かったか。

『なら、スイが食べる~』

そう言ってスイがドラちゃんの残りをペロっと食ってしまった。

もちろんそれでも足りるはずもなく……。

『『おかわり』』

フェルとスイのおかわりが続く。

結局フェルもスイも肉の塊をそれぞれ4個もたいらげた。

1個の肉の塊でもけっこうな大きさだったんだけどな。

とりあえず、2個は残ったからよしとしよう。

今日もがんばってくれたみんなには、食後のデザートを。

フェルにはイチゴショートのホールケーキのSサイズを、ドラちゃんにはプリンサンデーのイチゴとバナナといつものプリンにシュークリーム、スイにはチョコレートケーキの上にフルーツがたくさん載ったホールケーキのSサイズを選んだ。

「今日も頑張ってくれたからな。はい、これ」

『うむ』

フェルは「うむ」なんて偉そうに言ってるけど嬉しそう。

『やったぜープリンだー!』

ドラちゃんはプリンが食えてうれしそう。

『チョコのケーキだヤッター!』

スイも嬉しそうだ。

俺は嬉しそうにケーキを食うみんなをドリップバッグで淹れたコーヒーを飲みながら眺めていた。

明日にはこの豪邸ともお別れだね。

すごく居心地よかったんだけどな。

まぁ、金はあるんだし、ベルレアンでも家を借りるとしますか。