第10話 作戦会議
第10話 作戦会議
翌日――。
午前九時。
エストレヤ千葉トレーニングセンター。
ミーティングルーム。
選手たちはスクリーンの前に並んで座っていた。
最前列には、
材木座。
エミリオ。
戸塚。
ダニエル。
その隣には戸部も座っている。
前方にはマルコ・ベッルーニ監督。
そして、スクリーン横には比企谷八幡が立っていた。
「始める。」
監督が短く告げる。
「今日の担当は八幡だ。」
八幡はリモコンを押した。
スクリーンに福岡レガーロのフォーメーションが映し出される。
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**福岡レガーロ**
4-2-3-1
GK 村瀬
DF 右SB 佐伯
CB 田丸
CB 山岡
LSB 風間琢磨
DMF 笹倉友三
DMF 高瀬
OMF 木下
RWG 岩永
LWG 山城
FW 高木
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「特徴は一つ。」
八幡が口を開く。
「守備です。」
映像が流れる。
相手チームが中央突破を試みる。
しかし。
笹倉が立つだけでコースが消える。
横へ逃げる。
そこへ風間が一気に詰める。
ボール奪取。
そのまま速攻。
映像が止まった。
「この形を九十分繰り返します。」
選手たちは真剣な表情で見つめていた。
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八幡は画面を切り替える。
そこには二人の写真。
**風間琢磨**
**笹倉友三**
「この二人が福岡の中心です。」
ダニエルが画面を見る。
「左サイドバックか。」
「そうだ。」
八幡は頷いた。
「風間は速い。」
「一対一も強い。」
「正面から勝負しても簡単には抜けない。」
次の映像。
風間が三度連続で対人戦を制していた。
「ただし。」
映像が後半七十五分へ変わる。
風間の戻りが遅れる。
「スタミナに課題がある。」
「終盤には運動量が落ちる。」
川崎が腕を組む。
「じゃあ最初は我慢か。」
「そういうことだ。」
八幡は答えた。
「前半で無理に突破する必要はない。」
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続いて笹倉の映像。
「元日本代表。」
「海外経験あり。」
「読みで守る選手だ。」
映像では、
相手が中央へ誘導され、
三人に囲まれてボールを失う。
「自分で奪うというより。」
「奪わせる。」
エミリオが頷いた。
「賢いタイプだな。」
「そう。」
「スペースを消す能力はリーグ屈指。」
「だから中央で焦るな。」
材木座が手を挙げる。
「じゃあ俺は?」
八幡は材木座を見た。
「いつも通り。」
「背負え。」
「引き付けろ。」
「それだけでいい。」
材木座は少し笑う。
「また点はいらないのか?」
「欲しいなら取れ。」
八幡は真顔で答えた。
「でも、お前の仕事はそこじゃない。」
部屋が静かになる。
八幡は画面を切り替えた。
映像にはこれまでの得点シーン。
材木座がポストプレー。
落とす。
味方が決める。
また別の試合。
材木座が二人引き付ける。
ダニエルが空いたスペースへ入る。
シミュレーション映像だった。
「これが理想。」
「相手CBはお前を放っておけない。」
「だからダニエルが空く。」
ダニエルは小さく笑った。
「俺もそう思う。」
「昨日やって分かった。」
「材木座は相手を集める。」
「だから俺は前を向ける。」
材木座は少し照れながら頭をかいた。
「なんか褒められると変な感じだな。」
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八幡は最後のスライドを映した。
赤い文字で大きく書かれている。
**勝負は後半。**
「前半は焦るな。」
「福岡は前半が一番強い。」
「終盤。」
「風間と笹倉の運動量が落ちる。」
「その瞬間。」
赤い矢印が左サイドへ伸びる。
「ダニエル。」
「はい。」
「風間の裏を狙え。」
「分かった。」
「川崎。」
「はい。」
「内側へ入れ。」
「森川。」
「はい。」
「外を使え。」
三人が頷く。
「エミリオ。」
「任せろ。」
「テンポを変えるのはお前だ。」
「了解。」
最後に。
八幡は材木座を見る。
「お前は。」
「九十分。」
「走り続けろ。」
「相手センターバックを休ませるな。」
材木座は力強く頷いた。
「任せろ。」
マルコ監督が立ち上がる。
「以上だ。」
「戦術は決まった。」
監督は選手全員を見渡した。
「相手は堅い。」
「簡単な試合にはならない。」
「だが。」
「俺たちは勝つために準備してきた。」
「自信を持って戦え。」
選手たちが一斉に立ち上がる。
「はい!」
ミーティングルームに大きな返事が響いた。
いよいよ。
ダニエル・ロドリゲス加入後、初めての公式戦が近づいていた。