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LVと宿

【Web版】Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ — novelup.plus · All chapters

LVと宿

浄化魔法を使用したバナザの前に、新しいウインドウが表示された。 バナザのレベルが上がったために、そのスキルを表示していると思われたのだが、『Lv・・・ 367 力・・・ ∞ 守・・・ ∞ 早・・・ ∞ 魔・・・ ∞ HP・・・ ∞』「……はい?」 先ほどスライムを倒した際に、Lvが2に上がったのを確認していたバナザだったが、今はその数値が367に跳ね上がっていることに唖然とした。「っていうか……僕はさっき浄化の魔法を使っただけで、別に怪物とか倒してないのに……」 困惑しながらも、あれこれ原因を考えるバナザだったが、いくら考えても思い当たる節がない。 このレベルの上昇なのだが 先の浄化魔法によって、この森を拠点としていた魔物達が一緒に浄化され、全員が消滅したために、その経験値がバナザに入ったのが原因であった。 なお、この森にいた魔物というのが、魔王の四天王の1人、牙狼族の猛者フェンガリルとその配下だった。 ちなみにこのフェンガリル、クライロードの数万の軍勢をただ1人で壊滅させたことがあるという伝説級の魔族なのであった。 こんなことが起きていたことにまったく気が付いていないバナザは、急激なLvアップの理由を考えに考えた末に……・僕の魔法表示機能は、魔法能力が低いせいで、正しく表示されないんだろう との結論を導き出し、無理やりに自分を納得させたのだった。 そのため、このスキル表示は信用できないと決めつけたバナザは、以後このスキル表示機能を非表示設定にしたのであった。  レベル上昇の件は、これでひとまず置いておくことにしたバナザは再度森の方へ視線を向けた。 今は浄化を行っているとはいえ、元々魔素に汚染されていた森である。 そのため、このまま、ここに住むことははばかられた。 とはいえ、街に戻るとしても、街で暮らすことは禁止されているし…… そんなことを考えていると『推奨:姿形変換魔法 あなたの姿形を視覚的に変更可能 実行しますか? はい/いいえ』 と、ウインドウが表示される なるほど……見た目の姿が変われば、街でも気が付かれないかもしれない そう考えたバナザは、『はい』を選択した。 すると、今度は『性別は? 男/女 身長は? 高/中/低 人種は? 人/亜人/魔族 ・ ・ ・』 結構な数の選択肢が表示された。 ランダム設定も可能なようだったが、バナザは一応個別に設定をこなしていき、大まかに 『男性・人種・普通身長』といった、ごく普通の姿に身を変えた。 元の姿は、かなりの細身で女性に見間違われかねない中世的な顔立ちだっただけに、かなり印象が変わっている。 着衣も魔法で変更が可能だったため、いかにも冒険者風の姿に変更した。 一応魔法が使えることもあり、若干魔術師っぽくローブ風にしている。 名前も、『アープショー』を名乗ることにした彼は、転移魔法で、最初に自分が転移してきた街へ戻った。 とりあえず、どこかの宿に宿泊しながら、この世界のことを調べ、それから今後の方針を改めて考えるつもりなのだった。 大通りから1つ入ったところで、『宝珠の加護亭』とかかれた看板が掲げられている宿を見つけ、とりあえず中に入る。 1階では、食堂もしているらしく、昼食時の今は、それなりの人や亜人でにぎわっていた。「いらっしゃいお客さん、見ない顔だけどこの街ははじめてかい?」 カウンターの中で料理をしている女将が元気な声をかけてくる。「東の小さい村からやってきた駆け出しの冒険者で、アープショーと言います。ここらで宿を探しているのですが」「なら、ウチにしときなよ。今なら部屋が空いてるよ」 女将から提示された金額は、元の世界の物と別物のために、いまいちその金銭感覚がわからなかったバナザ改めアープショーは、とりあえず所持している金貨を1枚差し出してみた。 すると「あんた、見た目と違ってどこかの貴族のぼっちゃんかい?そんだけあればウチなら秋まで食事付きで宿泊できちゃうよ」 そう言って笑いながら、途中でチェックアウトするなら残金は返すけど、なるべく長く泊まってちょうだいね、とお願いされ苦笑するアープショーだった。 金貨で支払いをしたおかげか、部屋は2階奥の一番いい部屋にしてもらえたらしい。 ベッドは2つあり、風呂も部屋に設置されている。 一応、魔法使いとして行動しようとしていることもあり、荷物の中から杖を取り出したアープショー。 その杖は、相当な安物らしく、見るからに貧相な見た目の杖だったのだが、魔法でカスタマイズが可能だったため、アープショーは、少し豪勢な感じに作り変えていった。 カスタマイズしたおかげで、少し格好良くなった杖を手に食堂へと降りたアープショーは、情報収集を兼ねてそこで食事をすることにした。 食事が出てくるまでに、周囲の会話を盗み聞きしていると・新たな勇者が南方に向かったらしい・北で謎の巨大魔法が使われたとか・最近ゴブリンの被害が多い・奴隷の質が悪くなった などなど、色々な情報が入ってくる。 そうこうしていると、フロアの店員らしい犬種の亜人の女が食事を運んできた。 彼女は、この宿の奴隷だそうで、女将が主人なのだそうだ。 この世界では奴隷を買うのはそんなに難しいことではないらしく、街の繁華街にも、普通に奴隷商の店が軒を連ねているらしい。 アープショーの元居た世界では、奴隷商は忌み嫌われる商売であったため、若干の違和感を感じていた。「あまり長く話していると、ご主人様に怒られるますので……」 そう言って、大きくお辞儀し、戻っていく犬種の亜人の女に礼を言い、食事を食べることにしたアープショーだった。  食事を終えたアープショーは、表通りを散策してみることにした。 先の食堂での会話の中に、表通りに冒険者に仕事を斡旋する冒険者組合があるらしいとの情報があったため、とりあえずそこへ向かうことにしたのであった。 その道中、不意に後方に妙な気配を感じたアープショー。 横目で後方を見やると、ボロキレのような服に身を包んだ子供が一直線にこちらへ駆けてくるのが見えた。 どうやら物取り目的らしく、その目はアープショーの持ち物を物色している。 用心深く近寄って来たその子供は、アープショーの隙をうかがい、その腰の魔法袋を奪おうと手を伸ばした。 しかし、次の瞬間、アープショーが常時展開している魔法のいくつかが自動発動し、子供の手は魔法の壁に弾かれ、瞬時に縄で縛りあげられその場に転がってしまう。 アープショーは、改めてその子供をよく見てみると その子供はひどく痩せており、物取りもしかたなくおこなっていたのでは、と想像出来なくもなかった。 その子供は、何か言おうと口を動かしてはいるものの、その口までもしっかりふさがれているめ、何を言っているのかまではわからなかったが、とりあえず面倒ごとに巻き込まれるのは御免とばかりに、アープショーは、その子供のポケットに金貨を1枚ねじ込み、その耳元で「もうこんなことしちゃ駄目だよ」と囁いた。 アープショーは、少し離れてから子供の拘束魔法を解除してやり、子供が慌てながら人混みの中に消えていったのを確認すると、気配隠蔽の魔法を発動させ、自らも人ごみの中へと消えていったのだった。