第27話 センサー
第27話 センサー
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放っている人間にようやく気づいた。――俺だ。なんだ。それでこのモンスターは俺をトップと断じて仕掛けてきたのか。ふ。と思わず自嘲が滲んだ。叔父さんの言葉の意味が、ようやくわかった。それと同時に、両親の嘘も。入学式からしばらくして、俺は母親に聞いたことがあった。『ねーおかーさん。僕の巡力って流しちゃうから数字が低かったんじゃないの?』『そっ、そんなわけないわよ! 巡力の計測はちゃーんとその子の本来の数値を測ってくれるんだからねっ!?』『ふーん……そっかぁ……』なにが『そんなわけない』だ、あんの大嘘吐きっっ!!そんなんで納得してんじゃねーよ、あの頃の俺っっっ!!毎日毎日巡力を自分で捨てておいて、自分は巡力が少ないなんて。こんな単純なことに気づかないって、間抜けすぎるだろ!!「くそっ……」俺が人生最大の衝撃を受けている間にも、アームが自動で上がって、モンスターの攻撃を防ぐ。着地したモンスターが体勢を立て直す、その一瞬を逃さず、俺はアームを振り抜いた。苛立ちを、巡力とともにアームに込めて。ズドンっっっ!!!大砲が発射されたような音を立てて、モンスターが床に叩きつけられる。「ふぅ、危ない危ない」と呟いたのはさっきの責任者らしき大柄の男だ。かなりの怪我をしていたはずだが……。「回復ポーションも持ってたんだよ。まあ、これは後から経費にするけどね」ひとまず自腹のポーションを飲んだってことか。俺はこの隙に、図書館中の出入り口から盗難防止センサーゲートをかき集めて、センサーをロボの各方向に取り付ける。生き残っていた裏口の自動ドアのセンサーも取り付けて、配線をこうして、こことここを連携させて…………よしっ!「柊木さんごめん、ロボ改造する、無茶なやつ!」「わかりましたっ」答えると同時に柊木さんは後部座席から身を乗り出して、俺の頭上に覆い被さる。上から来たのか。俺は慌てて顔を上げた。ゴチ。と強めにぶつかるのは、もう緊急時なので仕方ないことにして、俺はロボの足が触れているこの図書館自体を俺の装備である、と強引に定義する。よし、成功だ。「ぅ……」柊木さんが小さくうめく。一瞬とはいえ、この広さの建物全部に柊木さんの巡力が薄く巡った。ごめんな柊木さん、苦しいよな。俺は素早くマクロの数値を補正して実行する。モンスターが俺達を睨む。さっきの男はもう居ないしな。『おのれ、こしゃくな……』どこから仕入れたんだろうな、その日本語は。モンスターはセンサーを取るのを諦めたのか、大剣を構えた。が、先に腕を振り抜いたのは俺だ。ガンッ!モンスターは大剣で俺のロボットアームを受け止める。流石に威力全部は削ぎきれなかったのか軽く後ろには飛んだが、吹き飛んだというほどではない。俺のパンチを受け止めた!?シュッと目の前から姿を消すモンスターを、センサーが瞬時に捉えて防御アームが上がる。この一連の動作は自動化している。俺の手作業じゃ間に合わないからな。俺は自分の巡力残量を確認する。戦闘で出力は上げていたが、まだほとんど減っていない。なんだ? センサーもこれだけ増やしたのに、こんなに低コストで動くもんか……?俺は自分の巡力を目視しようとして、このダンジョンで一番強い光を放っている人間にようやく気づいた。――俺だ。なんだ。それでこのモンスターは俺をトップと断じて仕掛けてきたのか。ふ。 風を切る音がした瞬間、ガゴン! とロボに衝撃が走る。「ひぇぇぇ」一か八かで構えたアームでの防御は間に合ったらしい。くそっ、見えない速さの攻撃なんて、どうすりゃいいんだよ!せめてセンサーでもあれば……。いや……、あるよな、センサー。図書館にはある!!「柊木さんありがとう!」俺が叫ぶと、柊木さんの汗ばんだ額が離れた。「ふぇぇ、もう……目が回りましたぁぁ……」ペションと後部座席に戻った柊木さんが溶ける。俺は床に散乱した本から破れたらしい盗難防止用のタグがついた背表紙をロボットアームで拾うと、俺達とモンスターの間に入ってくれていた男に差し出した。「これをモンスターに取り付けられますか?」「やってみよう」男はタグを受け取りモンスターに向き直る。モンスターは丁度大剣を振り上げて男に斬りかかったところだった。男はスイッと足を引いて避け……たと思った次の瞬間には消えていた。この人の動きも、モンスターの動きも、俺には速すぎて見えない。「取り付けたよ」そう告げる男が、図書館の外に倒れるコンカー達に視線を投げる。向こうも何人かがポーションで回復したのか、また戦闘になっている。あっちもすぐ駆け付ける必要がありそうだな。「ありがとうございますっ」「私は向こうをなんとかしてくるから、そっちはしばらく頼めるかな」「やるだけやってみます」目の前では、モンスターがタグを貼り付けられた自分の背に腕を回そうとしている。が、どうしても届かないようで、その場でクルクル回ってしまっていた。流石責任者さん、絶妙な場所に付けてくれたようだ。俺はコックピットを左右に半分ずつひねる。各方向に取り付けたセンサーが、モンスターの正面に近付くと順に反応するのを確認する。よし分かった、反応する角度はそれぞれこの程度だな。俺は素早くマクロの数値を補正して実行する。モンスターが俺達を睨む。さっきの男はもう居ないしな。『おのれ、こしゃくな……』どこから仕入れたんだろうな、その日本語は。モンスターはセンサーを取るのを諦めたのか、大剣を構えた。が、先に腕を振り抜いたのは俺だ。ガンッ!モンスターは大剣で俺のロボットアームを受け止める。流石に威力全部は削ぎきれなかったのか軽く後ろには飛んだが、吹き飛んだというほどではない。俺のパンチを受け止めた!?シュッと目の前から姿を消すモンスターを、センサーが瞬時に捉えて防御アームが上がる。この一連の動作は自動化している。俺の手作業じゃ間に合わないからな。俺は自分の巡力残量を確認する。戦闘で出力は上げていたが、まだほとんど減っていない。なんだ? センサーもこれだけ増やしたのに、こんなに低コストで動くもんか……?俺は自分の巡力を目視しようとして、このダンジョンで一番強い光を放っている人間にようやく気づいた。――俺だ。なんだ。それでこのモンスターはどれほど強いんだ。『答えないか、まあいい。お前を倒して、あれらをいただくとしよう』ヒュッ、と風を切る音がした瞬間、ガゴン! とロボに衝撃が走る。
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