第37話 後半開始
第37話 後半開始
ロッカールームの扉が開く。
エストレヤ千葉の選手たちが、再びピッチへ姿を現した。
敵地・横浜故九条スタジアム。
ホームスタンドからは、大きな拍手と声援が送られる。
「横浜! 横浜!」
「ここからだ!」
前半は押さえ込まれた横浜マンゲールFC。
それでもサポーターは、選手たちを信じて声を張り上げる。
一方、アウェーゴール裏からも力強いチャントが響いていた。
「エストレヤ!」
「エストレヤ!」
赤く染まった一角は、前半以上の熱気に包まれている。
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実況席。
「前半はエストレヤ千葉が理想的な試合運びを見せました。」
「森川選手のゴールで先制し、中盤では谷口修吾選手をほぼ完封。」
解説者も頷く。
「ええ。」
「ただ、横浜マンゲールFCがこのままで終わるとは思えません。」
「ハーフタイムで必ず修正してきます。」
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ピッチ中央。
両チームの選手が配置につく。
郷田京は最後に最終ラインを見回した。
「集中!」
「最初の十分だ!」
宇津木が右拳を上げる。
「受けるな!」
長谷川も続く。
「一歩目!」
戸塚とエミリオも互いに頷き合う。
ダニエルは谷口へ視線を向けた。
谷口もまた、ダニエルを見返している。
前半は完全に封じ込められた。
だが、その目にはまだ闘志が宿っていた。
「次はやらせてもらう。」
小さく呟く谷口。
ダニエルも笑みを浮かべる。
「来い。」
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ベンチ前。
マルコ・ベッルーニは腕を組みながらピッチを見つめる。
隣には比企谷八幡。
「変更はありません。」
比企谷が静かに言う。
「横浜も交代なしです。」
マルコは頷く。
「まずは相手の修正を見る。」
「はい。」
比企谷の視線は横浜の配置へ向く。
(前半と同じ4-2-3-1。)
(……いや。)
ほんのわずかに眉が動く。
「ダニエルさん。」
「少し下がっています。」
マルコも気付いた。
「谷口を消す位置を変えたか?」
「違います。」
比企谷は首を横に振る。
「横浜の左サイドが少し高い。」
「前半よりも幅を使うつもりです。」
マルコは静かに頷く。
「なるほど。」
「高山が試されるな。」
比企谷は短く答えた。
「はい。」
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主審が時計を確認する。
選手たちが息を整える。
そして――
**ピーーーッ!!**
後半開始。
横浜マンゲールFCがボールを動かす。
前半とは違うテンポ。
谷口は無理にボールを受けに下がらず、中盤の一列前で味方へ指示を送り続ける。
エストレヤ千葉も慌てない。
戸塚とエミリオが中央を締め、ダニエルが谷口との距離を保ちながらプレッシャーをかける。
敵地・横浜故九条スタジアム。
リードするエストレヤ千葉と、反撃を狙う横浜マンゲールFC。
後半45分の戦いが、静かに幕を開けた。