第17話 ホームスタジアム
第17話 ホームスタジアム
午前十時十五分。
**エストレヤスタジアム。**
ホームゲーム当日。
スタジアム周辺には、朝早くから多くのサポーターが集まっていた。
青を基調としたユニフォーム。
タオルマフラー。
フラッグ。
それぞれが今日の勝利を信じ、選手たちの到着を待っている。
「来たぞ!」
「選手バスだ!」
エストレヤ千葉のチームバスが、ゆっくりとスタジアム正面へ入ってきた。
サポーターから大きな拍手が湧き上がる。
「エストレヤ!」
「エストレヤ!」
チャントがスタジアム前に響いた。
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バスのドアが開く。
最初に降りたのは郷田京。
続いてエミリオ・アルバレス。
材木座義輝。
ダニエル・ロドリゲス。
川崎大志。
選手たちはサポーターへ軽く手を挙げながらクラブハウスへ向かう。
「ダニエル!」
「ホームデビュー頑張れ!」
ダニエルは足を止め、声のした方向を見る。
笑顔で手を振る少年がいた。
ダニエルは小さく手を挙げて応え、再び歩き出す。
その隣を歩くエミリオが笑う。
「もう人気者だな。」
「まだ何もしてない。」
「だからこそ期待されてるんだ。」
ダニエルは照れくさそうに笑った。
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クラブハウス。
ロッカールーム。
選手たちは静かに試合の準備を始める。
スパイクを履く音。
テーピングを巻く音。
誰も無駄話はしない。
材木座は静かにユニフォームへ袖を通した。
胸のエンブレムを見つめる。
「今日は勝つ。」
短く呟く。
戸部はベンチ用ビブスを手に取り、ゆっくり息を吐いた。
途中出場でも、自分の役割はある。
その気持ちは揺るがない。
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ロッカールームの扉が開く。
マルコ・ベッルーニ監督。
その後ろには比企谷八幡。
全員が立ち上がる。
監督は選手たちを見渡した。
「ホームだ。」
「サポーターは、お前たちの勝利を信じて来てくれた。」
「その期待に応えろ。」
短い言葉だった。
続いて八幡が前へ出る。
「昨日話したことを思い出してください。」
「福岡は前半が強い。」
「だから焦らない。」
「試合は九十分あります。」
八幡はダニエルを見る。
「ダニエル。」
「はい。」
「材木座が作るスペースを使え。」
「分かりました。」
次に材木座を見る。
「材木座。」
「おう。」
「相手センターバックを休ませるな。」
「任せろ。」
川崎。
エミリオ。
二人も静かに頷いた。
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監督が最後に口を開く。
「準備は終わった。」
「やることは一つ。」
「勝つ。」
選手たちは円陣を組む。
中央に立ったのはキャプテン・郷田。
全員の顔を見渡す。
「今現在勝ち点二だ。」
「ここから上へ行くには勝って勝ち点3を手に入れる。」
「ホームで流れを変えるぞ。」
全員が拳を重ねる。
「おおっ!」
大きな声がロッカールームに響いた。
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選手たちは一列になって通路へ向かう。
通路の先には、眩しいピッチ。
スタンドからはチャントが聞こえてくる。
「エストレヤ!」
「エストレヤ!」
主審から入場の合図が出た。
エストレヤ千葉の選手たちは、一歩ずつピッチへ歩みを進める。
ホームスタジアムを埋め尽くしたサポーターの歓声が、一斉に彼らを包み込んだ。
## 風間 琢磨(かざま たくま)
**所属**:福岡レガーロ
**ポジション**:LSB(左サイドバック)
**背番号**:21
**生年月日**:3月27日
**年齢**:26歳
**利き足**:左
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福岡レガーロの左サイドを支える攻守の要。
最大の武器は、相手ウイングにも引けを取らない圧倒的なスピードと、一対一で簡単には抜かれない堅実な守備力である。
相手が縦へ突破を狙えば俊足で追いつき、内側へ切り込めば冷静なポジショニングでコースを消す。派手なタックルを連発するタイプではなく、読みと駆け引きで相手を封じ込める守備を得意としている。
攻撃ではタイミングの良いオーバーラップで左サイドに厚みを生み出し、正確なクロスでチャンスを演出する。必要以上に目立とうとはせず、チーム全体のバランスを最優先に考えてプレーする献身的な選手である。
一方で、最大の課題はスタミナ。
試合終盤になるにつれて運動量が落ちやすく、攻守を繰り返す現代サッカーでは苦しい時間帯が生まれることも少なくない。そのため監督やチームメイトは、風間が最後まで力を発揮できるよう試合運びや守備の連動を工夫している。
それでも、彼がピッチに立つと守備組織は一段と安定する。
派手なゴールやアシストは少なく、試合後のスポットライトを浴びることも多くはない。しかし、チームメイトは誰もが知っている。
風間がいることで左サイドは安心して任せられることを。
また、試合中は常に周囲へ声を掛け続け、守備ラインの距離感や立ち位置を細かく修正するなど、戦術理解度も非常に高い。ベテランでも若手でも分け隔てなく声を掛け、味方を支える姿勢はチーム内で厚い信頼を集めている。
普段は物静かで、自分から前へ出る性格ではない。
インタビューでも仲間を立て、自分の活躍を語ることはほとんどない。しかしピッチでは誰よりも責任感が強く、苦しい時間帯こそ味方を鼓舞し、自ら身体を張ってチームを支える。
表舞台で称賛されることは少ない。
それでも福岡レガーロの選手やスタッフは口をそろえて言う。
**「風間がいなければ、このチームは成り立たない。」**
派手なエースではない。
キャプテンでもない。
だが、福岡レガーロというチームを陰から支え続ける、**隠れたチームの心臓**である。