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第三百四十八話 肉ダンジョンの街ローセンダール

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第三百四十八話 肉ダンジョンの街ローセンダール

オーバーラップさんの『コミックガルド』ですが、ニコニコ静画でも作品を読むことができるようになりました!

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』も公開されてますのでよろしくお願いいたします!

「それにしても、賑わってるなぁ」

居並ぶ屋台の客引きの声を聞きながら、その賑わい振りを見て思わずそうつぶやいた。

俺たちはローセンダールの街に無事到着していた。

途中寄り道しながら(主にフェルとドラちゃんとスイのストレス発散のための狩りだな)、いつもよりちょっぴり長い12日間の旅路の末にこの街に着いた。

カレーリナの街からローセンダールの街へ馬車で来るにしても、1か月はかかると言う話だから、12日でも大分早く着くことができたのは間違いないけどな。

カレーリナの冒険者ギルドのギルドマスターに「ローセンダールの冒険者ギルドに連絡入れとくから、着いたら必ず報告に行けよ」って言われていたから、すぐに冒険者ギルドに報告へ向かったんだけど、ローセンダールの冒険者ギルドのギルドマスター(これがまた人の良さそうなぽっちゃりしたおっさんで肉ダンジョンのあるこの街のギルドマスターにお似合いだった)が待っていてすごい歓迎振りだったよ。

何でも、この街にSランクの冒険者が来たのは数年ぶりだって話でね。

揉み手で早速指名依頼をお願いしたい件があるって言われたけど、さすがに着いたばかりで宿も決まっていないしということで、少し休ませてくれってお願いしたよ。

冒険者ギルドのあとは商人ギルドに行って、いつものように一軒家を借りた。

今回借りたのは、8LDKの引退した高ランク冒険者の持ち物だった物件だ。

街の中心部にも近いし、冒険者ギルドにも肉ダンジョンの入り口にも近いという良物件。

この街にいる間の宿も決まり、まだ日暮れまでには時間があるってことで、こうしてみんなで街に繰り出してきたというわけだ。

さすが肉ダンジョンの街、屋台が多いこと多いこと。

そこかしこで客を呼び込む声と肉の焼ける音と匂いがしていた。

そんなもんだから、フェルとドラちゃんはキョロキョロしてるし、いつもは鞄の中でおねむのスイもフェルの背中に乗って同じくキョロキョロしている。

「おっ、そこのカッコいい兄さんっ! うちの肉食っていきなよ! 秘伝のタレで味付けしてるから美味いよ~」

串に刺した肉を焼いている屋台のおっちゃんからお声がかかる。

自信満々のおっちゃんの言うとおり、香ばしい匂いを纏った実に美味そうな肉だ。

『おい』

フェルからの念話だ。

「これ食いたいってことね」

『うむ』

フェルのギラギラした目がおっちゃんの焼く肉に釘付けだし、そりゃ分かるよ。

ってか、フェル、涎垂れてるからね。

ドラちゃんもだぞ。

スイはなんかフェルの背中で興奮したようにブルブル震えてるし。

『じゃあ1人10本で30本でいいかな?』

『む、もっと食うぞ』

『他の屋台のは食わなくていいのか?』

『もちろん食うぞ。ここのはとりあえずの腹ごしらえだが10本では足りん』

そんならフェルとスイは20本で、ドラちゃんは10本かな。

ドラちゃんはそれ以上食ったら他の屋台のが食えなくなるだろうし。

「それじゃあ50本ください」

「お、50本も買ってくれんのかい! 毎度あり! 50本で銀貨3枚だ。焼いてあんのが30本あるから、あと20本急いで焼くからちょっと待っててな!」

おっちゃんに銀貨3枚渡して、焼きあがっていた30本を先に受け取った。

受け取った肉をフェルとドラちゃんとスイがジーッと凝視している。

「すみません、屋台の裏側の空いてる場所を借りてもいいですか?」

「おう、好きにしな」

おっちゃんの屋台の裏側にちょうど空いた場所があったので、そこを借りてフェルたちに串焼きを出してやった。

フェルたち用の皿に盛った串から外した肉を美味そうに頬張るフェルとドラちゃんとスイ。

「従魔に食わせてやるんだな。しっかし、お前らいいもの食わせてもらってんなぁ」

「いつもがんばってくれてますからね。食い物くらいは美味いもの食わせてやらないと」

「ハハハッ、従魔にとっちゃいい主人だな、兄ちゃんは」

「そう思ってくれてるといいんですけどね。あ、1本俺の分も追加でお願いします」

「おうよ。そら、ちょうど焼きあがったところだ。兄さんはたくさん買ってくれたから、これは俺のおごりだ」

「わ、ありがとうございます」

焼きあがった残りの20本を追加でフェルとスイに出してやった。

そして、俺も香ばしそうに焼きあがった肉にかぶりついた。

「美味い!」

どうやって作ったのかBBQソースに似たタレのかかった大ぶりの肉は、適度な歯ごたえとジューシーな脂身で噛むごとに肉汁が口に広がった。

「だろ! 俺の自慢の串焼きだぜ!」

俺の美味いという言葉に、おっちゃんも嬉しそうにそう言った。

『うむ、これはなかなかに美味かったな』

『ああ。やっぱ炭火で焼いた肉はたまんねぇな!』

『おいしかったー!』

フェルもドラちゃんもスイも、まだまだ序の口だとばかりに串焼きをペロッと平らげてしまっていた。

「お前ら食うの早いなぁ~」

『フン、これしきで腹いっぱいにはならん。我はもっと食うぞ』

『俺もまだまだイケるぞ』

『スイももっと食べるー』

「はいはい、分かってるって」

『しかし、この肉は何の肉なのだ? 我も初めて食う肉だと思うのだが……』

『ん? こりゃオークの肉じゃねぇのか?』

俺もドラちゃんと同じくオークだと思ってた。

豚っぽい味だし、てっきりそうだと思ってたんだけど。

『いや、オークではないぞ。脂身がオークよりもさっぱりしている気がする』

そうかな?

言われるとそうかもしれないって気もしてくるけど。

しかし、フェルが食ったことのない肉って、何の肉なんだ?

俺は食いかけの串焼きを見た。

こういうときは素直に聞いてみるのが1番早いな。

「すみません、これって何の肉なんですか?」

「これかい? これはダンジョン豚だよ。肉ダンジョンでしか獲れない豚なんだぜ! とは言っても、肉ダンジョンの中層に行きゃあバンバン獲れるんだけどな。ガハハッ」

ほ~、そんな豚がいるのか。

いいこと聞いた。

「まぁ、この街にいりゃあそんな感じで珍しいもんでもないが、兄さんはこの街が初めてのようだから、ダンジョン豚のいろんな料理を味わっていくといいぞ! 何せ新鮮なダンジョン豚はこの街でしか食えないからな!」

おっちゃんの話を聞いていたフェルが『ほぅ』とか言って目をらんらんとさせていた。

こりゃ狩る気満々だな。

肉ダンジョンの中のダンジョン豚がフェルに狩りつくされて一時消えるかも……。

他の冒険者もいることだし、そうならないように止めるつもりではあるけど、どうなることやら。

おっちゃんの屋台を後にして、他の屋台を物色。

おっちゃんの話のとおり、バンバン獲れるダンジョン豚はこの街でもメジャーな肉なのかダンジョン豚を使った屋台がたくさんあった。

ダンジョン豚の肉を使った腸詰めの店にステーキの店、それでもやっぱり串焼きが1番多かったかな。

食のメッカと言われるだけあって、各店いろいろと工夫がされている。

串焼き1つとっても、シンプルにハーブソルトで焼いたものからおっちゃんのところみたいに秘伝のタレを使ったところ、独自に研究したのか香味野菜を使った塩ダレを使ったところなんかもあった。

他の街とは一線を画す味の豊富さにはびっくりしたよ。

飲食店が多いのもあって、それぞれ切磋琢磨してこういう発展を遂げたのかもしれない。

それからダンジョン牛の肉を使った屋台もけっこうあった。

このダンジョン牛、ダンジョン豚と同じく肉ダンジョンでしか獲れないらしい。

ダンジョン豚のいる中層より下の階層にいるらしいが、やはりこちらもバンバン獲れるようで、この街ではダンジョン豚同様にメジャーな肉なんだそうだ。

味としては、海外産の牛肉ぽい感じだったな。

煮込み料理にいいかもしれない。

フェルとドラちゃんとスイはダンジョン豚の方が好きという話だったけど、ダンジョン牛もある程度確保しようということになっている。

なにせダンジョンのドロップ品だから解体の手間もかからないし、できるだけいろんな肉を多く確保したいと考えている。

そんな感じで多少情報を収集しつつ、俺たちは腹いっぱいになるまで屋台での買い食いを楽しんだ。