第19話 堅守
第19話 堅守
前半四分。
エストレヤ千葉が自陣から丁寧につなぐ。
センターバックからエミリオへ。
エミリオは周囲を確認し、ダニエルへ縦パスを入れた。
その瞬間だった。
「来る!」
笹倉が一歩前へ出る。
ダニエルはワンタッチで材木座へ預ける。
材木座は背中でセンターバックを抑えながらボールを収めた。
しかし。
前を向く前に二人目の守備が寄せる。
材木座は無理をせず、再びエミリオへ落とした。
「ナイス!」
エミリオが声を掛ける。
ボールは再び最終ラインへ戻る。
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前半六分。
今度は右サイドから攻撃を組み立てる。
細かくパスをつなぎ、少しずつ前進する。
だが、福岡の守備は崩れない。
笹倉が中央を締める。
その周囲を味方が連動して動く。
パスコースは次々と消されていく。
分析席から見つめる八幡が静かに口を開く。
「焦るな。」
ソフィアもピッチを見つめたまま頷く。
「選手たち、ちゃんと我慢してる。」
「ああ。」
「昨日話したとおりに戦えてる。」
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前半八分。
エストレヤは左サイドへ展開する。
川崎がボールを受けた。
目の前には風間。
一瞬だけ視線が交わる。
川崎はフェイントを入れる。
風間は動かない。
もう一度仕掛ける。
風間は体勢を崩さない。
川崎は無理をせず、後方へ戻した。
風間も深追いはしない。
互いに冷静だった。
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前半十分。
福岡がボールを奪う。
笹倉から前線へパスが送られる。
高木が収めようとした。
しかし。
エストレヤ守備陣が素早く対応し、前を向かせない。
ボールは再び中盤へこぼれる。
エミリオが拾い、そのまま味方へつなぐ。
スタジアムから拍手が起こった。
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試合開始から十分。
スコアは〇―〇。
決定機はまだ生まれていない。
エストレヤは焦らずボールを動かす。
福岡は堅い守備を崩さない。
試合は八幡が予想したとおりの展開になっていた。
だからこそ。
本当の勝負は、まだこれからだった。