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第六十九話 ミスリルリザード

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第六十九話 ミスリルリザード

29話のレイクシャークの食えるという記述が65話の内容と矛盾しますので29話を直しました。

朝早くから街を出て、パスクアル山に向けてひた走っている。

もちろん走っているのはフェルで俺はその背に乗せてもらっている。

スイは鞄の中で熟睡中だ。

朝は起きてて、フェルと一緒に朝からオークジェネラルのステーキをモリモリ食ってたんだけどね。

腹いっぱいになったら眠くなったみたいだ。

鞄の中も居心地いいみたいだし。

『トカゲがいる山と言うのはあれか?』

パスクアル山と思しき山が見えてきた。

「ギルドマスターから聞いた話だと、あれがそうだな。フェルはメタルリザードがどの辺にいそうか分かるか?」

『ちょっと待て…………いたぞ』

フェルがそう言ってメタルリザードがいるであろう方向に向かってスピードを上げた。

フェルに聞くと魔物の大体の場所が分かるみたいだし、フェルくらいになるとスキルに関係なく気配察知みたいなことができるのかもしれない。

『もうそろそろだ』

そう言ってフェルがスピードを落とした。

『あそこだ』

木の陰からフェルの見る方向に目を向けると、洞窟があった。

『あそこがメタルリザードの棲み処か?』

『おそらくな』

『それで、どうするんだ?』

『そんなの決まっておろう』

なんか嫌な予感が……。

そう言ってフェルが俺を乗せたまま洞窟に突っ込んでいった。

「や、や、や、やっぱりそうなるのかーーーっ」

せめて俺を降ろしてから一人で突っ込めよなーーーっ。

真っ暗な洞窟を進むと、すぐにメタルリザードが見つかった。

洞窟の奥には広い空間ができていて、その空間の壁際で、メタルリザードがボリボリ何かを食っていた。

「な、何だあれ? なんか体が青白く光ってんだけど……」

『何でもいい。さっさとあのトカゲを倒して飯にするのだ』

な、何でもいいって、お前は……。

とりあえず鑑定してみると「ミスリルリザード」と出た。

…………ミスリル?

ファンタジー系小説に出てくるあの貴重な金属か?

「フェル、あのメタルリザードを鑑定してみたらミスリルリザードって出たんだけど」

『なら、ここにミスリル鉱脈があるのだろうな。あれはミスリル鉱石を食って変異したのだろう』

ミスリル鉱脈があるって……これ大発見なんじゃね?

ま、まぁ、俺がどうこうできる問題じゃないけどさ。

で、でも、ミスリル鉱石があったら少し拾っていこうかな。

何かミスリルソードって、いい響きだよね。

ま、剣は無理でもナイフくらいならなんとか……。

ミスリルソード、ミスリルナイフ、うんうん、いいねぇ。

下世話な話、希少金属のナイフや剣が欲しいんだよ。

だってミスリルなんてロマンじゃん。

ファンタジーな希少金属なんだぞ。

欲しいに決まってるだろ。

『ミスリルということは、魔法があまり効かんな』

何でもミスリルは軽くて硬く、魔力の通りが良い金属なのだそう。

魔力の通りが良いということは、魔法を放ってもそれを受け流す感じで拡散してしまい、フェルの経験から言うと威力もいつもの半分以下にまで抑えられてしまうということだった。

『だが、それならばあのトカゲでも耐えられないような威力の魔法を放てばいいだけのことよ』

そうフェルが言うやいなや、雷鳴が鳴り響いた。

ドゴンッ、バリバリバリバリィィィッ。

一閃の雷がミスリルリザードを直撃した。

俺、あんぐり。

音に驚いたスイも鞄から頭を覗かせている。

「お、お、おい、フェル、お前何やった?」

『雷魔法の少し強いのをトカゲに撃ってやったのだ』

す、少し強いの?

いやいやいや、少し強いって感じじゃないだろう、どう考えたって。

ものすごい音で雷が直撃してたからな。

『もう大丈夫だ。早く回収して飯にするぞ』

「は? 大丈夫って、あれ、死んでるのか?」

『ああ、あのトカゲはさっきの魔法で死んだぞ』

こっちにまったく気付くことなくミスリル鉱石をボリボリ食ってる最中に雷を受け即死とは……。

哀れ過ぎて涙を誘う死に様だ。

なんかすまん、ミスリルリザード。

そんなことを思いながらミスリルリザードをアイテムボックスに回収した。

ミスリルリザードがいた周りには青白い光を放つ鉱石がゴロゴロ転がっている。

これがミスリル鉱石だな。

「フェル、このミスリル鉱石を少し持ち帰りたいから、ちょっと待っててくれ」

『ぬ、早くしろ』

『あるじー、この光ってる石が欲しいの? スイも手伝うよ』

「ありがとうな、スイ。それじゃ、光ってる石を集めて持ってきてくれるか」

『分かったー』

スイが鞄から飛び出してミスリル鉱石を集めだした。

俺もせっせとミスリル鉱石をアイテムボックスに入れていく。

よしと、これくらいでいいかな。

『あるじー集めたよー』

「うおっ、いっぱい集めたなー」

スイが集めて来たミスリル鉱石は軽く軽トラの荷台一杯分くらいあった。

多過ぎる気はするけど、せっかくスイが集めてくれたしな。

多くあっても困ることはないかと、アイテムボックスに入れていく。

ミスリルソードとミスリルナイフを作っても余ったら、鎧を作るってのもありかもしれないし。

でも、金属鎧だと動きが阻害されるか?

あ、ミスリルリザードの皮ならミスリルと同じような強度か?

「なぁ、フェル、ミスリルリザードの皮ってミスリルと似たような強度なのか?」

『そのトカゲは食った鉱石と同じような特徴の皮になるから、そうだろうな』

「そうなのか。ならミスリルで鎧を作るより、鉱石よりは柔軟性のあるミスリルリザードで鎧を作った方がいいのか?」

『ん? お主、鎧なんぞ作るつもりなのか?』

「いやね、あった方がいいかなとちょっと思ってて」

『鎧なぞいらんだろう。我の結界があるのだぞ。ミスリルで鎧を作ろうが、そのトカゲの皮で鎧を作ろうが、そんなもの我の結界の足元にも及ばん。そんなものは作っても無駄だ』

確かにそれは言えるな。

何だかんだ言っても、フェルの結界があったから俺は今までケガ一つしてないわけだし。

うーん、そうすると、この大量のミスリル鉱石どうするかな。

とりあえず保留するにしても、いざとなれば売るなりすればいいか。

『おい、ミスリルは集めたのだろう? 早く外に出て飯にするぞ』

へいへい。

俺たちは洞窟の外に出て、飯にすることにした。