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【Web版】Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ — novelup.plus · All chapters

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王都パルマ 剣と魔法、人種や亜人種、そして魔族や怪物達が存在する、地球とは平行世界にあたる、いわゆるファンタジー世界の首都である。  そんな王都パルマの城下街の一角にある、ここスペード商会の荷物積込場において、彼、バナザは、今日も荷馬車に積み込まれていく荷物のチェックをしていた。 「バナザさん、あと何箱積めばいいのかね?」「え~っと、そこの荷馬車は辺境都市バトコンベ行きだったね……あと3箱積んだら出発してください」 手元の書類と、荷馬車の中身を照合しながら指示を出していくバナザ。 まだ若いながらも、 荷物積込場 ( ここ ) の管理責任者を任されている彼は、朝から晩まで荷馬車と荷物、書類とにらめっこしながら、時に持ち込まれる商談のとりまとめを行う日々を送っている。 非常に多忙な彼なのだが、そういった数字の管理や商いに関する仕事が元々好きだったバナザはこの状況に特に不満を持つこともなく、充実した日々を送っていたのだった。「さて……朝一に出発の便は、今ので最後かな……」 書類と、荷物の積み下ろしを続けている他の荷馬車の列を再度照合し終えると、その数値がぴったり一致したことに、バナザは満足そうに頷いていた。「じゃ、午後便に積み込む荷物のチェックを終わらせたら、昼飯でも食べに行ってこようかな」 そう言いながら、バナザは書類から顔を上げた。 そして『198人目の勇者候補の召喚に成功しました』  ……はい? 先ほどまでいたはずの、スペード商会の荷物積込場とは明らかに違う周囲の様子に、バナザは唖然としていた。「勇者候補様は、こちらへお越しください」 何か、眼の前にいる巫女風の女性が言葉を発しているものの、今自分の身に何が起きているのか飲み込めないバナザは、それが自分に投げかけられている言葉だと理解出来ず、その場に立ち尽くしていた。 彼がいるのは、祭壇とおぼしき場所の中心であり、その周囲を何人もの司祭や魔導士風の人達が取り囲み、何らかの魔法を詠唱し続けていた。 この祭壇は、更に大きな建物の中にあるらしく、数枚のステンドグラスから差し込んでいる陽光だけでは、その全容を見渡すことは出来なかった。「勇者候補様、次の候補の方が間もなく召喚されます。急いでこちらへ移動してください」 呆然としながら周囲を見回していたバナザの手を、先ほどの巫女が引き、彼を魔法陣の上から移動させていく。 手を引かれるがままに魔方陣から降りたバナザに対し、巫女は、一度きちんと向き直ると、恭しく一礼していった。 「勇者候補様。この度は我が魔法国クライロードの呼びかけに応じてくださりありがとうございます。 早速ですが、勇者候補様には、能力測定を受けていただきます」……呼びかけ?……応じた?……僕が? 巫女の言葉に、どんどん混乱していくバナザ。「いきなりで混乱されていますね。では、測定の合間に簡単に事情をご説明いたします」 そう言うと、巫女は、バナザを案内しながら説明を始めた。 巫女の説明によると ここ、魔法国クライロードは、バナザの住んでいた世界とは別の次元に存在する異世界の1国家なのだという。 クライロードは、この世界最大の領土を誇る巨大国家であり、数多存在する国々を盟主として統治している。 この世界では、魔王と呼ばれる魔族の王が存在し、クライロードをはじめとするこの世界の国々は現在その魔王軍の侵攻にさらされているのだという。 盟主国家であるクライロードは、その魔王を討伐すべく、異世界から勇者となりうる人物を召喚し、その侵攻に対抗しようとしているのだという。 なぜ異世界から召喚するのかというと、 異世界からこの世界に呼び寄せられた者には、ほぼ例外なく神界の神より加護が与えられるためなのであった。 この加護が、とても強力な場合がほとんどであるため、この世界の強き者を勇者に任命するよりも、より強力な勇者が誕生するのである。「百年以上昔にこの地に召喚された勇者様は、召喚された時点で、Lv1でありながら、力・守り・速さ・魔力・HPの主要5項目の値がすべて999だったのですよ」 この世界での標準的な主要四項目の値は、10であり、LVがあがっていくと、この数値が上昇していくのだとか。 Lv1で、数値のすべてが999と言うのは、LV1の段階で到達しうる最高値であり、これは奇跡でも起きない限り、まずありえないのだという。 LVが上がっていけば、その数値もどんどん上昇していくのだが、初期値の数値が高い者は、数値の上がり方も半端ないのが通常なのだそうだ。 ……っていうか、そもそもなんで僕が召喚されたんだ? 元の世界ではただの商売人であった彼は、そもそもの部分に違和感を感じ、首を捻る。「その身に秘められた力と言うのもは、得てしてご自分ではわからないものなのですよ。さぁ、この水晶に手をおかざしください」 巫女が指さした先には、バナザの腰の高さくらいにしつらえられている台があり、その上には青い水晶がおかれ、神々しく発光していた。 言われるがままに、その水晶に手をかざすバナザ。 巫女は、恭しく一礼すると、その水晶の中を覗き込んだ。「……あれ?」 巫女は、目をぱちくりさせると、一度両目を指でこする。 そして、再度水晶の中を覗き込む。「……なんということでしょう……」 巫女の言葉を聞きながら、バナザは、その言葉の意味をすでに理解していた。 彼が手をかざしている水晶に浮かんでいる数字は、バナザにも見えていたのだがLv・・・ 1力・・・ 9守・・・ 8早・・・ 6魔・・・ 1HP・・・10 先ほどの巫女の説明から想像するに、その水晶の中には、この世界のごく一般的な成人男性と、ほぼ同じ数値が表示されていたのである。「神による補正値の痕跡が皆無……そんな……こんなケース、はじめてです……」 困惑する巫女の様子に気が付いたらしく、周囲にいた魔導士達が集まってくる。 その者らは、バナザの水晶の数値を見ると一様に困惑し、ザワザワと小声で相談を始めていた。 そんな時だった。「あぁ!素晴らしい!伝説の勇者に匹敵する力をお持ちの方が召喚されました!」 バナザのすぐ横にある水晶に手をかざしている人物の前で、バナザを連れてきた巫女とは別の巫女が、感涙を流しながら、勘当に打ち震えた声を上げていた。 その水晶にはLv・・・  1力・・・999守・・・999早・・・999魔・・・999HP・・・999 という数字が並んでいる。 先ほどの巫女の説明によれば、これは百年以上前にこの地に現れたという勇者が召喚された際のLv1の際と同じ数値ということになる。 その水晶の前にいる男性は、屈強な肉体を豪華な鎧に身を包んでおり、どこかの国の騎士なのだろうと想像できる。 切れ長の目に、金色の長髪。男から見ても魅了されかねない美貌を兼ね備えているその男は「そうであるか……私がこの世界を救う勇者に選ばれた、と、いうことなのだな」「そうです!勇者様!我らをお救いください!」 いつの間にか、バナザの前にいた巫女までもが、その金髪騎士の元へ駆け寄り歓声をあげていた。 その様子を横目に見ながら、バナザは、ただ茫然と立ち尽くしていた。◇◇ この後、勇者誕生の宴と称して、城をあげての盛大な晩餐会が開催され、その席において、この金髪の騎士が、正式にこの世界の勇者に任命されたのであった。 バナザは、誰からも呼ばれてはいなかったものの、誰からもどこに行くように、との指示ももらえていなかったため、仕方なくこの晩餐会の会場の片隅に赴き、こそこそと食事を口に運んでいた。 誰かに事情を聞こうとしてはいたのだが、皆「勇者様の宴の準備で忙しいんだよ!」「勇者様にお声をかけなきゃいけないのよ!邪魔しないで!」 といった具合で、誰一人としてバナザの言葉に耳を傾ける者はいなかった。 宴はその後、3日3晩続くこととなり 会場が閉鎖されなかったため、バナザもその会場の一角にあるソファで寝起きしながらこの期間を過ごしていた。 そして、宴がようやく終わりそうになった頃 バナザは、最初に彼にあれこれ説明してくれた巫女を見つけ、声をかけた。 巫女は、バナザの顔を見ると、最初はきょとんとしていたのだが、徐々に記憶が戻って来たらしく、まず、あぁ!と、声をあげ、そして、「……あなた……なんでまだいるのですか?」 真っ青になった