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第六十三話 引き取り拒否だそうです

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第六十三話 引き取り拒否だそうです

今日は61話、62話、63話の更新です。

「おう、ヨハン、手空いてるか?」

昨日の厳つい禿げ頭のおっさんだ、ヨハンっていうんだな。

「ギルドマスターどうしたんすか、こんなところに。ってあんた昨日の……」

「ヨハン、悪いが入り口の扉を閉めて誰も入って来れないようにしてくれるか。それとここで見たことは他言無用だ」

ギルドマスターの言葉に何か感じ取ったのか、ヨハンのおっさんはすぐに入り口を閉める。

「よし、これでいいな。それじゃとりあえずみんな出せ」

ギルドマスターに言われたので買取してもらおうと思っていた魔物をとりあえず全部出していく。

永久保存しようと思っていたキマイラにオルトロス、それからオーガ×4にブルーオーガ、あとはオークキングとメタルリザードとレイクシャークに今日のゴブリンの集落で仕留めたゴブリンキング、ゴブリンジェネラル×3、ゴブリンメイジ×2、ゴブリンソルジャー×7っと。

「これで全部です」

ギルドマスターとヨハンのおっさんは呆然と立ちつくしていた。

「あ、あのー……」

「あ、ああ、すまん……しかし、すごい光景だな…………」

すんません。

ずっと溜まってたんで出しちゃいました。

「……ギルドマスター、俺、キマイラとオルトロスなんて初めてみました…………」

復活したヨハンのおっさんがそんなことをポロッと口にした。

え、えー、歴戦の冒険者っぽいし冒険者ギルドで職員もしているヨハンのおっさんも見たことないの?

今更だけど、やっぱ出さない方が良かったかも。

「儂は40年近く前に一度だけ討伐されたオルトロスを見たことがある。その時は、確かAランクとSランクのみで構成された冒険者パーティー3つでようやく討伐したと記憶している」

AランクとSランクのみの冒険者3パーティーって……。

フェルってば今更だけど相当な戦闘力なんだな。

本人はどこ吹く風で今も寝そべって欠伸してるけどさ。

「さすがにキマイラとオルトロスは引き取れないぞ。まずそれだけの資金がこのギルドにはない。それに、ブルーオーガやオークキング、メタルリザードやレイクシャークでさえ大騒ぎになるだろうに、キマイラやオルトロスなんて怖くて引き取れんわい」

ひ、引き取り拒否ですか。

やっぱりキマイラとオルトロスは永久保存か、しょうがないね。

「じゃあ、それ以外の買取お願いします」

引き取り拒否のキマイラとオルトロスは再びアイテムボックスの中へ。

「まさかブルーオーガをこの手で解体することになるとは……」

ヨハンのおっさんがしみじみそう言うから話を聞いてみると、ブルーオーガっていうのはオーガの特殊個体でオーガの何倍も強いらしくSランクの魔物なんだそうだ。

フェル、そんなの狩って来てたんだな。

恐ろしい子や。

それからさっきギルドマスターが大騒ぎになるだろうって言っていた魔物についても聞いてみた。

オークキングはAランクの魔物ではあるが、オークキングを討伐するときはその周りに必ず数百のオークもいるということで、それを考えると限りなくSランクに近いと言われているそうだ。

メタルリザードはAランクの魔物ながらその鋼鉄で出来た皮ゆえに物理攻撃はほぼ効かず、討伐するときは穴に落とし込んで火責めか水責めにするのが常套手段なのだそう。

だが、そうなると魔法使いがかなりの人数必要になるわけで、緊急討伐依頼でもない限りメタルリザードが市場に出回ることはまずないのだそうだ。

レイクシャークはSランクで、湖を縦横無尽に泳ぐレイクシャークを討伐するなどほぼ無理だと言われており、レイクシャークが見られるのは干ばつで湖が干上がったときくらいだそう。

フェル、お前そんなんばっか獲って来てたんだな。

まったくホント恐ろしい子や。

「このゴブリンキング、ジェネラル、メイジ、ソルジャーは今日のあれか?」

ギルドマスターがそう聞いてきた。

「ええ。ゴブリンの集落があったので」

「やはり集落ができてたか」

何でも、東の森でゴブリンの出現数が多くなってたので集落が出来ている可能性を危惧して、近く調査をする予定だったのだそうだ。

「これは集落討伐の報酬を出さねばならんな」

え、報酬でるの?

フェルに無理矢理連れて行かれてやったことだけど、別口で討伐報酬が出るならラッキーかも。

「それにしても、お主たちだけでゴブリンの集落を潰してしまうとは、フェンリルの戦闘力とはすごいものだな。まぁキマイラやオルトロスを倒してしまうくらいだから造作もないことなのかもしれんがな」

そのギルドマスターの言葉を聞いて、俺に大人しく抱かれていたスイが抗議するようにブルブル震える。

『フェルおじちゃんだけじゃないもんっ。スイだってビュッビュッって撃っていっぱい倒したんだからーっ』

スイを撫でながら『そうだなスイもいっぱい倒したな。すごいぞスイ』と伝えてやる。

「上位のゴブリンはフェルが倒したんですけど、普通のゴブリンはこのスイと私で倒したんですよ。といっても私が倒したのはわずかばかりですけど」

「ほぅ。そうは見えんが、お主の言うとおり、そのスライムも相当な強さを持っていると言うことか」

そうですよ、スイは強いし回復薬も作れるしで万能なんですよ。

「ギルドマスター、その兄さんには昨日預かった分を明日渡す予定になってますし、今預かった分も明日一緒ということでよろしいですか? 今預かった分は超特急でやりますんで何とか明日には間に合わせますから。いやーこんなの見せられちまったら、職人魂に火が付きますよ」

俄然やる気を見せるヨハンのおっさん。

しっかり解体お願いしますよ。

あ、食える肉はこっちにくださいね。

「そういうことらしいから、また明日来てくれるか。Cランクのギルドカードも用意しておくし、高ランクの依頼も見繕っておくからな」

「分かりました。明日また来ます」

これで国とか貴族とかの問題は解決したけど、今度は高ランクの依頼か。

まぁ、依頼をこなすのはフェルだけどさ。

せいぜいフェルには頑張ってもらいますか。

『おい、腹が減ったぞ』

はいはい。

『あの言葉忘れてはいないだろうな?』

あの言葉?

『美味い飯を作る代わりに我慢しろと言ったではないかっ』

ああ、そうだった。

この街にいるのにそう言ったんだった。

『思い出したか。美味い飯だ、早くしろ』

はいはい、じゃあ宿に戻りますかね。