第25話 万条グループ
第25話 万条グループ
福岡レガーロ戦勝利の翌日。
エストレヤ千葉クラブハウス。
午前の練習を終えた選手たちが引き上げる中、グラウンドの隅では万条グループだけが居残っていた。
背番号3、**万条富隆**。
背番号2。
背番号8。
背番号13。
背番号15。
背番号16。
背番号27。
背番号28。
背番号29。
背番号30。
福岡戦。
全員がメンバー外。
ベンチ入りすらできなかった。
万条はボールを強く蹴り飛ばす。
「……ふざけんな。」
背番号13が苦笑する。
「試合に勝ったから余計に入り込む隙がねぇな。」
背番号28が芝生に座り込む。
「ベンチにも入れないんじゃアピールもできねぇ。」
背番号8が肩をすくめた。
「監督もGMも強化部長も八幡寄りだからな。」
「俺らに出番なんか回ってこねぇよ。」
万条は鼻で笑う。
「焦る必要はねぇ。」
「シーズンは始まったばかりだ。」
「一回負ければ空気は変わる。」
その言葉に全員が黙る。
万条は続けた。
「横浜マンゲールFC戦。」
「もしまた勝てば今のメンバーは固定される。」
「だから――。」
一瞬、口元を歪める。
「負けた方が面白くなる。」
誰も否定しなかった。
グラウンドには重苦しい空気だけが流れていた。
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その頃。
クラブハウス二階、分析室。
八幡は次節、**横浜マンゲールFC**の試合映像を何度も再生していた。
右SBの動き。
ボランチの立ち位置。
セットプレー。
一つひとつをノートへ書き込んでいく。
コンコン。
「失礼します。」
入ってきたのは強化部長、**佐藤智成**だった。
「もう横浜を見てるのか。」
「はい。」
八幡は映像を止めない。
佐藤は隣へ立つ。
「福岡戦のメンバー、このまま行くつもりか?」
「大きな問題がなければ。」
「変更はありません。」
即答だった。
佐藤は頷く。
「万条グループはまたベンチ外になるぞ。」
「実力で選びます。」
「それだけです。」
佐藤は笑みを浮かべた。
「そう言うと思った。」
「私も同じ考えだ。」
八幡は画面を見つめたまま言う。
「勝つためのメンバーを選ぶだけです。」
「名前も年齢も関係ありません。」
「強い選手を使います。」
分析室の窓の外では、万条グループが無言でランニングを続けていた。
同じクラブに所属しながら。
目指すものは、まったく違っていた。