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第八十六話 ワイバーン襲来 1

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第八十六話 ワイバーン襲来 1

今日は86話、87話を更新です。

試験的に販売する分の30個ずつを卸しにランベルトさんの店へ向かう。

店に入ってすぐにマリーさんがやって来た。

「ムコーダ様、お待ちしておりましたっ」

おう、マリーさん気合入ってるね。

「とりあえず30個ずつということで用意しました。どこに出しますか?」

「それでは、こちらでお願いできますか?」

ランベルトさんのお店の一角に真新しい棚ができていた。

もう売り場ができてるんだね。

「主人にお願いして早速売り場を設けましたの。昨日のうちに私の友人たちにも宣伝しておきましたので、早速買いにいらっしゃる方もいると思いますわ」

も、もう宣伝もしたんだね。

とりあえず棚に商品を出していくと、マリーさんが見栄えよく並べていく。

「うん、これでよろしいですわね」

棚に並べた商品を見て、マリーさんがそう言った。

「ムコーダ様、ではこちらへどうぞ」

マリーさんの後について奥の応接間へ。

中にはランベルトさんが待っていた。

「ムコーダ様、早速の納入ありがとうございました。こちらがお代の金貨84枚です。それからこちらが瓶の実費ですね。お確かめください」

ブラックサーペントの皮のときのように、金貨10枚を1列に重ねてある。

「確かに受け取りました」

サンドスネークの財布に入れたいところだけど、この間受け取ったブラックサーペントの代金がまだけっこう入っているんだよね。

しかたないから、石鹸用に買って余ってた麻袋の中に金貨を入れた。

用件も終わり、ランベルトさんが店先で見送ってくれたのだが、何と既にご婦人のお客が来ていてマリーさんがせっせと対応している。

これには俺もランベルトさんも驚いた。

「ご婦人方の情報網も侮れませんな」

「はい」

マリーさんが友達に宣伝したって言ってたけど、まさか並べてすぐにお客が来るとは思わなかったぜ。

「マリーさんにもよろしくお伝えください。何かあれば、宿の方に伝言入れていただければすぐに参りますので」

そう言ってランベルトさんの店を後にした。

通りを歩きながら余った時間をどうしようかと思う。

「このあとどうすっかな。何も予定ないしなぁ」

『ぬ、それなら狩りに行こうではないか』

隣にいたフェルが狩りに行こうと言い出す。

「えー、あんまり気は進まないんだけどな。まぁ、暇は暇だし、変なところ連れて行かないんだったらいいけど」

『変なところとは、何だ?』

「そりゃゴブリンの集落とかさ」

ゴブリンの集落にいきなり連れて行かれたりと、ゴブリンにはあんまりいい思い出がないぜ。

『ゴブリンのような雑魚を恐れている方がどうかしているな』

「うるさいな。フェルのせいでトラウマなんだよ」

『フンッ、お主が腑抜けなのがいかんのだ』

「腑抜けってね……まぁ否定できないのが辛いとこなんだけどさ。とにかくだ、狩りにいくのはいいけど、安全第一だからな」

『フスンッ、分かった分かった』

鼻で笑うなや。

安全は大事なんだからな。

「あ、それなら冒険者ギルド行って受けられる依頼ないか見てから行こう」

俺たちは冒険者ギルドに向かった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

冒険者ギルドに入ると、すぐに職員に声をかけられた。

「ムコーダ様ですね。ギルドマスターにムコーダ様がこちらに来られたらギルドマスターの部屋に案内するよう言われてますので付いてきてください」

職員の後に付いてギルドマスターの部屋に向かう。

「マスター、ムコーダ様です」

「おう、入れ」

部屋に入ると、ギルドマスターが机に向かい書類に何か書き込んでいる。

「すぐに終わるから、座って待っててくれ」

椅子に座り待っていると、すぐに書類仕事を終えてギルドマスターが向かいに座る。

「ブラッディホーンブルの方もすぐにやってくれたみたいだな。恩に着る」

「いえ、ブラッディホーンブルの肉が食いたいっていうフェルの希望でしたから」

そう言いながら、寝そべっているフェルをチラっと見る。

「そうか。それでも、こちらとしてはありがたい。それでだな、ラングリッジ伯爵様との話し合いがようやく終わった。非常に感謝しておられたぞ。何せミスリル鉱山だからな。でだ、伯爵様は会って是非とも感謝の意を伝えたいと言われたのだがな、あまり目立ちたくないというのが本人の意向だと伝えた。だが、それでもと言われたのだがな、“王宮から連絡が来てるはずだが、例のフェンリル連れだ”と言ったら、伯爵様も相当驚かれていた。まぁ、それで諦めてくれたがな。だが、深く感謝されていたぞ」

ということは、ラングリッジ伯爵様がどうこうしてくるってことはないわけだね。

あー、良かった。

「報酬だが、ラングリッジ伯爵様もがんばってくれたぞ。ミスリルリザードの討伐、ミスリル鉱山の発見、ミスリルリザードの買取、諸々含めて金貨5800枚だ」

………………

…………

……

ゴ、ゴ、ゴセンハッピャクマイ?

あれ、おかしいな。

金貨5800枚って聞こえたんだけど、俺、耳が悪くなったのか?

「あの、金貨、5800枚、って言いました?」

「ああ。金貨5800枚だ」

…………金貨、5800枚。

5800枚、5800枚、5800枚……。

「驚くのも無理もないが、お主のしたことはそれだけの価値があるということだ」

お主のしたことっていうか、フェルがしたことなんだけども。

「かなりの量になるから、大金貨での支払いになるぞ。大金貨で580枚だ」

ドンッ、ドンッと麻袋が置かれる。

中を覗いてみると、大金貨なのだろう大きな金貨が詰まっていた。

金貨が500円玉くらいの大きさなのだが、大金貨はその名のとおり金貨の1.5倍くらいの大きさがあってけっこうデカい。

何ていうか、俺の手柄じゃないからあれだけど、もらっときます。

風呂欲しいし。

金貨の入った麻袋をアイテムボックスにしまっていく。

最後の1つをしまいおわったとき、ドンドンッと乱暴にギルドマスターの部屋のドアが叩かれた。

「ギルドマスターッ、大変ですッ!ワ、ワイバーンの群れが出ましたッ!!」

焦った職員のその言葉にギルドマスターが職員を部屋に招きいれる。

「ワイバーンの群れとはどういうことだっ」

ギルドマスターの声や顔から、かなりヤバいことがうかがえる。

「に、西の草原が解禁になって、6人組の初級冒険者のパーティーが行っていたんです。そこへいきなりワイバーンが現れたらしくて……。初級冒険者たちは何とか命辛々逃げてきたんですが、うち2人が重傷です。1人は命に別状ありませんが、もう1人が傷もひどいうえにワイバーンの毒にやられて……」

「はぐれワイバーンの目撃情報はあったが、あれは偵察だったのかっ。ブラッディホーンブル狙いでやって来たのに、既にブラッディホーンブルの群れは討伐されていなかった。それで、そこにいた冒険者が狙われたってわけか!畜生ッ!!」

え、あれ?

ブラッディホーンブル、討伐しない方が良かった?

でも、もう討伐済みだしそんなこと言ったってどうしようもないか。

ってか、こっちのワイバーンって毒ありのタイプだったんだ……。

「毒消しポーションはどうしたッ?」

「そ、それがあいにく在庫を切らしてまして」

「チッ。それなら上級ポーションは?上級ポーションなら毒は消せないが、毒消しポーションを手に入れるまでの時間稼ぎにはなるだろう」

「そ、それが……中級ポーションなら大分在庫に余裕がありまして、それで何とかしのいでいる状態です」

「何でこういうときに限って毒消しポーションも上級ポーションも切らしてるんだッ!」

「す、すいませんッ」

「とにかく中級ポーションでしのぎ切るんだっ」

ポーションか…………あっ!

「あ、あの、俺、上級ポーション持ってます」

スイ特製上級ポーションの入った瓶を取り出した。

ペットボトルに入れてたのを、瓶に入れ替えてて良かったぜ。

雑貨屋で瓶見つけて少し前に入れ替えしてたんだよね。

ついでにスイに中級と下級のポーションも作ってもらって、それも瓶にいれて上級5本、中級と下級が10本ずつ用意してある。

「個人で上級を所有しているとはさすがだな。すまない、もらうぞ。代金は後で間違いなく支払う」

そう言ってギルドマスターがスイ特製上級ポーションの瓶を持って駆け出した。

ギルド職員もそれに続く。

ここにいてもしょうがないし、俺もそれに続いた。