第15話 紅潮
第15話 紅潮
「あ、そうそう、このリング、 洸 ( こう ) のリングと 同 ( おな ) じ 型 ( かた ) だよね?」「ということは…… 久愛 ( くう ) も 怪 ( あや ) しい AI ( エーアイ ) から 受 ( う ) け 取 ( と ) ったんだよね?」「そう! 昨日 ( きのう ) の 晩 ( ばん ) にね」「そか、 僕 ( ぼく ) も 同 ( おな ) じだ。で、 渡 ( わた ) された 理由 ( りゆう ) もきいた?」「 聞 ( き ) いたよ。まだ、 半信半疑 ( はんしんはんぎ ) だけど。 本当 ( ほんとう ) なら 何 ( なん ) とかしなきゃって」 ふたりは、 昨晩 ( さくばん ) の 出来事 ( できごと ) について 少 ( すこ ) し 情報 ( じょうほう ) 交換 ( こうかん ) し 合 ( あ ) った。 AI ( エーアイ ) から 聞 ( き ) かされた 話 ( はなし ) はほぼ 同 ( おな ) じだったが、マニュアルに 書 ( か ) かれていた 属性 ( ぞくせい ) やスキルは、 洸 ( こう ) と 久愛 ( くう ) とで 内容 ( ないよう ) に 相違 ( そうい ) があった。「 洸 ( こう ) が 教 ( おし ) えて 欲 ( ほ ) しいことって、リングの 話 ( はなし ) なの?」「そうだよ。てか、 僕 ( ぼく ) の 苦手 ( にがて ) な 語句 ( ごく ) がいっぱいだったから……」「なるほど! 今 ( いま ) から、チェアパークでもう 少 ( すこ ) し 話 ( はなし ) しましょ!」(そうだよね。 洸 ( こう ) にとっては、あのマニュアルは 難題 ( なんだい ) だよね……) ふたりは 近所 ( きんじょ ) の 公園 ( こうえん ) でお 互 ( たが ) いの 属性 ( ぞくせい ) やスキルを 確認 ( かくにん ) することにした。 宙 ( ちゅう ) に 浮 ( う ) く 椅子 ( いす ) が 特徴的 ( とくちょうてき ) で 目 ( め ) につくその 公園 ( こうえん ) は、 近所 ( きんじょ ) の 住民 ( じゅうみん ) からチェアパークという 愛称 ( あいしょう ) で 呼 ( よ ) ばれていた。 塾 ( じゅく ) から 公園 ( こうえん ) まで 洸 ( こう ) のボードに 二人乗 ( ふたりの ) りで 走 ( はし ) る。「うわぁ。ボードの 二人乗 ( ふたりの ) り 久 ( ひさ ) しぶりだぁ」「 久愛 ( くう ) 、ちゃんとつかまってて」「はーい」
現在 ( げんざい ) では、 洸 ( こう ) の 乗 ( の ) っている 形態 ( けいたい ) のボードは、 公道 ( こうどう ) を 二人乗 ( ふたりの ) りすることまで 許 ( ゆる ) されている。 二人 ( ふたり ) 乗 ( の ) りの 際 ( さい ) には、 板 ( いた ) の 面積 ( めんせき ) を 広 ( ひろ ) くすることができる。それでも、 旧時代 ( きゅうじだい ) の 自転車 ( じてんしゃ ) やバイクの 二人乗 ( ふたりの ) り 以上 ( いじょう ) に 体 ( からだ ) の 密着度 ( みっちゃくど ) が 高 ( たか ) い。( 久 ( ひさ ) しぶりに 話 ( はなし ) せただけでなく、ボードの 二人乗 ( ふたりの ) りまで……) 久愛 ( くう ) は、 公園 ( こうえん ) に 着 ( つ ) くまでずっと 顔 ( かお ) を 紅潮 ( こうちょう ) させ、 一言 ( ひとこと ) も 話 ( はな ) せなかった。
スゥーと 聞 ( き ) こえるかどうか 程度 ( ていど ) の 小 ( ちい ) さな 音 ( おと ) を 立 ( た ) ててボードが 止 ( と ) まる。 降 ( お ) りたふたりは、 歩 ( ある ) いて 公園 ( こうえん ) の 中央 ( ちゅうおう ) に 向 ( む ) かった。 ラウンジチェアのような、 座 ( すわ ) り 心地 ( ここち ) の 良 ( よ ) い 設計 ( せっけい ) の 椅子 ( いす ) に 腰 ( こし ) を 掛 ( か ) けると、 宙 ( ちゅう ) に 浮 ( う ) く 椅子 ( いす ) が 少 ( すこ ) し 沈 ( しず ) む。 二人 ( ふたり ) ともリングに 触 ( ふ ) れてマニュアルを 呼 ( よ ) び 出 ( だ ) した。