第41話 勝負を決める一撃
第41話 勝負を決める一撃
後半40分。
**横浜マンゲールFC 0-2 エストレヤ千葉**
残り時間は、あとわずか。
横浜マンゲールFCは最後の力を振り絞り、前線へ人数をかける。
「前へ!」
「1点返すぞ!」
しかし、エストレヤ千葉の守備陣は最後まで集中を切らさない。
宇津木健太が跳ね返し、
長谷川智樹がカバーし、
郷田京が最後尾から的確に指示を飛ばす。
そして、中盤では戸塚彩加とエミリオ・アルバレスがセカンドボールを拾い続けていた。
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後半41分。
エストレヤ千葉がカウンターを仕掛ける。
エミリオがボールを奪う。
「戸塚!」
戸塚がワンタッチで前へ。
ダニエル・ロドリゲスが受ける。
反転。
中央をドリブルで持ち上がる。
材木座義輝が裏へ抜け出す動きを見せ、横浜のセンターバック二人を引きつけた。
その空いたスペースへ、ダニエルが持ち込む。
「止めろ!」
横浜のDFが飛び込む。
ペナルティーエリア手前。
ダニエルの足に引っ掛かる。
**ピーーーッ!!**
主審の笛。
エストレヤ千葉に絶好の位置でフリーキックが与えられた。
ゴールまで約22メートル。
やや右寄り。
右足でも左足でも狙える位置だった。
スタンドがどよめく。
「危ない位置だ……。」
「直接狙えるぞ。」
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そのタイミングで第四審判がボードを掲げた。
**交代**
**OUT ダニエル・ロドリゲス(14)**
**IN 戸部翔(20)**
実況が驚く。
「ここで戸部翔を投入です!」
解説者もすぐに意図を理解した。
「これはフリーキックを意識した交代かもしれません。」
「戸部選手はキック精度が高いですからね。」
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戸部はピッチへ入ると、そのままボールを手に取った。
材木座が近づく。
「蹴るか?」
戸部は短く答える。
「はい。」
森川も頷いた。
「任せた。」
郷田が自陣ゴール前から叫ぶ。
「落ち着いていけ!」
戸部はボールを静かにセットした。
壁は五枚。
GKは左へ一歩寄る。
主審が壁との距離を確認する。
静まり返る横浜故九条スタジアム。
アウェーゴール裏だけが歌い続けていた。
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比企谷八幡はベンチ前で静かに見つめる。
マルコが小さく言った。
「戸部なら届く。」
比企谷は短く頷く。
「はい。」
「この位置は練習でも一番得意です。」
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主審が笛を吹く。
**ピーッ!**
戸部がゆっくりと助走を始める。
右足を振り抜く。
ボールは壁の外側ではない。
壁の上を越えていく。
鋭く回転しながら落ちる。
GKが飛ぶ。
右手を伸ばす。
しかし――。
届かない。
**ズバァァァン!!**
ゴール右上へ突き刺さった。
横浜故九条スタジアムが一瞬静まり返る。
そして次の瞬間。
「よっしゃぁぁぁぁ!!」
アウェーゴール裏が爆発した。
実況も絶叫する。
「決まったぁーーー!!」
「戸部翔! 投入直後のファーストプレー!」
「見事な直接フリーキックです!」
スコアボードが書き換えられる。
**後半42分**
**横浜マンゲールFC 0-3 エストレヤ千葉**
**得点 戸部翔(直接フリーキック)**
戸部は右拳を握り締める。
そこへ森川、材木座、戸塚、エミリオ、そしてチームメイトたちが駆け寄った。
「最高だ!」
「ナイスキック!」
ベンチでは葉山隼人も立ち上がって拍手を送る。
マルコ・ベッルーニは満足そうに頷いた。
その隣で比企谷八幡も静かにスコアボードを見つめる。
残り時間はあとわずか。
敵地・横浜故九条スタジアムで、エストレヤ千葉は勝利を決定づける三点目を手にした。