第38話 横浜の反撃
第38話 横浜の反撃
後半3分。
横浜マンゲールFCがボールを保持する時間が増え始めた。
「回せ!」
谷口修吾の声が響く。
前半とは違う。
無理に中央で受けようとはせず、一度サイドへボールを散らしながらリズムを作る。
「右!」
「戻せ!」
細かくパスをつなぎ、エストレヤ千葉の守備を揺さぶる。
しかし――。
「寄せろ!」
戸塚彩加の声が飛ぶ。
エミリオ・アルバレスが中央を締め、ダニエル・ロドリゲスが谷口との距離を保つ。
誰か一人が飛び込むのではない。
三人が連動し、中央へ入るコースを消していく。
谷口は何度も首を振った。
(……中が使えない。)
横浜は仕方なくサイドへ展開する。
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後半6分。
左サイドからクロス。
「クリア!」
宇津木健太が高い打点で跳ね返す。
セカンドボールは長谷川智樹。
さらにエミリオが回収する。
「材木座!」
前線へ大きく蹴り出す。
材木座義輝が体を張って時間を作る。
森川佑がサポートへ入り、エストレヤ千葉は自陣を押し上げることに成功した。
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ベンチ前。
マルコ・ベッルーニは静かに腕を組んでいた。
「予想どおりだな。」
比企谷八幡が頷く。
「はい。」
「横浜は中央を諦め、サイド攻撃の回数を増やしています。」
マルコはピッチへ目を向けたまま尋ねる。
「高山はどうだ?」
比企谷は即答する。
「落ち着いています。」
「クロス対応もポジショニングも問題ありません。」
マルコは小さく笑う。
「葉山が安心して見ていられるな。」
ベンチで試合を見守る葉山隼人も、高山のプレーに静かに頷いていた。
「その調子だ……。」
思わず小さく呟く。
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後半10分。
再び横浜。
谷口がようやく前を向く。
「今だ!」
縦パスを狙う。
しかし、その瞬間だった。
ダニエルが一歩先にコースへ入る。
ボールはダニエルの足に当たり、勢いを失う。
そこへ戸塚が素早く回収。
「ナイス!」
エミリオが声を上げる。
谷口は悔しそうに息を吐いた。
(またか……。)
後半に入りボール保持率は上がった。
だが、決定的な仕事は依然としてさせてもらえない。
エストレヤ千葉の中盤は、集中を切らしていなかった。
試合時間は後半10分。
スコアは依然として――
**横浜マンゲールFC 0―1 エストレヤ千葉。**
敵地での戦いは、少しずつ緊張感を増していく。