第42話 敵地での完勝
第42話 敵地での完勝
後半43分。
**横浜マンゲールFC 0-3 エストレヤ千葉**
戸部翔の直接フリーキックで試合は大きく動いた。
横浜故九条スタジアムは静まり返り、アウェーゴール裏だけが歓喜に包まれている。
「エストレヤ!」
「エストレヤ!」
赤いサポーターの歌声が、敵地に力強く響いた。
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試合は残りわずか。
横浜マンゲールFCは最後まで攻撃の姿勢を崩さなかった。
谷口修吾が中央でボールを要求する。
「まだ終わってない!」
味方を鼓舞し、前へ出る。
しかし、エストレヤ千葉の集中は最後まで切れない。
戸塚彩加がコースを限定し、エミリオ・アルバレスが中央を締める。
ダニエルとの交代で入った戸部翔も、前線から献身的にプレスを掛けた。
「後ろ!」
郷田京の声が飛ぶ。
宇津木健太が跳ね返し、長谷川智樹がセカンドボールを処理する。
高山俊樹も左サイドで最後まで冷静な対応を続けていた。
葉山隼人の穴を感じさせない九十分だった。
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後半アディショナルタイム3分。
横浜の最後のロングボール。
ゴール前へ放り込まれる。
「郷田!」
宇津木が競り勝ち、ボールは郷田の正面へ。
郷田は落ち着いてキャッチすると、時計を一度確認した。
そして前線へ大きく蹴り出す。
その直後――
**ピーーーーーッ!!**
試合終了の笛が横浜故九条スタジアムに響き渡った。
エストレヤ千葉の選手たちは一斉に拳を握る。
「よし!」
「ナイスゲーム!」
「連勝だ!」
戸塚とエミリオが固く握手を交わし、森川は材木座と肩を組む。
戸部にはチームメイトが次々と駆け寄り、投入直後の直接フリーキックを称えた。
最後尾では郷田が宇津木、長谷川、高山と一人ずつハイタッチを交わしていく。
「無失点、最高だ。」
「はい!」
高山の表情にも安堵の色が浮かんでいた。
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ベンチ前。
マルコ・ベッルーニは選手たちを迎える。
「素晴らしい試合だった。」
「全員で勝ち取った勝利だ。」
比企谷八幡も静かに選手たちを迎え、一人ひとりと言葉を交わす。
「高山さん。」
「九十分、お疲れさまでした。」
高山は笑顔で頭を下げる。
「ありがとうございます。」
「葉山さんの代わりは務められましたか?」
比企谷は首を横に振った。
「違います。」
高山は少し驚く。
「え?」
「今日は、高山俊樹として十分なプレーでした。」
「それでいいんです。」
高山は照れくさそうに笑った。
「……ありがとうございます。」
少し離れた場所では葉山もそのやり取りを見て、満足そうに頷いていた。
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一方、横浜マンゲールFCの選手たちは悔しそうな表情で引き揚げていく。
谷口修吾は比企谷の前で足を止めた。
「見事だった。」
比企谷も一礼する。
「ありがとうございます。」
谷口は小さく笑う。
「今日は完全にやられたよ。」
「中盤で自由を与えてもらえなかった。」
比企谷は静かに答えた。
「谷口選手だからこそ、チーム全体で対応しました。」
谷口は苦笑しながら頷いた。
「また次は負けない。」
そう言い残し、チームメイトのもとへ歩いていった。
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電光掲示板には試合結果が表示されている。
**J2リーグ 第7節**
**横浜マンゲールFC 0-3 エストレヤ千葉**
**得点**
* 前半4分 森川佑
* 後半26分 材木座義輝(アシスト:森川佑)
* 後半42分 戸部翔(直接フリーキック)
敵地・横浜故九条スタジアムでつかんだ完封勝利。
エストレヤ千葉は連勝を飾り、大きな自信と勝ち点3を手にして横浜を後にするのだった。