第6話 肝腎要
第6話 肝腎要
(は、 話 ( はなし ) が 長 ( なが ) い……めんどくさい……) 国語 ( こくご ) が 唯一 ( ゆいいつ ) の 苦手 ( にがて ) 科目 ( かもく ) である 洸 ( こう ) は、 思 ( おも ) わず 心 ( こころ ) の 中 ( なか ) でぼやいてしまった。「あ、 洸 ( こう ) さん。すみません。トリセツ、 長 ( なが ) いですよね。 一度 ( いちど ) 、 休憩 ( きゅうけい ) しましょう」(……やっぱり…… 心 ( こころ ) の 中 ( なか ) まで…… 読 ( よ ) まれているよね……)
「 一部 ( いちぶ ) 始終 ( しじゅう ) 説明 ( せつめい ) すると 一朝一夕 ( いっちょういっせき ) には 終 ( お ) わりませんし、『スキル』の 話 ( はなし ) は、マニュアルページでも 調 ( しら ) べられますしね。ただ、 肝腎 ( かんじん ) 要 ( かなめ ) の 部分 ( ぶぶん ) だけは 先 ( さき ) に 話 ( はな ) しておきます」「 肝腎 ( かんじん ) 要 ( かなめ ) って???」(コイツ、わざと 四 ( よ ) 字 ( じ ) 熟語 ( じゅくご ) とか 難 ( むずか ) しい 言葉 ( ことば ) を 使 ( つか ) っているのか?)「この 代理人 ( だいりにん ) アジョンは、 他 ( ほか ) のアジョンから 攻撃 ( こうげき ) を 受 ( う ) けると 相手 ( あいて ) の 色 ( いろ ) に 染 ( そ ) まっていきます。 洸 ( こう ) さんは 青 ( あお ) 紫色 ( むらさきいろ ) の 属性 ( ぞくせい ) なので、 攻撃 ( こうげき ) した 相手 ( あいて ) は 青 ( あお ) 紫色 ( むらさきいろ ) に 染 ( そ ) まります。 敵 ( てき ) である 悪意 ( あくい ) の AI ( エーアイ ) の 攻撃 ( こうげき ) を 受 ( う ) けたときの 染色 ( せんしょく ) は 基本的 ( きほんてき ) に 黒 ( くろ ) です。 全身 ( ぜんしん ) が 染 ( そ ) まった 時 ( じ ) 点 ( てん ) でアジョン 自体 ( じたい ) が 動 ( うご ) けなくなり、しだいに 消滅 ( しょうめつ ) します」
「し、 死 ( し ) んでしまうのか?」「いえいえ。 死 ( し ) にはしません。ちなみに、アジョンはアジョンにしか 攻撃 ( こうげき ) できないし、また、アジョンからしか 攻撃 ( こうげき ) されません。ですが、アジョンが 完全 ( かんぜん ) に 消滅 ( しょうめつ ) すると、 本人 ( ほんにん ) であるリング 所持者 ( しょじしゃ ) は 気絶 ( きぜつ ) します。しばらくすると 悪意 ( あくい ) の AI ( エーアイ ) に 洗脳 ( せんのう ) されます。 攻撃 ( こうげき ) したアジョンが 善意 ( ぜんい ) の AI ( エーアイ ) なら 洗脳 ( せんのう ) はされませんけどね」「 洗脳 ( せんのう ) ……つか、 敵 ( てき ) も 人間 ( にんげん ) が 操 ( あやつ ) っているの?」「 難 ( むずか ) しい 質問 ( しつもん ) ですね。その 点 ( てん ) は 枝葉 ( しよう ) 末節 ( まっせつ ) になるので、ひとことで 簡単 ( かんたん ) に 答 ( こた ) えるなら、 敵 ( てき ) を 人間 ( にんげん ) が 操 ( あやつ ) っている 可能性 ( かのうせい ) はないとはいえないです。ただ、 洗脳 ( せんのう ) された 後 ( あと ) にリングを 着 ( つ ) けてアジョンと 同期 ( どうき ) して 戦 ( たたか ) っている AI ( エーアイ ) 戦士 ( せんし ) の 話 ( はなし ) を 耳 ( みみ ) にしたことはありません。あと、バトルでは 属性 ( ぞくせい ) やスキルが 大 ( おお ) きく 影 ( えい ) 響 ( きょう ) してくるのですが……」( 話 ( はなし ) 、 長 ( なが ) いし、 難 ( むずか ) しいし……) 洸 ( こう ) は 再 ( ふたた ) び 心 ( こころ ) の 中 ( なか ) でぼやく。「さっきから、 話 ( はなし ) が 長 ( なが ) いだとぉ? 難 ( むずか ) しいだとぉ?」
突然 ( とつぜん ) 、 AI ( エーアイ ) コウが 怒 ( おこ ) ったような、 太 ( ふと ) く 低 ( ひく ) い 声 ( こえ ) でさけぶ。 洸 ( こう ) の 表情 ( ひょうじょう ) が 瞬時 ( しゅんじ ) に 強 ( こわ ) 張 ( ば ) る。