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第三十一話 新しく懐かしくもある春の風 −北宇治高校2043年度の始まり−

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第三十一話 新しく懐かしくもある春の風 −北宇治高校2043年度の始まり−

それは、3月の終わりのこと。

例年より随分と気温が上がって、ニュースでは4月下旬並みの暖かさ、と言っていた頃。

吹部の練習を終えて帰る途中、通学路に近い住宅街の中にある小さな公園で、仲間たちとコンビニで買い求めたスナック菓子を囲みながらソフトドリンクでささやかなお花見をした。

宇治橋から上流に向けて咲き誇る桜並木とはまったく敵わないけど、この小さな公園に身を寄せ合うように立っている数本のソメイヨシノを眺めるのは、結構好きだったりする。大きな名所じゃなくても、誰かの記憶に残る春って、案外こういう場所なんだと思う。春の匂いが混じった柔らかな日差しの下で、花びらが風に揺れているのを見ていると、なんだか気持ちが落ち着いてくる。

桜の頃。私の最も好きな季節。

そもそもは、練習の休み時間に誰かが「お花見に行こうよ、桜を愛でよう」と言いだしたのが最初だった。……私が言い出したかも……。そこから、スケジュール調整をやり始めたが、吹部のスケジュール、個人のスケジュール、天気予報そして桜の木自身の気合の入れ具合なんかを総合的に検討した結果、どうにも、”ちゃんとしたお花見”の時間を取れそうにもない、と言う結論に落ち着いた。でも、

「せっかくだからこの仲間でやりたいよね」

「じゃあ、通学途中で見つけて気になっていた公園に行こう」

と話がまとまり、仲間たち6名でこうして桜の木のそばのベンチに腰掛けている。

「瑠美子はジンジャエール飲んでんのか。うちも、それにしてもよかったかな」

そう言いながら、隣に座っている未来は持っている缶コーヒーのプルタブをカシュっと開け、コクっと一口飲んでいる。

「今日は結構暖かいし、なんとなく炭酸欲しくてね。そういう未来は、コーヒーにしたんでしょ?」

「へへっ、しかもほら、ブラック」

鼻を膨らませ、自慢げに見せてくるその缶には、確かに黒地の白抜き文字で”BLACK"って書いてある。

「飲めるようになったの?前、得意じゃないって……」

「最近、味が分かるようになったんよ〜」

にこにこと、ちょっと嬉しそうに話す未来。

「そうなんだ」

「ついこの前ね、お母さんが仕事先からいいものをもらったって、コーヒー豆持って帰ってきて」

「あ、いいね」

「豆だけじゃ飲めん!っていうことで、ミルやらドリッパーやらフィルターやら、コーヒーを淹れるための道具をワンセット、重いのに一緒に買ってきたものだから、まーたママに叱られてて」

田中家のリビングでの様子が、容易に想像できる。

「webでコーヒーの淹れ方を見てからその通りに淹れてたんだけど、うまく出来たみたいで」

「へぇ〜、そりゃよかったね」

「二人でワイワイ言ってるのを微笑ましく見てたら、見てるだけでなく体験しなって言われて飲まされたら、ほんとに美味しかったんよ、ブラックだったのに」

「どんな豆だったの?」

「えーと、確か……ハワイのコナコーヒーって言ってた」

「聞いたことあるな……」

スマホを取り出して、調べてみると……

「ははぁ、世界三大コーヒーの一つってあるよ。……いいもの飲まさせてもらったね」

「そうなんだ。だから、飲めたのかもな」

「ちょっと、見て見て!」

突然、向かい側に座っていた凛々ちゃんが、スマホを見ながら興奮気味に話している。

「どったの?」

「浅田先生が異動してる!」

「え?そりゃ、移動もするでしょうよ、先生でも」

移動と言われても、すんなりとイメージができない。

「違う違うっ、浅田先生が4月1日付で北宇治から城南総合に異動するって新聞のサイトに出てるってーの」

「ああ、教職員異動の発表って今日だったか」

すると、みみちゃん、千紗、陽菜もポケットからスマホを取り出し、検索サイトから京都府教職員人事異動のリストを探し始めた。

「どこに載ってんの?古いのしか見つかんないや」

「新聞のサイト」

「じゃあそれ、スマホに送って」

「はいよ」

凛々ちゃんから、みんなのスマホ宛に送信されてきたサイトをフリックし、一覧表になっている中から、"北宇治"をキーワードにして検索をかけた。

「ふーん、北宇治から8人出て、8人入ってくるのか」

「ありゃ、生物の田山先生も行っちゃうんだ」

「あの先生、面白かったのに」

実際に教えてもらっていた先生が北宇治から去ってしまうという情報を目にしてしまうと、やはり少し寂しさを感じてしまう。

「でも……浅田先生が異動となると、吹部の副顧問はどうなるんやろう」

千紗はスマホをスカートのポケットにしまい、両腕をあげ後頭部で両手を組み、桜を見上げながらぼそっと呟いた。

「丸尾先生が兼務する、というかもう副顧問をなくすとか」

「いやいや、今でも39名いるから。うちら吹部は、学校で一番人数多いんやから、副顧問は必要でしょ」

「やっぱ、そうやろうなぁ」

「「「うーーむ」」」

みんな一様に腕組みして、首を傾げている。

「まぁ、誰が副顧問しても、吹部は吹部。私たち次第だよ、結局のところ」

私がなんとなく言った言葉がこの問題の結論となり、みんな私を見て頷いていた。

その時、やや強めの風が公園を吹き抜け、桜の枝をゆさゆさと揺らしては花びらを数枚私たちの足元に落として、どこかに行ってしまった。

その日の夕刻。家のキッチンでおかずの一品として、人参しりしりを作ろうと野菜のストッカーからやや大ぶりの2本を手にし、水道で洗っていた時だった。

「そうだ。今日ね、先生たちの異動が発表されてたよ」

「ああ、新聞のホームページに出てたね」

コンロの前の母は大きめのフライパンを火にかけ、サラダ油を引き、小麦粉を薄くまぶしたサワラの切り身を並べている。何でも書い忘れの日用品を買うためにスーパーに立ち寄ったら、サワラが安かったので買ってきたそうだ。

私はスライサーで人参を千切状にしていく。

「やっぱり、気になる?」

「そりゃあ、以前お世話になった人たちや勤めてた学校の動きは、押さえておきたいよ。……まぁ、それだけでもないんだけどね……」

最後の方はボソボソっと言うから、フライパンのじうじう焼ける音と混じりよく聞き取れない。

「え?何て?」

「いやいやっ、先生をしてるとね、誰がどこに行ったかどうかというのは気になるもんなのよ」

「ふーん」

千切りにした人参はコンロが空くまでそのまま置いておいて、次はトマトを冷蔵庫から取ってくる。

「北宇治は、浅田先生が動いてたじゃない?」

「そうなんだよー。だから、誰が副顧問するんだろうって言うんで、帰りにわいわい話してたんだけどね」

水洗いしたトマトのヘタをとって、一口サイズに切り分ける、と。

フライパンのじうじう音と包丁でトマトを切っていく音をBGMにして、話し続ける。

「……北宇治は出る人が8人で、来る人も8人だったと思うんだけど」

「うん、そうだった」

「その中でね……お母さん、知った名前があったよ」

「へえ〜、そうなんだ。なんて言う人?」

「"高田結衣"って人でね、西嵯峨野からの転出だけど……同姓同名かもしれないな」

「じゃあ、さ。もしその人が、お母さんが知っている人だったとしたら、どんな人?」

私がそう聞くと、母はトングを持ったまま、ほんの一瞬動きを止めた。

フライパンの中のサワラは、じうじう音が落ち着いてきて、そろそろひっくり返していい頃合いだ。

「……どんな人、って言われると……」

母は少し上を見上げて、宙にある思い出のプールの中から記憶を拾い上げようとしている。

私は切ったトマトをボウルに入れ、ごま油、味の素、塩昆布、これらを適量加え、全体が馴染むようにスプーンでかき混ぜる。これで、トマトと塩昆布サラダの完成。

「うーん……真面目で、頑張り屋で……でも、不器用なところもあったな。そうだね、喜怒哀楽がよくわかる子だった。部長になった最初の頃は、いろいろ大変だったなぁ」

「部長さんだったんだ」

「そう。みんなを鼓舞するのがほんと上手でね……高田さんが部長だったあの年、北宇治は全国に行けてね、金賞取れたんだよ」

母の声からは、拾い出した思い出を見て懐かしんでいるという感じが聞き取れた。

「お母さん」

「ん?」

「お魚、そろそろひっくり返したほうがいいんじゃない?」

「え?あ、ああっ、そうだね……忘れるとこだった」

苦笑いしながら、トングでフライパンのサワラをひっくり返していくと、再びじうじうと音を立て出した。焼き上がるまで、もう少しかかるみたい。

「なんか、楽しい思い出がいろいろあったの?」

「どうして?」

「……なんとなく、声が明るかったから……」

そう言うと、母はにこっと微笑んだ。

「そうだよ、色々思い出してね……その全国金賞を取ったっていうのが、瑠美子が生まれる前の年なんだよ」

「そうなの?!」

「うん。あの年は本当に色んなことがあって、色んなことが変わった年だった……」

その母の返事、とても優しい声だった。よほど嬉しかったんだろう。

「お母さーん、晩御飯はそろそろ?」

夕飯の支度をしながら母と話をしていると、瑛斗が自分の部屋から出てきた。お腹に手を押さえている様子からすると、だいぶんお腹が空いているようだ。

「もうすぐだから、少し待ってて」

「ほら、テーブルを片付けて、ここの布巾で拭いて、湯呑みとお箸並べてくれる?お父さんは今日遅いから、三人分ね」

「え〜っ、姉ちゃん俺の顔見たら、すぐ用事言いつけるなぁ」

「ほらほら、瑛斗が食事の支度手伝っても、バチ当たらないから」

「なんだよ、それ」

瑛斗はシンクまでやってきては、布巾を水で濡らし、絞ってからダイニングテーブルを拭きに行こうとする。

その時、瑛斗の目の位置が私より高いということに初めて気がついた。

「あれ?あんた背伸びたの?私より高くなった?」

「あー、多分ね。先週測ったら、168あった」

「ええーーっ!!」

あ、大きい声が出てしまった。

「え〜、なんてことだ。瑛斗に身長抜かれてしまった……」

「何だよ、ええやんか。あ、お母さん」

「ん〜?」

「学校の上履き、小指が当たって痛いんで、買い替えていい?」

「うん、いいよ……ほら瑠美ちゃん、どうしたの。手が止まったよ」

「え?ああっ、ごめんなさい……」

母に促され、途中になっていたトマトのサラダを人数分の小鉢につぎ分けていく。

ああ〜、それにしても。最近稀に見るショックな出来事だ……。瑛斗に追い抜かれるなんて……もう、先生達の異動の話なんか、どうでもいいや……。

4月になった。天気予報では、今日はよく晴れて4月下旬並みの気温になるだろうと言っていたが、どうやらその通りのようだ。「行ってきまーす」と言って玄関ドアを閉めて外に出ると、ついこの前まで感じていた身を刺すような冷たい空気は、もうどこかに行ってしまっていた。

マンション前の信号を渡り、あじろぎの道へと進む。少し歩くと、道が桜並木に包まれるような区間になる。

あー、もうここの桜大好き。去年も思ったけど、宇治に来て良かったと思う場所の一つでもある。

この辺りの桜は一時期弱くなっていたそうだけど、治療も含めた手入れを市や地域の方が丁寧に行った結果、桜も力を取り戻し、今ではまさに桜のトンネルといった風情になっている。

そんな中を、私は福々とした気持ちで、足取り軽やかに宇治橋に向かって歩いていく。そういや、しばらく用水機場そばのベンチでのんびりしていないなぁ。横を通るたびに誰彼か座っているから敬遠していたんだけど、桜が満開の間にあそこに座って宇治川の流れを見ないとね。

宇治橋を渡り、京阪宇治駅で中書島行きに乗り、未来、みみちゃん、千紗、陽菜と順次同じ列車に乗り込んできて、六地蔵で降りると凛々ちゃんが合流してくる。そこから、6人であーだこーだ言いながら、また通学途中に点在する桜を眺めながら、坂道の行く先にある北宇治高校に向かって歩いていく。

校門のそばにある桜も満開だし、玄関口へ向かっていく途中の、ブロンズ像のそばにある桜ももちろん満開だ。この桜のそばには、字が薄くなっているけど”平成29年度卒業生記念植樹”という立て札があるのを私は知っている。

今日の吹部の練習スケジュールは、大きく分けて午前中はパート練、午後は個人練となっており、顧問の丸尾先生による合奏練習は行われない。というか、この時期先生方にとっては一年を通して最も忙しい時期でもあるので、丸尾先生は今週いっぱい吹部の練習にくる予定はない。その代わり、東山DMによる基礎合奏の練習メニューをこなしていくことになっている。

パート練で行っている練習は、基礎練習はもちろんだが、来週9日の入学式で演奏する曲をさらっている。入場時はヴィバルディ”四季”の”春”で、退場時はエルガー”威風堂々”第一番。どちらもよく演奏会で演奏してきた曲なので、指が覚えているという感じだ。

午後からの個人練、今日は風が穏やかで気温も上がってきているので、今年初めて屋外で練習することにした。

楽譜ファイルと水筒を入れたスクールバッグと楽譜スタンドとユーフォと折り畳み椅子を持って、北棟のゴミ捨て場の横を抜け、いつもの場所へと移動する。大きな荷物を両手に持った姿は、あまり人に見られたくないけど。

昨年の秋以来、久しぶりに来たこの場所で、折り畳み椅子と楽譜スタンドを開いて設置し、練習する曲のページを開いた楽譜ファイルをスタンドに置いて、ユーフォを持って椅子に座る。ふーっと一息つくと、穏やかな春の陽気を含んだ優しい風が頬を撫でていく。このまま暖かくなっていくとは思えず、必ず寒い日が何日かはあるだろうけど、それでも季節は進んでいる。それを、目の前を横切った白い蝶々が教えてくれた。

ユーフォを構え、ロングトーン、タンギング、リップスラー、スケール等々のルーチンを納得いくまで繰り返す。上手くなるには、基礎の積み重ねが一番の近道だということをこの一年間で学んだ。愚直と言われたっていい、私はコツコツと繰り返していく。でも、時には自分のために、チートデイを設けることも大切だ。好きなフレーズを好きなだけ吹いて音を楽しむ。これも、この一年間で教わったことだ。最近は、吹奏楽の鉄板曲で、他のパートのソロをユーフォで吹くということをやったりしている。……これ、とても楽しくこればかりやってしまいそうなので、自制が必要だけど。

……ふと気づけば、時計は4時近くになっていた。耳を澄ましても、さわさわと風に吹かれた木々の葉っぱや枝が擦れ合う音はしても他の楽器の音は聞こえてこない。予定の練習時間はとうに過ぎてしまっているので、他の部員たちは帰宅したのかもしれない。今日はこの辺で切り上げよう。

今日は、未来やみみちゃんたちは昼から用事があると言って、午前中のパート練が終わったらすぐ帰っていったので、ずいぶん久しぶりに一人で帰ることになった。

楽譜ファイルと水筒を入れたスクールバッグと楽譜スタンドと、さらにユーフォと折り畳み椅子を持って校舎に入り、4階の楽器室を目指す。うう、重い。

楽器室の引き戸をガラリと開け中へ入ると、そこには見知らぬ人影があった。

「ひいっ!」

誰もいないと思い、無防備の心のまま楽器室に入ったところに人がいたものだから、私は声をあげて驚いてしまった。

「おや、まだ練習している子がいたんだね」

「ど、どなたですか?!」

そこには、肩まであるボブカットで、薄い桜色のブラウスとダークグレーのスラックスに淡いベージュのカーディガンを着た女の人が楽器棚のそばに立っていた。

「あなたは、吹部の人?」

「そ、そうですが……」

「ああ、楽器持ってるんだから、そりゃ当然だよね。あっはっはっはっ、ごめんごめん」

その人は突然笑ったりするもんだから、私はますます疑問符が湧いてきた。

「楽器を戻しにきたんでしょ?……おっ、ユーフォじゃない?へぇ〜、いいねぇ」

「は……はい……」

恐る恐る近寄っていき、ユーフォのケースを置いてあるスチール棚の前で一旦荷物を全て置き、棚から自分のユーフォのケースを取り出し、床に置く。ケースのバックルを外して蓋を開け、そっとユーフォをケースに戻して蓋をする。折り畳み椅子や楽譜ファイルは所定の位置に戻す。……ここまでの一連の私の動きを、その人はじっと見ている。

「あの……何か御用ですか?」

「はい?」

「ここで……何かされていたのではないのですか?」

「ああ、楽器の在庫確認をね。管理リストの数より現物の方が多いから、なんでかなーと、もう一度数えていたんだよ」

「それは、私のもそうですが、マイ楽器を置かさせてもらってますのでその数では無いかと……」

「そう、あなたのを見て気がついたんだよ。ユーフォの数はリスト通りなのに、あなたが持ってたから、それでね。……それにしても、マイ楽器を持っている子って増えたねー」

「と、いいますと?」

「うん。私の頃はまだそれほどマイ楽器の所有率は高くなかったからね」

「私の頃、ですか?」

するとその人は、少し照れるような仕草と共にニッと笑った。

「実はねー、私はここの学校の卒業生で吹部にいてね。今回、北宇治に帰ってきたんだよ」

「えっ!では、OGですか?」

「そう……自己紹介すると、私は高田といいます。今日、北宇治に転入してきました。国語を担当しますので、よろしく」

「は、はいっ!こちらこそ、よろしくお願いします」

「それと、さっき音楽室に幹部がいたから伝えたけど……浅田先生の後任の副顧問をしますので、重ねてよろしく頼みます」

「えーっ!」

大きな声を出してしまったので、私は慌てて両手で口を押さえる。

「ユーフォのあなた、お名前は?リボンの色が赤だから、2年生だね」

「はい、2年の塚本と言います」

「塚本さんね。よろしく……ん?ユーフォ……に、つかもと……いやいや。ところで、帰ろうとして楽器を片付けに来たんでしょ?用事が終わったら帰りなよ」

「はい、そうします。では、お先に失礼します」

「お疲れさん。明日からよろしく」

「はいっ!」

深々とお辞儀をして、私はスクールバッグを持ってそそくさと楽器室を後にした。

うわーっ、あの人が今回異動してきた高田先生なんだ。お母さんが言ってた、お母さんの教え子って言う人だ。しかも、吹部の副顧問だなんて……今年の吹部はどうなっちゃうんだ?

気持ちが落ち着かないまま昇降口で靴を履き替え外に出ると、ブロンズ像のそばにある桜の木から、淡いピンク色した花びらが、いくつも春風に吹かれ空へと舞い上がっていった。