第8話 清濁併せ吞む
第8話 清濁併せ吞む
「 善意 ( ぜんい ) の AI ( エーアイ ) 戦士 ( せんし ) に 大人 ( おとな ) はいないですね。かつては 大人 ( おとな ) を 選 ( えら ) んだ 善意 ( ぜんい ) の AI ( エーアイ ) もいましたが、 漏 ( も ) れなく 失敗 ( しっぱい ) しました。 大人 ( おとな ) はすぐに 洗脳 ( せんのう ) されてしまいました」 洸 ( こう ) はうなずきながら 聞 ( き ) き 入 ( い ) る。「 余 ( よ ) 程 ( ほど ) 悪意 ( あくい ) の AI ( エーアイ ) が 巧 ( たく ) みなのか…… 悪意 ( あくい ) の AI ( エーアイ ) の 誘惑 ( ゆうわく ) に 抗 ( あらが ) えず…… 洗脳 ( せんのう ) されている 者 ( もの ) も 大人 ( おとな ) が 大半 ( たいはん ) なのです。 酸 ( す ) いも 甘 ( あま ) いも 知 ( し ) る 者 ( もの ) 、 清 ( せい ) 濁 ( だく ) 併 ( あわ ) せ 呑 ( の ) める 者 ( もの ) は 不適格 ( ふてきかく ) なのです」
「なるほど……」(って、 相 ( あい ) 変 ( か ) わらず、 難 ( むずか ) しい 語 ( ご ) 句 ( く ) ばかり 使 ( つか ) うよなぁ……スイモアマイモ? セイダクアワセノメル?) 洸 ( こう ) は 心 ( こころ ) の 中 ( なか ) でツッコミを 入 ( い ) れた。「あ、そうでした。 難解 ( なんかい ) な 語彙 ( ごい ) を 使 ( つか ) い 過 ( す ) ぎました……すみません。でもまぁ、 難 ( むずか ) しい 言 ( こと ) 葉 ( ば ) を 使 ( つか ) った 方 ( ほう ) が 洸 ( こう ) さんのためになるでしょう? 洸 ( こう ) さんは 国語 ( こくご ) の 成績 ( せいせき ) を 上 ( あ ) げたいのでしょう? 私 ( わたし ) は、あなたの 代理人 ( だいりにん ) アジョンとしてあなたの 力 ( ちから ) になりたいのです。フフッ」
薄 ( うす ) ら 笑 ( わら ) いを 浮 ( う ) かべたホログラムの AI ( エーアイ ) コウが 憎 ( にく ) まれ 口 ( ぐち ) を 叩 ( たた ) く。「 笑 ( わら ) いながら 言 ( い ) ったな、 最後 ( さいご ) ……つか、 僕 ( ぼく ) が、 国 ( こく ) 語 ( ご ) 、 苦 ( にが ) 手 ( て ) だと 知 ( し ) った 上 ( うえ ) で、 敢 ( あ ) えて 難 ( むずか ) しい 言 ( こと ) 葉 ( ば ) を 使 ( つか ) っていたんだな? お 前 ( まえ ) 、 良 ( よ ) いヤツなのか、 嫌 ( いや ) なヤツなのか、 分 ( わ ) かんないな」「もちろん、いいヤツですとも」「「 自分 ( じぶん ) でいいヤツというやつほど 怪 ( あや ) しい!」」 洸 ( こう ) と AI ( エーアイ ) コウが 同時 ( どうじ ) に 発言 ( はつげん ) してかぶる。
「「あははははは」」
ふ ( ・ ) た ( ・ ) り ( ・ ) ?とも、 笑 ( わら ) った。 ふ ( ・ ) た ( ・ ) り ( ・ ) が 少 ( すこ ) し 打 ( う ) ち 解 ( と ) けあった 瞬間 ( しゅんかん ) だった。「じゃぁ、とりあえず、 家 ( いえ ) に 帰 ( かえ ) るよ」「はい、かしこまり!」 というや 否 ( いな ) や、アジョン 姿 ( すがた ) の AI ( エーアイ ) コウは 消 ( き ) えた。あたりが 静寂 ( せいじゃく ) に 包 ( つつ ) まれ、 日 ( ひ ) が 沈 ( しず ) んだ 暗 ( くら ) い 夜 ( よる ) が 洸 ( こう ) に 空 ( くう ) 腹 ( ふく ) 感 ( かん ) を 思 ( おも ) い 出 ( だ ) させた。
(あ、はやく 家 ( いえ ) に 帰 ( かえ ) ってご 飯 ( はん ) 食 ( た ) べなきゃ……にしても……かしこまりってなんだよ。 古 ( ふる ) いな……もはや 死語 ( しご ) ……ははは) なんて 思 ( おも ) いながら、 洸 ( こう ) はボードに 乗 ( の ) りなおした。「 洸 ( こう ) さん、 聞 ( き ) こえてますよ。フフッ」