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第六話 探偵は死地にいる

新西京アンダーズ ―斎藤誠二の事件簿― 亜人と竜が住み弾丸と魔術が交差する都市で、正義を名乗らない探偵はサブカル狂いの黒猫と毒舌Aiと今日も理不尽を撃ち抜く。でもエルフの美女は勘弁な! — novel land.com · All chapters

第六話 探偵は死地にいる

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攻撃がない間に、こちらも無防備になり易いリロードを行う。セオリー通りだ。よろしい。 瞬間、光宙の動きが乱れる。僕は理由を知るために体を動かし通路を覗いた。 赤い影が南側に向かって駆ける。彼が僕の家族を殺した無能力者か。 目が合った。 ――いや、これは目の錯覚か? あの男はこの状況下で、不敵な笑みを浮かべてウインクを飛ばしてきたように見えた。 反射的に感じる……冷たい水が背筋に落ちてきたような嫌悪感。 僕は腰の銃に手をやり奴と――一番心臓に近い場所にある金属体に――リンクを繋ぐ。 僕は苛立ちを覚えつつ長田に指示を出した。「長田! 何をしている! 撃て!」「えっ!? 光…あ、はい! し、しかし、あいつ今リロードをしてたから俺もリロードを……!」「誘われたんだ!」 あいつ――予想以上に出来る。 しかし、僕の包囲網は完璧だ。(奴に逃げ場はない! 一気に距離を詰めろ!) 僕は即座に部下たちに指示を飛ばす。 (南側班! 入口方面を固めろ! あの男が飛び出してきたら撃ち殺せ! 時間を稼げればいい! あの男を外に出すなよ!) (分かりました! ボス!)(北側班と東側から西側に移動していた班は南下して奴を挟み撃ちにしろ!) 自分の魂の片割れ、シルバーカスタムのデザートホークを腰ホルスターから慈しむように抜いた。援護射撃をするべきか? いや、今の僕は指揮者だ。最高の演奏の指揮をしている最中に自ら楽器を演奏する指揮者がいるだろうか? 奴は確実に死に向かっている。 僕の魔弾《バレットアーツ》は狙った的を外さないが――万が一、家族が奴と僕の間の射線に入った場合、フレンドリーファイアになってしまう。 僕は銃をホルスターに戻した。ここでオーケストラの最高潮を楽しむとしよう。  ホロマップを確認。南側に向かった三人が、倉庫入口を固めるよう回り込む。その調子だ。 (おい、何して――) (うおっ!) 通信越しに悲鳴が聞こえた。何だ? ……罠があったとしても、奴が三人同時に仕留めることは不可能だ。もし一人か二人やられても、最後の一人に銃弾を叩き込まれて死ぬだろう。 銃声が何発も響き、僕のシミュレーションが正しかったことを裏付ける。倉庫に響く残響は赤いコートの彼を悼む鎮魂歌だった。知らず知らずのうちに、僕の口の端が持ち上がる。その直後のことだった。南側三人のステータスが『死亡』に変わった。思わず己の目を疑う。 馬鹿な! 何が起きている? ――それより少し前。(斎藤誠二) 倉庫南側、俺の視界に蒼い床がオーバーレイで表示されている。それは全て、凍り付いた床面だった。 やってくれたなリーナス! 助かるぜ! リーナスが凍らせた場所のデータを送ってくれていなかったら――俺も氷の床に気づかないまま、スケート靴無しでアイススケートをして死ぬ羽目になったろう。あいつ……どうやら暇潰しに死のスケートリンクをせっせと作っていたようだ。 マップを確認。俺を倉庫から出すなと命じられていたのだろう。こちらのダッシュにつられ、走ってきたオーク達のアイコンが、倉庫入口を見渡せるコンテナの陰に走りこんでいく。だがそこは、軒並み蒼く塗られていた。 肉がアスファルト、いや、氷に落ちる音が俺の耳に届く。 まずは先頭を走っている奴がこけた音。「おい、何して――」 後続だろう。声を上げる。「うおっ!?」 二人目も滑って転んだ声。 更にもう一つ――頭がアスファルトとキスする鈍い音と「いてぇ」という声。三人。 俺はコンテナの影に飛び込み銃を向ける。 目の前には転倒した三人のオーク。 立ち上がろうとするが、手をついた瞬間またすっ転ぶ。「これ、凍って――」 やっと床が凍っていることに気づいたところで――そう簡単に脱出できないことだ。 俺の姿と銃口に気づいたオーク達の表情が、焦燥から絶望に変わる。 俺のことが好きで追っかけてきたんだろう? 遠慮は不要だ――サインしてやる。鉛の弾でな。 雪風を六連射。 視界の隅に表示されている――雪風がハッキングしている敵の戦術ソフトの地図データと残弾を確認。マガジン内の弾丸は十発。 北側からコンテナとコンテナの間を三名のオークがこちらに向けて走ってくる。 接敵まで約二秒。 加速された思考で――戦術を瞬間的に構築。 最悪な事に――マーカスの指揮を見る限り、奴は《《アンダー》》だ。 ここで一気にこいつらを倒して崩さない限り、確実に立て直されるだろう。 ここから慎重に包囲された場合――退路は確保したから死にはしないだろうが――勝つことは難しくなる。そうなれば宮下ケイは病院のベッドで治療費が足りない、そんな下らない理由で死ぬ。ふざけんな。 だからここからの数十秒が勝負だ。 マーカスが状況を完全に把握しきる前に、グリーンヴェノムという組織そのものに致命傷を与えなくてはならない。 手近なコンテナに隠れる。 万が一、マーカスが部下に様子を見るように指示を出した時に備え、撒き餌を行う。ここで冷静になられては困るんだよ。 懐からマガジンを一つ床に叩きつけるように投げ捨てた。マガジン残り三。マガジンが床と触れ合う音が、倉庫内に何重にも響く。 ……もったいないから後で拾おう。「あいつリロードを始めたぞ! 敵の目の前でリロードする馬鹿野郎が! 今だ殺せ!」 かかった。 例えマーカスが一度様子を見ろと言っていたとしても――目の前で敵を殺せるチャンスを、頭に血が上った奴は見逃せない。 そう、アンダーじゃない限りは。どうやらマーカス以外にアンダーはいないらしい。  オークの叫び声が聞こえる。俺の正面にはコンテナ。コンテナの中に入るのは自分から袋小路に飛び込むようなものだ。ありえない。 左から二人――左右に並んでではなく、前後に並んで走っている――そして右から一人。 通常は一対一を優先するべきだが――この並びと状況ならば、今回は敢えて多い方から潰す。 俺は銃を構えて左側に飛び出し、先頭を走るオークの両足を撃ち抜く。 俺がリロード中だと思って油断しているからそうなる。残弾八。 一人目が転倒。 後ろから来ていた二人目は一人目に引っかかって転倒を避けるため、俺に向かって飛ぶ。 良い反応だが――どちらにせよ的にすぎん。 空中で腹に二発叩き込んで撃ち落とす。倒れている一人目が俺に銃口を持ち上げる。 即座に頭に一発撃ち込んで止めを刺す。 残弾五。 撃ち落とされた二人目の頭にも銃弾をプレゼント。 残弾四。 軽く腰を落としつつ振り返る。右から来ているはずの敵の位置を確認するためにホロマップに目をやった。 瞬間、地図データがノイズと共に消失した。「雪風?」 返事が無い。後だ。 目の前に右から回り込んできていたオークが立っている。 お互いに約一メートルの距離。 白のタンクトップ、ブルーのジーンズ、モヒカンのそいつは走ってきた勢いそのままに右ストレートを俺に打ち込む。 視界いっぱいにサイバーアームが迫った。 こいつ、両手を機械化していやがる。 改造者か? ヤバい! 高速圧縮思考《アクセル・コンセントレーション》が立ち上がり、 「こいつは……銃豪《ガンスリンガー》じゃない……銃……武……」 銃武だ? 俺は私立探偵だって言っているだろうが! いや、言っていないな。すまん。 血を吐きながらモヒカンオークが膝をつく。 俺は荒い息を吐いた。 残る敵は北側の三人と、東端にいた三人。合計六人か? これなら、勝てる。マーカスの銃弾は追尾してくるが、ここは遮蔽が豊富だ。うまく撃ち合えばそのまま倒せるかもしれん。 念のため、膝をついたモヒカンオークの頭を左手の銃で撃ち抜こうとしたその瞬間――銃声が連続で響いた。 銃声をトリガーに、自動的に俺の世界はスローモーションになる。 俺は左斜め前に一歩足を進めた。 同時に左手の手首を相手の右腕に、外側から巻き付けるようにして払う。 タンクトップのせいで服をつかめないが、どのみちサイバーアームは掴みたくない。 それた奴の拳から『X-MEN』のウルヴァリンのような爪が伸びて俺の右頬を浅く切り裂く。 世界が元の速さを取り戻す。 ステップを一呼吸遅らせていたら死んでいた。 奴が叫ぶ。「格闘戦も!?」 俺は無言。相手の右膝付近に、右足で関節蹴りを叩き込む。 思ったほど崩れない、が! ほぼ同時に右手を持ち上げて奴の腹を撃ちぬ――突然の圧迫感、右手が動かなくなる。 奴の左手が俺の右手を抑えていた。 この反応速度――こいつ、反射神経も強化してやがる。 そのまま男は右手のサイバークローを俺の右手に叩き込もうと持ち上げる。 俺は迷わず、右手の指を開いた。 雪風が俺の手から自由になり地面へと落ちていく。奴は武器を離した俺の右手への攻撃優先順位を落としたのだろう、一瞬の逡巡。 俺の首元にサイバークローを叩き込むことに決めたらしい。右腕の爪を俺の首に突き刺そうとする。 その一瞬が欲しかった! 雪風を離して作った数秒で、太ももに装備してあるバックアップの銃――こちらもアンダーテイカー――を左手で抜き、相手の胴体に十連射。 撃たれた衝撃とダメージで俺の右手首を掴むサイバーアームが緩む。バックステップで距離を取った。「こいつは……銃豪《ガンスリンガー》じゃない……銃……武……」 銃武だ? 俺は私立探偵だって言っているだろうが! いや、言っていないな。すまん。 血を吐きながらモヒカンオークが膝をつく。 俺は荒い息を吐いた。 残る敵は北側の三人と、東端にいた三人。合計六人か? これなら、勝てる。マーカスの銃弾は追尾してくるが、ここは遮蔽が豊富だ。うまく撃ち合えばそのまま倒せるかもしれん。 念のため、膝をついたモヒカンオークの頭を左手の銃で撃ち抜こうとしたその瞬間――銃声が連続で響いた。 銃声をトリガーに、自動的に俺の世界はスローモーションになる。 俺は左斜め前に一歩足を進めた。 同時に左手の手首を相手の右腕に、外側から巻き付けるようにして払う。 タンクトップのせいで服をつかめないが、どのみちサイバーアームは掴みたくない。 それた奴の拳から『X-MEN』のウルヴァリンのような爪が伸びて俺の右頬を浅く切り裂く。 世界が元の速さを取り戻す。 ステップを一呼吸遅らせていたら死んでいた。 奴が叫ぶ。「格闘戦も!?」 俺は無言。相手の右膝付近に、右足で関節蹴りを叩き込む。 思ったほど崩れない、が! ほぼ同時に右手を持ち上げて奴の腹を撃ちぬ――突然の圧迫感、右手が動かなくなる。 奴の左手が俺の右手を抑えていた。 この反応速度――こいつ、反射神経も強化してやがる。 そのまま男は右手のサイバークローを俺の右手に叩き込もうと持ち上げる。 俺は迷わず、右手の指を開いた。 雪風が俺の手から自由になり地面へと落ちていく。奴は武器を離した俺の右手への攻撃優先順位を落としたのだろう、一瞬の逡巡。 俺の首元にサイバークローを叩き込むことに決めたらしい。右腕の爪を俺の首に突き刺そうとする。 その一瞬が欲しかった! 雪風を離して作った数秒で、太ももに装備してあるバックアップの銃――こちらもアンダーテイカー――を左手で抜き、相手の胴体に十連射。 撃たれた衝撃とダメージで俺の右手首を掴むサイバーアームが緩む。バックステップで距離を取った。「こいつは……銃豪《ガンスリンガー》じゃない……銃……武……」 銃武だ? 俺は私立探偵だって言っているだろうが! いや、言っていないな。すまん。 血を吐きながらモヒカンオークが膝をつく。 俺は荒い息を吐いた。 残る敵は北側の三人と、東端にいた三人。合計六人か? これなら、勝てる。マーカスの銃弾は追尾してくるが、ここは遮蔽が豊富だ。うまく撃ち合えばそのまま倒せるかもしれん。 念のため、膝をついたモヒカンオークの頭を左手の銃で撃ち抜こうとしたその瞬間――銃声が連続で響いた。 銃声をトリガーに、自動的に俺の世界はスローモーションになる。 加速された知覚力と思考力を走らせる。 銃声――撃たれていない――外した? いや……弾速が遅い? ――どこから――遠くのコンテナの壁に衝撃音。音が近づいてくる。俺のすぐ側のコンテナ壁がこちらに向け、弾丸サイズだけボコッとせり出した。 こいつはまさか? いや、止まった。 いやー危ないところだっ――衝撃音。出っ張りが吹き飛び穴が開く―― ――瞬間、俺の胸に巨大なハンマーで殴られたような衝撃が叩きつけられた。(北側班と東側から西側に移動していた班は南下して奴を挟み撃ちにしろ!) 自分の魂の片割れ、シルバーカスタムのデザートホークを腰ホルスターから慈しむように抜いた。援護射撃をするべきか? いや、今の僕は指揮者だ。最高の演奏の指揮をしている最中に自ら楽器を演奏する指揮者がいるだろうか? 奴は確実に死に向かっている。 僕の魔弾《バレットアーツ》は狙った的を外さないが――万が一、家族が奴と僕の間の射線に入った場合、フレンドリーファイアになってしまう。 僕は銃をホルスターに戻した。ここでオーケストラの最高潮を楽しむとしよう。  ホロマップを確認。南側に向かった三人が、倉庫入口を固めるよう回り込む。その調子だ。 (おい、何して――) (うおっ!) 通信越しに悲鳴が聞こえた。何だ? ……罠があったとしても、奴が三人同時に仕留めることは不可能だ。もし一人か二人やられても、最後の された二人目の頭にも銃弾をプレゼント。 残弾四。 軽く腰を落としつつ振り返る。右から来ているはずの敵の位置を確認するためにホロマップに目をやった。 瞬間、地図データがノイズと共に消失した。「雪風?」 返事が無い。後だ。 目の前に右から回り込んできていたオークが立っている。 お互いに約一メートルの距離。 白のタンクトップ、ブルーのジーンズ、モヒカンのそいつは走ってきた勢いそのままに右ストレートを俺に打ち込む。 視界いっぱいにサイバーアームが迫った。 こいつ、両手を機械化していやがる。 改造者か? ヤバい! 高速圧縮思考《アクセル・コンセントレーション》が立ち上がり、世界がスローモーションになる。 加速された知覚力と思考力を走らせる。 銃声――撃たれていない――外した? いや……弾速が遅い? ――どこから――遠くのコンテナの壁に衝撃音。音が近づいてくる。俺のすぐ側のコンテナ壁がこちらに向け、弾丸サイズだけボコッとせり出した。 こいつはまさか? いや、止まった。 いやー危ないところだっ――衝撃音。出っ張りが吹き飛び穴が開く―― ――瞬間、俺の胸に巨大なハンマーで殴られたような衝撃が叩きつけられた。左手が俺の右手を抑えていた。 この反応速度――こいつ、反射神経も強化してやがる。 そのまま男は右手のサイバークローを俺の右手に叩き込もうと持ち上げる。 俺は迷わず、右手の指を開いた。 雪風が俺の手から自由になり地面へと落ちていく。奴は武器を離した俺の右手への攻撃優先順位を落としたのだろう、一瞬の逡巡。 俺の首元にサイバークローを叩き込むことに決めたらしい。右腕の爪を俺の首に突き刺そうとする。 その一瞬が欲しかった! 雪風を離して作った数秒で、太ももに装備してあるバックアップの銃――こちらもアンダーテイカー――を左手で抜き、相手の胴体に十連射。 撃たれた衝撃とダメージで俺の右手首を掴むサイバーアームが緩む。バックステップで距離を取った。「こいつは……銃豪《ガンスリンガー》じゃない……銃……武……」 銃武だ? 俺は私立探偵だって言っているだろうが! いや、言っていないな。すまん。 血を吐きながらモヒカンオークが膝をつく。 俺は荒い息を吐いた。 残る敵は北側の三人と、東端にいた三人。合計六人か? これなら、勝てる。マーカスの銃弾は追尾してくるが、ここは遮蔽が豊富だ。うまく撃ち合えばそのまま倒せるかもしれん。 念のため、膝をついたモヒカンオークの頭を左手の銃で撃ち抜こうとしたその瞬間――銃声が連続で響いた。 銃声をトリガーに、自動的に俺の世界はスローモーションになる。 加速された知覚力と思考力を走らせる。 銃声――撃たれていない――外した? いや……弾速が遅い? ――どこから――遠くのコンテナの壁に衝撃音。音が近づいてくる。俺のすぐ側のコンテナ壁がこちらに向け、弾丸サイズだけボコッとせり出した。 こいつはまさか? いや、止まった。 いやー危ないところだっ――衝撃音。出っ張りが吹き飛び穴が開く―― ――瞬間、俺の胸に巨大なハンマーで殴られたような衝撃が叩きつけられた。背筋に落ちてきたような嫌悪感。 僕は腰の銃に手をやり奴と――一番心臓に近い場所にある金属体に――リンクを繋ぐ。 僕は苛立ちを覚えつつ長田に指示を出した。「長田! 何をしている! 撃て!」「えっ!? 光…あ、はい! し、しかし、あいつ今リロードをしてたから俺もリロードを……!」「誘われたんだ!」 あいつ――予想以上に出来る。 しかし、僕の包囲網は完璧だ。(奴に逃げ場はない! 一気に距離を詰めろ!) 僕は即座に部下たちに指示を飛ばす。 (南側班! 入口方面を固めろ! あの男が飛び出してきたら撃ち殺せ! 時間を稼げればいい! あの男を外に出すなよ!) (分かりました! ボス!)(北側班と東側から西側に移動していた班は南下して奴を挟み撃ちにしろ!) 自分の いや、もっと赤くするために。仕上げに東側から白い石を置く。あの赤い石を白に変えるために。いや、もっと赤くするために。仕上げに東側から白い石を置く。あの赤い石を白に変えるために。いや、もっと赤くするために。仕上げに東側から白い石を置く。あの赤い石を白に変えるために。いや、もっと赤くするために。仕上げに東側から白い石を置く。あの赤い石を白に変えるために。いや、もっと赤くするために。仕上げに東側から白い石を置く。あの赤い石を白に変えるために。いや、もっと赤くするために。仕上げに東側から白い石を置いていく。三方向からの色染めだ。 世界が僕の色に染まっていく。 僕が背後から見守る中、敵からの射撃にたいし、光宙が遮蔽に身を隠した。銃声が止み、マガジンが床に落ちた音が微かに響く。それに合わせ光宙もリロードを始める。敵の攻撃がない間に、こちらも無防備になり易いリロードを行う。セオリー通りだ。よろしい。 瞬間、光宙の動きが乱れる。僕は理由を知るために体を動かし通路を覗いた。 赤い影が南側に向かって駆ける。彼が僕の家族を殺した無能力者か。 目が合った。 ――いや、これは目の錯覚か? あの男はこの状況下で、不敵な笑みを浮かべてウインクを飛ばしてきたように見えた。 反射的に感じる……冷たい水が背筋に落ちてきたような嫌悪感。 僕は腰の銃に手をやり奴と――一番心臓に近い場所にある金属体に――リンクを繋ぐ。 僕は苛立ちを覚えつつ長田に指示を出した。「長田! 何をしている! 撃て!」「えっ!? 光…あ、はい! し、しかし、あいつ今リロードをしてたから俺もリロードを……!」「誘われたんだ!」 あいつ――予想以上に出来る。 しかし、僕の包囲網は完璧だ。(奴に逃げ場はない! 一気に距離を詰めろ!) 僕は即座に部下たちに指示を飛ばす。 (南側班! 入口方面を固めろ! あの男が飛び出してきたら撃ち殺せ! 時間を稼げればいい! あの男を外に出すなよ!) (分かりました! ボス!)(北側班と東側から西側に移動していた班は南下して奴を挟み撃ちにしろ!) 自分の魂の片割れ、シルバーカスタムのデザートホークを腰ホルスターから慈しむように抜いた。援護射撃をするべきか? いや、今の僕は指揮者だ。最高の演奏の指揮をしている最中に自ら楽器を演奏する指揮者がいるだろうか? 奴は確実に死に向かっている。 僕の魔弾《バレットアーツ》は狙った的を外さないが――万が一、家族が奴と僕の間の射線に入った場合、フレンドリーファイアになってしまう。 僕は銃をホルスターに戻した。ここでオーケストラの最高潮を楽しむとしよう。  ホロマップを確認。南側に向かった三人が、倉庫入口を固めるよう回り込む。その調子だ。 (おい、何して――) (うおっ!) 通信越しに悲鳴が聞こえた。何だ? ……罠があったとしても、奴が三人同時に仕留めることは不可能だ。もし一人か二人やられても、最後の一人に銃弾を叩き込まれて死ぬだろう。 銃声が何発も響き、僕のシミュレーションが正しかったことを裏付ける。倉庫に響く残響は赤いコートの彼を悼む鎮魂歌だった。知らず知らずのうちに、僕の口の端が持ち上がる。その直後のことだった。南側三人のステータスが『死亡』に変わった。思わず己の目を疑う。 馬鹿な! 何が起きている? ――それより少し前。(斎藤誠二) 倉庫南側、俺の視界に蒼い床がオーバーレイで表示されている。それは全て、凍り付いた床面だった。 やってくれたなリーナス! 助かるぜ! リーナスが凍らせた場所のデータを送ってくれていなかったら――俺も氷の床に気づかないまま、スケート靴無しでアイススケートをして死ぬ羽目になったろう。あいつ……どうやら暇潰しに死のスケートリンクをせっせと作っていたようだ。 マップを確認。俺を倉庫から出すなと命じられていたのだろう。こちらのダッシュにつられ、走ってきたオーク達のアイコンが、倉庫入口を見渡せるコンテナの陰に走りこんでいく。だがそこは、軒並み蒼く塗られていた。 肉がアスファルト、いや、

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