LNCrawler

第427話 戻ってきた10番

やはり俺のスカウト人生は間違っている。 — www.pixiv.net · All chapters

第427話 戻ってきた10番

エストレヤ千葉のスターティングメンバーが発表されてから、ほどなくして。

エストレヤスタジアムへ、もう一つの先発メンバーが届いた。

今日、この場所で千葉と今季最後の九十分を戦う相手。

首位・北海道フェニックスFCのスターティングメンバーだった。

スタッフルームでは、比企谷八幡がタブレットに表示されたメンバー表へ目を通していた。

GKからDF、中盤、そして前線へ。

名前を順番に確認していく中、ある一人のところで八幡の指が止まった。

「……戻ってきたか」

その呟きを聞き、近くにいた強化部長の佐藤智成が画面を覗き込む。

そこに表示されていたのは、北海道フェニックスFCの背番号10。

OMF。

神谷直人。

二十九歳。

北海道の絶対的司令塔であり、現在も日本代表へ継続して招集されている国内屈指のゲームメーカーだった。

今季途中に負傷し、長期間にわたって戦列を離れていた神谷が、最終節で先発に復帰している。

「ベンチからじゃないんだな」

「ええ。最初からです」

八幡が答えると、佐藤は改めて画面の名前を見た。

神谷が負傷離脱したあと、北海道はそれまでの勢いを失った時期があった。それでも首位から完全に転落することはなく、終盤には再び立て直して直近三連勝。

そして、勝ち点71の首位として最終節まで辿り着いた。

その最後の日に。

北海道の10番が帰ってきた。

「間に合わせてきたか」

「今日以上に戻ってきてほしい試合もないでしょうからね」

「そりゃそうだな」

今日の相手は、ほかでもないエストレヤ千葉だった。

北海道フェニックスFC、勝ち点71。

エストレヤ千葉、勝ち点71。

勝ち点は同じだが、得失点差によって北海道が首位。千葉は二位につけている。

両クラブとも、J1への自動昇格はすでに決まっていた。

だが、J2王者はまだ決まっていない。

そして、その決着をつける最終節で、首位と二位が直接ぶつかる。

北海道は引き分けでも首位を守れる。

一方の千葉は、北海道を追い越して優勝するためには勝つしかない。

まさに優勝決定戦だった。

その試合へ。

北海道は神谷直人を間に合わせてきた。

「簡単にはいかせないってことですね」

八幡が言うと、佐藤が小さく笑った。

「最初から簡単だなんて誰も思ってないけどな」

「それもそうですね」

八幡は再びタブレットへ目を落とした。

神谷だけではない。

北海道は、この一試合へ出せる戦力をほぼそのまま並べてきていた。

◇

「佐々木も当然先発ですね」

八幡が最前線へ視線を移す。

背番号9。

佐々木俊郎。

11月20日に誕生日を迎え、三十一歳になった。

北海道フェニックスFC一筋のセンターフォワードであり、日本代表としてFIFAワールドカップを経験したこともあるストライカーだった。

佐々木の怖さは、派手さではない。

ドリブルで何人も抜いていくわけでもなければ、圧倒的なスピードだけでDFを置き去りにするわけでもない。

それでもゴール前へ入れば、途端に存在感が増す。

相手DFが嫌がる場所へ何度でも入り、身体をぶつけられても簡単には止まらない。味方のシュートが弾かれれば、こぼれ球へ真っ先に反応する。クロスが入れば身体を投げ出してでも触ろうとし、DFが一瞬でも処理を誤れば、その隙を逃さない。

第16節終了時点ですでに14得点。

前半戦から得点王争いを引っ張っていた男だった。

「綺麗に崩さなくても一点を取れるのが、一番厄介なんですよね」

八幡が言うと、佐藤も頷く。

「こっちが九十分のうち八十九分ちゃんと守っても、残り一分のミスを持っていかれる」

「そういうタイプです」

しかも佐々木は、ゴール前で味方からのボールを待っているだけではない。

相手CBがボールを持てば、前線からプレッシャーをかける。コースを限定し、後ろの選手が奪いやすい場所へ追い込むことも怠らない。

攻撃の最後を担いながら、北海道の守備の最初にもなる。

その佐々木と、今日の千葉では長谷川智樹と宇津木健太が直接ぶつかることになる。

経験豊富なセンターバック二人を最終節で並べた理由の一つは、この男の存在にもあった。

◇

そして、佐々木の両脇には見慣れた二つの名前が並んでいた。

左。

背番号21、林卓也。

右。

背番号19、林達也。

ともに二十二歳。

9月28日生まれの双子であり、北海道が誇る両ウイングだった。

幼い頃から同じチームでプレーし続けてきた二人だが、サッカー選手としての特徴はまったく違う。

左の卓也は、味方を生かすことを得意としている。

第16節終了時点で3得点11アシスト。

正確なトラップと繊細なボールコントロールを持ち、左サイドで相手を引きつけてから、最も得点へ繋がる場所を選べる。

速いアーリークロスを入れることもあれば、GKとDFの間へ柔らかく落とすこともある。ニアへ低いボールを差し込むこともできるため、単純に「クロスを上げさせなければいい」という守り方では抑えられない。

八幡は以前作った資料を開いた。

「卓也は自分で決めることに固執しません。佐々木を使うし、神谷にも戻せる。逆サイドの達也まで見ています。逆に、周りへのパスを警戒されれば自分で中へ入ってくる」

中村敏三郎が資料を見ながら頷いた。

「今日、卓也の相手は毛利か」

「はい。だから毛利も、目の前の一対一だけ見ていたら危ないです。卓也が持った時は中も見ないといけません」

毛利良一が最終節で右サイドバックへ入った。

その目の前に立つのが林卓也になる。

一方、反対側。

右の林達也を主に見るのは葉山隼人だった。

達也は兄弟の卓也とは正反対で、自分からゴールへ向かう。

第16節終了時点で8得点3アシスト。

最大の武器は、一歩目から一気に最高速へ近づく爆発的な加速力だった。

サイドでボールを持てば、一対一を避けることはほとんどない。

まず縦を狙う。

相手が少しでも重心を内側へ置けば外を取り、抜いたあとはそのままゴール前へ入ってくる。

「分かりやすいと言えば分かりやすいんだけどな」

中村が呟く。

「分かっていても止められるかは別ですからね」

八幡が答える。

ただ速いだけでもない。

GKとの一対一ではニアとファーを見分け、自分へ二人が寄れば一度味方へ預ける判断もできる。そしてパスを出したあとには、もう一度ゴール前へ入り直してくる。

さらに厄介なのが、双子ならではの連係だった。

卓也は達也がどの瞬間に走り出すのかを知っている。

達也も、卓也がどの体勢なら自分へボールを届けられるのか理解している。

わざわざ声を掛け合わなくても、呼吸が合う。

「左は作って、右は仕留める」

佐藤が二人の名前を見比べた。

「その中央に佐々木。これだけでも十分面倒なのに」

「そこへ神谷が戻りました」

八幡の言葉に、スタッフルームの視線が再び背番号10へ向いた。

◇

神谷直人は左利きのOMF。

元U-23日本代表では背番号7を背負い、森川佑たちと同じ世代でプレーしていた。

現在は北海道で背番号10。

そして日本代表では背番号8。

代表で常にスターティングメンバーを任される選手ではないが、試合途中から投入され、停滞した流れを変える役割を任されることが多い。

それでも継続して代表へ呼ばれているのは、試合の中で違いを生み出せるからだった。

「一番怖いのは、神谷自身の数字じゃないんですよね」

八幡がタブレットを操作し、過去の映像を止める。

画面には神谷が中央で前を向いた場面が映っていた。

「こいつがここで前を向くと、北海道の前線全員が生きる」

左には卓也。

右には達也。

中央には佐々木。

神谷がボールを受けた瞬間、その三つが同時に選択肢になる。

左へ振れば卓也が次の決定機を作り、右へ出せば達也が一対一へ入れる。中央へ差し込めば佐々木がゴールを狙い、自分の前が空けば神谷自身が左足を振る。

さらに、短いパスだけではなく数十メートルのロングフィードもある。

北海道が千葉のプレスを受けて自陣へ押し込まれても、神谷へ一度前向きで渡れば、そこから一気に試合の景色を変えることができる。

「今日、戸塚とエミリオが一番気を使うところだな」

中村が言った。

「ですね。神谷だけ追えばいいわけでもありません。神谷へ寄りすぎれば、その背後を佐々木に使われる。横を締めすぎれば林兄弟が空く」

「帰ってきたばっかりで九十分持つかは分からないけどな」

「そこは見ないと分かりません」

長期離脱明け。

実戦感覚。

試合勘。

体力。

どこまで戻っているのかは、実際に試合が始まらなければ分からない。

しかし、北海道が先発で使ってきた以上。

ある程度の計算が立っていると考えるべきだった。

◇

そして神谷の後方には、背番号6のカサーツノがいる。

二十六歳。

右利き。

元イタリア代表で、A代表では2試合に出場している。

今季加入したばかりでありながら、すでに北海道の中盤には欠かせない。

「カサーツノがいるから神谷も前へ出やすいんですよね」

八幡が言う。

守備では危険なスペースを先回りして埋め、CBの前を守る。だが、その役割だけなら北海道がここまで大きな評価をしているわけではない。

攻撃へ切り替われば、CBからボールを引き出して前線へ繋ぐ。

相手が強く来れば横へ逃がし、無理に前進する必要がなければ後ろへ戻す。逆に縦が空けば迷わず差し込む。

いつ前へ行き。

いつ止めるのか。

その判断が安定している。

カサーツノが中盤の底にいることで、すべての組み立てを神谷一人へ任せる必要がなくなる。

今日の千葉にとっても、神谷だけを止めれば北海道の攻撃が終わるという単純な相手ではなかった。

さらに最終ラインには、背番号5のカストロ。

8月15日に二十一歳となったブラジル人CBがいる。

ブラジルでは年代別代表の常連で、将来のA代表入りまで期待されている逸材だった。

今季加入時は二十歳。

それでも、すぐに北海道の最終ラインへ定着した。

「こいつとベニテスのところも面白いな」

佐藤が言った。

今日、千葉のCFはマティアス・ベニテス。

二十四歳のアルゼンチン人ストライカー。

そして北海道側の中央には、二十一歳のカストロ。

「南米同士ですね」

「ああ。しかもカストロ、速いからな」

大型CBでありながら、カストロは背後のスペースにも強い。

対人で簡単に飛び込まず、相手のフェイントを見て対応できる。空中戦でも単純な高さだけではなく落下点を読むため、身体能力だけに頼った守備者でもない。

そして北海道がボールを持てば、自分で運ぶこともできる。

縦へ差す。

逆サイドへ飛ばす。

前が空いていれば持ち上がる。

「ベニテスが裏へ出た時、どこまでカストロを引っ張れるかですね」

八幡が言った。

「逆にカストロがベニテスを前向かせなければ、こっちはかなり苦しくなる」

最終節では、そうした個人同士の勝負も至るところで生まれることになる。

◇

そして、その北海道の最後尾に立つのが背番号1。

石原一成。

三十八歳。

北海道フェニックスFCのキャプテンだった。

「石原も当然先発」

八幡がその名前を確認する。

北海道一筋。

プロ入り以来、一度もクラブを離れていない。

日本代表でも長くプレーし、FIFAワールドカップには2大会連続で出場した。

三十八歳になった現在も正GK。

そして、北海道というクラブそのものを象徴する存在でもある。

「こっちの郷田みたいなもんだな」

中村が言う。

「立場としては近いですね。ただ今日は向こうは石原が先発で、こっちは玉縄ですけど」

石原の価値は、シュートを止める能力だけでは測れない。

相手のボールホルダーと味方DFの位置を常に見ながら、危険が起きる前に声を飛ばす。

ラインを上げるのか。

下げるのか。

誰がマークを受け渡し、誰がカバーへ入るのか。

守備陣を最後尾から動かし、危険なシュートを打たれる状況そのものを減らしていく。

「守備の監督みたいな選手ですよ」

八幡が言うと、中村も頷いた。

もちろんGKとしての基本能力も高い。

キャッチング、ポジショニング、シュートストップ、足元。

派手なスーパーセーブばかりで目立つのではなく、本来なら難しいシュートを簡単に見せてしまう。

さらに石原は、英語だけではなくポルトガル語とイタリア語も流暢に話す。

そのためブラジル人のカストロにはポルトガル語で、イタリア人のカサーツノにはイタリア語で、ピッチ上から直接細かな指示を伝えることができる。

「外国人二人が加入一年目でもここまで馴染んでる理由の一つだな」

佐藤が言う。

「間違いなくありますね。通訳を挟めない試合中に、後ろから直接修正できますから」

カストロにとっても。

カサーツノにとっても。

後ろから自分の母国語に近い環境で指示が飛んでくることは大きい。

GKとしてゴールを守るだけではなく、キャプテンとしてチームをまとめ、守備陣を統率し、外国籍選手との橋渡しまで担う。

北海道を分析する上で。

石原一成という存在を外すことはできなかった。

◇

八幡はそこで一度タブレットを机へ置いた。

前半戦で北海道と対戦した時にも、佐々木、林兄弟、神谷、カサーツノ、カストロ、石原の七人は特に警戒していた。

あれから半年近くが経つ。

年齢が変わった選手もいる。

神谷のように、大きな怪我を経験した選手もいる。

そして何より、エストレヤ千葉自身が当時とはまったく違うチームになった。

開幕から五試合勝てずに苦しんでいた頃とは違う。

夏にはダニエルやベニテスたちが加わり、戦術の幅も大きく広がった。若手も台頭し、ベテランも役割を変えながらチームを支え、試合によって形を変えることさえ珍しくなくなった。

七連勝。

勝ち点71。

前半戦で北海道を追いかけていたチームは、最終節を迎えた今、同じ勝ち点で直接その首位へ挑めるところまで来た。

「こうして改めて見ると、やっぱり強いな」

佐藤が言った。

「はい。普通に強いです」

八幡も素直に認める。

北海道が首位にいるのは偶然ではない。シーズンを通して22勝を積み上げ、神谷を欠いた期間も耐え抜いた。そのうえ直近三連勝で、最後の直接対決まで首位を守っている。

そこへ神谷まで戻ってきた。

相手としては。

これ以上なく面倒だった。

だが。

同時に。

これ以上なく分かりやすい試合でもあった。

千葉が勝てば。

北海道をその場で抜く。

引き分けなら。

得失点差で北海道が上に残る。

他会場の結果を待つ必要はない。

優勝争いの相手は。

今日。

同じピッチの反対側にいる。

◇

北海道の先発情報は、ほどなくしてスタンドにも広がっていた。

スマートフォンを見ていた千葉サポーターの一人が、隣の仲間へ画面を見せる。

「神谷、先発だって」

「マジで?」

「復帰戦でいきなり先発」

「よりによって今日かよ……」

周囲にいたサポーターも、その会話へ加わった。

「佐々木も当然いるな」

「林兄弟もいる」

「カサーツノとカストロも先発」

「石原もいるし、ほぼベストじゃん」

前半戦の対戦を覚えている者ほど、その名前が並ぶ意味を理解できた。

北海道は。

逃げ切るためだけのメンバーを組んできたわけではない。

今日。

千葉を直接倒し。

自分たちの手で優勝を決めるつもりだった。

「神谷まで戻ってくるとはな」

一人が苦笑する。

「でも逆に分かりやすいだろ」

「何が?」

「勝てばいいんだよ」

周囲が一瞬だけ静かになる。

「引き分けじゃダメ。向こうが首位のままだから。だったら最初からやること一個じゃん」

その言葉に。

別のサポーターが笑った。

「北海道倒して優勝か」

「そういうこと」

「最高じゃん」

先ほどまで少し重くなっていた空気が変わった。

北海道がどれだけ強いかは分かっている。

神谷が戻ったことも分かった。

それでも。

だからこそ。

今日この場所で。

直接倒せばいい。

エストレヤスタジアムで。

首位を。

自分たちの手で追い越す。

その機会が。

目の前にある。

◇

ロッカールームにも、当然北海道の先発メンバーは伝えられていた。

森川佑はベンチへ腰掛け、シューズの紐を結びながら、近くにいた戸塚彩加へ声をかけた。

「神谷、戻ったらしいよ」

戸塚が顔を上げる。

「先発ですか?」

「うん」

「最終節に間に合わせたんですね」

「みたいだね」

森川にとって神谷直人は、単なる今日の対戦相手ではない。

年代別代表で同じ時間を過ごした同世代だった。

かつて同じユニフォームを着ていた選手が、現在は北海道の10番を背負い、日本代表でも背番号8をつけている。

その神谷が、長い離脱を経て。

今日。

森川の目の前へ戻ってくる。

「最後に間に合わせたか」

森川は少しだけ口元を緩めた。

「嬉しそうですね」

戸塚が言う。

「まあね。同世代が怪我から戻ってきたんだから、それ自体は嬉しいよ」

そこで森川は結び終えたシューズを一度確認した。

「でも、今日だけは別」

戸塚も笑う。

「ですね」

「勝たないと優勝できないし」

それ以上の説明はいらなかった。

エミリオも、ダニエルも、マティアス・ベニテスも、それぞれの場所で準備を続けている。

今日の北海道には佐々木がいる。

林兄弟がいる。

神谷が戻った。

カサーツノも。

カストロも。

石原もいる。

だからといって。

千葉の目的は何一つ変わらない。

むしろ、より明確になっただけだった。

目の前にいる首位を倒す。

そして。

自分たちが首位になる。

◇

スタッフルームで、八幡は最後にもう一度だけ北海道の先発表へ目を通した。

佐々木を中心に、左右へ林兄弟が開く。その後方には復帰した神谷が入り、さらにカサーツノが中盤の底から全体を支える。最終ラインにはカストロがいて、その後ろには石原が立つ。

シーズン前半に対戦した時から強かった。

そして、最終節でも強い。

ならば。

その強い相手を。

今日。

ここで倒すしかない。

八幡はタブレットの画面を閉じた。

「向こうも全部出してきたな」

近くにいたマルコ・ベッルーニが、短く答える。

「ああ。当然だ」

その声には驚きも不満もなかった。

むしろ。

そうでなければ困るとでも言うような落ち着きがあった。

「勝ち点は同じ。向こうは引き分けでも上。こっちは勝つしかない」

中村が言う。

マルコは頷いた。

「分かりやすい」

八幡も小さく笑った。

「ですね」

今日、北海道の結果を待つ必要はない。

北海道の選手たちは、このエストレヤスタジアムにいる。

佐々木も。

林兄弟も。

復帰した神谷も。

カサーツノも。

カストロも。

石原も。

数時間後には。

すべて同じピッチの反対側へ立つ。

前半戦では、まだ完成していなかった千葉。

あの頃から首位を走り続けてきた北海道。

半年近い時間を経て。

二つのクラブが最後にもう一度、直接ぶつかる。

そして今度はその一試合がJ2王者を決める。

八幡は椅子から立ち上がり、タブレットを机へ置いた。

北海道の確認は、もう十分だった。

どれほど強いのかも、誰が危険なのかも前半戦から嫌というほど見てきた。

あとはピッチで答えを出すだけだった。