第21話 後半開始
第21話 後半開始
ロッカールーム。
前半を終えた選手たちが席へ座る。
誰も大きく息を乱してはいない。
しかし、九十分の半分を戦い終えた疲労は確実に積み重なっていた。
マルコ・ベッルーニ監督が前へ立つ。
「前半は悪くなかった。」
「慌てずに戦えている。」
「守備も攻撃も、狙いどおりだ。」
選手たちは静かに耳を傾ける。
監督は八幡を見る。
「八幡。」
「頼む。」
八幡は前へ出た。
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「前半のボール支配率はエストレヤが上。」
「ですが、それだけでは勝てません。」
スクリーンには前半の映像が映し出される。
川崎と風間のマッチアップ。
材木座のポストプレー。
ダニエルのシュート。
「ここまでは昨日話したとおりです。」
映像が切り替わる。
後半終了間際の風間のプレー。
「風間。」
「前半の終盤から戻りが少しずつ遅くなっています。」
川崎が画面を見つめる。
「やっぱりか。」
「はい。」
「まだ大きな変化ではありません。」
「ですが、この傾向は続きます。」
八幡は川崎を見る。
「焦らず。」
「後半も同じように揺さぶってください。」
「はい。」
続いて笹倉の映像。
「笹倉はまだ余力があります。」
「中央は無理にこじ開けないでください。」
エミリオが頷く。
「サイドを使う。」
「そのとおりです。」
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監督が最後に口を開く。
「後半も慌てるな。」
「チャンスは必ず来る。」
「その一回を逃すな。」
「はい!」
選手たちが立ち上がる。
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再びピッチへ向かう。
スタンドから大きな拍手が送られる。
「エストレヤ!」
「エストレヤ!」
チャントは前半以上の大きさになっていた。
郷田が守備陣へ声を掛ける。
「後半も集中!」
「声を切らすな!」
「はい!」
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主審が両チームの準備を確認する。
エストレヤ、交代なし。
福岡レガーロ、交代なし。
全員が所定の位置についた。
ピーッ!
後半開始のホイッスル。
福岡のキックオフで後半が始まる。
笹倉から高瀬へ。
福岡は落ち着いてボールを回し始めた。
エストレヤも前半と変わらず、無理には奪いに行かない。
互いに譲らない展開のまま、後半最初の数分が過ぎていく。
勝敗を左右する一瞬は、まだ訪れていなかった。