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第376話 最後まで崩れない

やはり俺のスカウト人生は間違っている。 — www.pixiv.net · All chapters

第376話 最後まで崩れない

後半39分。

スコアは1対0。

残された時間が少なくなっていくのと反比例するように、富山ベイウインズの攻撃はさらに前掛かりになっていた。

万条が下がってボールを受け、ライアックが中央へ寄る。風祭と高井の両ウイングバックも、前半とは比べものにならないほど高い位置まで押し上がっていた。

チョウまで前へ出る回数を増やしている。

追いつくためには、出ていくしかない。

「右!」

チョウが高井へ展開する。

高井が右サイドで受けた。

正面には葉山。

すでにイエローカードを一枚受けている高井は、先ほどまでのように強引に身体をぶつけることはできない。

それでも時間はない。

迷わず縦へ仕掛けた。

葉山も下がりながらついていく。

高井が右足でクロスを上げる。

「中央!」

郡司と橋本が競った。

先に触ったのは橋本。

だが、完全には弾き切れない。

ボールがペナルティエリアの外へこぼれる。

そこへ万条が入ってきた。

「万条!」

戸塚が飛び出す。

万条が右足を振りかぶった。

戸塚も身体を寄せる。

しかし――シュートではない。

万条は右足のインサイドで横へ転がした。

待っていたのはライアック。

得意の左足。

ダイレクト。

バンッ!!

「坂本!」

坂本が身体を投げ出した。

シュートが脚へ当たり、ボールが大きく跳ねる。

「ナイス!!」

「よく止めた!!」

千葉サポーターから大きな拍手が起こった。

だが、富山の攻撃は終わらない。

風祭がセカンドボールへ走り、毛利も寄せる。

風祭は左足で収めて前へ行こうとするが、毛利が離れない。

一度止まった。

後ろへ戻そうとする。

「前だろ!」

万条の苛立った声が飛んだ。

風祭が一瞬だけ振り返る。

「時間ねえんだから前入れろ!」

「……はい」

風祭は言い返さなかった。

すぐに身体の向きを変え、左足で中央へクロスを入れる。

だが今度は玉縄が前へ出た。

「俺!」

ガシッ!!

両手でしっかりと掴む。

「よし!」

玉縄はボールを胸に抱えたまま、すぐには立ち上がらなかった。

数秒。

ほんの数秒でもいい。

確実に時計を進める。

「早くしろよ!」

富山側から声が飛ぶ。

だが玉縄は気にしない。

主審から促されるより前に立ち上がると、ゆっくりと前を見た。

◇

後半40分。

ベンチでマルコが時計を確認した。

「動くぞ」

スタッフがすぐに反応する。

ピッチ脇へ向かったのは二人。

背番号5。

宇津木健太。

そして、背番号17。

佐久間浩二。

「宇津木は橋本と交代。そのままセンターバックだ」

「はい」

「佐久間は川崎と交代。右もそのまま」

「了解」

佐久間は短く答えた。

37歳。

長くプロの世界で戦い続けてきたベテランだ。

この時間帯に自分へ何が求められているのか、細かく説明されるまでもなく理解している。

フォーメーションは変えない。

4-2-3-1。

宇津木が橋本に代わって坂本とセンターバックを組み、佐久間は川崎に代わって右サイドハーフへ入る。

守備一辺倒の形へ変えるわけではない。

今までの配置を保ったまま、経験豊富な二人を投入して最後の時間を戦う。

「宇津木」

マルコが声をかけた。

「ラインを下げすぎるな」

「はい」

「郡司に引っ張られすぎないこと」

「分かってます」

続いて佐久間へ向く。

「右で時間を作ってくれ。ただし、下がりすぎるな」

「ああ。前にも出口は残しておく」

マルコが頷く。

一点を守る。

だからといって、全員が自陣へ下がればいいわけではない。

そんなことをすれば、万条やライアック、郡司といった富山の危険な選手たちが、千葉のゴールに近い位置でプレーする時間を増やすだけだ。

「押し返す時間も必要です」

八幡が言った。

「ああ」

マルコも頷く。

「そのための佐久間でもある」

「任せとけ」

佐久間は落ち着いた声で答え、再びピッチへ視線を戻した。

◇

後半41分。

交代を知らせるボードが上がった。

『エストレヤ千葉、選手交代』

まずは背番号35。

橋本翔。

19歳の若きセンターバックがピッチを離れる。

「橋本ぉぉぉぉぉ!!」

「よくやったぞ!!」

スタンドから大きな拍手が送られた。

元日本代表の郡司。

自由に動き回る万条。

左足から攻撃を作るライアック。

難しい相手を前にしながら、橋本はここまで失点を許さなかった。

タッチライン際まで戻ってきた橋本が、宇津木と手を合わせる。

「宇津木さん、お願いします」

「ああ。よくやった」

宇津木は橋本の肩を軽く叩き、そのままセンターバックの位置へ走っていった。

続いて背番号19。

川崎大志。

「川崎ぃぃぃぃ!!」

川崎も大きな拍手を浴びながらタッチラインへ向かう。

そこで待っていたのは佐久間だった。

「佐久間さん、お願いします!」

「ああ。ここまでよく走ったな。あとは任せろ」

「はい!」

川崎は両手で佐久間とタッチを交わした。

「お願いします!」

「おう」

佐久間は落ち着いた表情のままピッチへ入る。

そのまま右サイドハーフへ。

配置は変わらない。

マティアス

森川     ダニエル     佐久間

戸塚     エミリオ

葉山    坂本     宇津木    毛利

玉縄

ここから残り時間を締める。

◇

後半42分。

富山。

中央でチョウがボールを持つ。

前には万条。

今度は左寄りまで移動しており、その近くにはライアックもいる。

チョウから万条。

佐久間が内側まで戻りながらコースを消す。

万条はワンタッチでライアックへ。

ライアックも左足でワンタッチ。

再び万条。

細かい。

「行かせるな!」

宇津木の声が飛ぶ。

戸塚も戻った。

万条が中央へ切り込もうとする。

だが佐久間と戸塚が二人でコースを消した。

「……チッ」

万条は仕方なく左へ逃がす。

風祭。

左足で受けた。

正面には毛利。

縦へ行こうとするが、速さでは毛利に分がある。

簡単には抜けない。

風祭は止まり、左足でボールを隠した。

いつもなら、それでいい。

時間を作ることにも意味がある。

だが今は、その時間すら惜しい。

「早く上げろ!」

富山側から声が飛ぶ。

風祭が左足でクロスを入れた。

中央で郡司が動く。

宇津木が見る。

坂本もカバーに入っている。

郡司が一度前へ出た。

宇津木も一歩動く。

しかし次の瞬間。

郡司だけが止まった。

「……!」

宇津木の背後ではない。

その手前。

わずかに生まれた空間へ、郡司がもう一度入り直した。

やはり独特だった。

普通なら前へ入り続ける場面で、一度止まる。

守備側の重心がずれた瞬間に、もう一度入ってくる。

郡司。

左足。

バンッ!!

低いシュートがゴール左へ飛んだ。

「っ!!」

玉縄が横へ飛ぶ。

バシッ!!

伸ばした左手がボールに触れた。

そのままゴールラインの外へ。

一瞬の静寂。

そして。

「玉縄ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

エストレヤスタジアムが揺れた。

玉縄は地面を叩いて立ち上がる。

「まだだ!!」

叫んだ。

郡司はゴールを見たまま、小さく息を吐いた。

今日、何度目か。

また玉縄に止められた。

◇

後半43分。

富山のコーナーキック。

ライアックがボールを置く。

時間はない。

センターバックまで前へ上がってきた。

チョウもゴール前へ入る。

富山が人数をかける。

「集中!」

「一人ずつ確認!」

宇津木と玉縄から声が飛んだ。

ライアックが助走を取り、左足でニアへ速いボールを送る。

郡司が動く。

宇津木が競った。

触った。

ボールが後ろへ流れる。

その先。

万条。

「万条!」

ペナルティエリア内。

右足を振り抜く。

バンッ!!

だが、その前へ戸塚が身体を投げ出した。

ドンッ!

ボールは戸塚に当たり、高く上がる。

「クリア!」

坂本が頭で外へ弾いた。

そのボールを佐久間が拾う。

前を見る。

「森川!」

縦へ。

森川へ渡った。

千葉のカウンター。

富山は後ろが少ない。

「行けええええええ!!」

スタンドが沸く。

森川が前へ運ぶ。

右には佐久間。

中央にはマティアス。

しかし森川は、無理にゴールへ一直線には進まなかった。

タッチライン側へ運ぶ。

相手を引きつける。

「佑! 無理しなくていい! 時間使え!」

後ろから佐久間の声が飛んだ。

「はい!」

森川も意図を理解した。

コーナーフラッグ付近へ運ぶ。

富山の選手が寄せる。

森川は身体を入れた。

簡単には奪わせない。

数秒。

時計が進む。

「早く出せよ!」

富山の選手が強く身体を当ててくる。

それでも森川は倒れない。

最後は相手の足へボールを当てた。

タッチラインの外。

千葉のスローイン。

「うまい!」

「そのまま!」

ホームスタンドから拍手が起こる。

佐久間も森川へ親指を立てた。

「それでいい」

森川が頷く。

残り時間が減るほど、富山の焦りは強くなっていった。

◇

後半44分。

葉山のスローインから森川へ。

近くには戸塚。

佐久間も右から中央寄りの位置まで戻ってきている。

森川から戸塚。

戸塚からエミリオ。

富山が前から来る。

万条。

チョウ。

ライアック。

全員が奪いに来る。

エミリオが右へ展開した。

佐久間。

高井がすぐに寄せる。

それでも佐久間は慌てない。

背中で高井の位置を感じながら、しっかりと身体を入れた。

「慌てんな!」

周囲へ声を飛ばし、一度後ろの毛利へ戻す。

毛利から戸塚。

「いいぞ!」

千葉は急がない。

ボールを動かす。

富山は奪いたい。

だが、前へ出れば必ずその背後が空く。

チョウまで前へ出た瞬間だった。

戸塚が縦へ入れる。

ダニエル。

前向きで受けた。

スタンドの空気が一気に変わる。

「行け!」

富山の3バックが下がる。

右には佐久間。

左には森川。

中央にはマティアス。

ダニエルが一瞬だけ前を見る。

しかし無理には行かなかった。

右の佐久間へ。

佐久間が受ける。

高井はイエローカードを持っている。

強く身体を当てに行くことができない。

佐久間は無理に仕掛けず、ボールを身体の外側へ置いた。

「来るなら来い」

高井が寄る。

佐久間は一度だけ前へ運び、再びエミリオへ戻した。

また時計が進む。

「いい!」

マルコも拍手した。

相手が苛立っている。

ならば、こちらまで試合を荒らす必要はない。

◇

第四審判がボードを掲げた。

アディショナルタイム。

**4分。**

「4分!」

「集中しろぉぉぉ!!」

千葉サポーターがさらに声を上げる。

富山サポーターも負けてはいない。

「まだあるぞ!」

「一点!」

両チームが最後の力を振り絞る。

◇

90+1分。

富山の最終ラインから長いボールが入った。

郡司と宇津木が競る。

宇津木が頭で触った。

セカンドボール。

万条が胸で落とす。

佐久間が内側へ絞って寄せた。

万条は強引に前へ運ぼうとする。

佐久間が身体を入れる。

「簡単には行かせねえよ」

万条が足を出す。

ボールがこぼれた。

チョウが拾う。

すぐにライアック。

ライアックから左の風祭へ。

今度の風祭は迷わない。

すぐにクロスを入れた。

中央。

郡司。

宇津木。

坂本。

さらに、その三人の後ろから高井まで入ってきた。

「高井!」

葉山がついていく。

ボールはファーへ。

高井が頭で合わせた。

しかし――ゴールの上。

「うわああああ!」

アウェイスタンドのサポーターが頭を抱えた。

高井も悔しそうに歯を食いしばる。

そして、また時間が減った。

◇

90+2分。

玉縄のゴールキック。

ゆっくりボールを置く。

主審が時計を見る。

玉縄もそれを確認してから蹴った。

前線でマティアスが競る。

富山が拾う。

また攻撃。

中央の万条。

「くそっ!」

明らかに苛立っている。

右足から強い縦パス。

郡司が受けようとする。

だが少し強すぎた。

トラップが流れる。

坂本が先に触った。

「ナイス!」

そのままタッチラインの外へ。

富山のスローイン。

万条が自分のミスに舌打ちする。

前節。

北海道フェニックスFC戦。

思うようにいかない展開の中で苛立ち、プレーが荒れた。

今日も一時は、同じ空気へ入りかけた。

そして、その苛立ちは最後の最後まで完全には消えていない。

◇

90+3分。

富山。

高井のスローインから万条へ。

万条はすぐ中央のライアックへ預ける。

ライアックが左足で郡司へ。

宇津木が寄せる。

郡司は背負いながら落とした。

チョウ。

ここまで前へ出ている。

右足。

ミドル。

バンッ!!

戸塚がコースへ入った。

ボールが身体に当たり、外へ。

また富山のコーナーキック。

「あと少し!!」

玉縄が叫ぶ。

「坂本! 宇津木!」

「はい!」

「分かってる!」

千葉の選手たちが全員戻る。

富山もGK以外、ほとんどの選手が千葉陣内へ入った。

ライアックがボールを置く。

左足。

これが最後になるかもしれない。

コーナーキック。

高いボールが中央へ上がった。

宇津木が跳ぶ。

富山のCBも競る。

ボールがこぼれた。

ペナルティエリア内。

「危ない!」

混戦。

誰かの足に当たり、ボールが転がる。

郡司。

そこにいる。

左足を振る。

「打たせるな!!」

坂本が身体を入れた。

シュートは坂本に当たって跳ね返る。

万条が拾った。

「万条!!」

万条が右足を振る。

宇津木が飛び出す。

バンッ!!

シュートが宇津木の身体に当たった。

ボールが高く上がる。

玉縄が前へ出る。

「俺ぇ!!」

両手を伸ばした。

ガシッ!!

掴んだ。

そのまま地面へ倒れ込む。

「うおおおおおおおおお!!」

スタジアムが揺れた。

時計は90+4分。

玉縄はボールを胸に抱えたまま、数秒動かない。

主審が腕時計を見る。

やがて玉縄が立ち上がる。

そして――。

ピッ。

ピィィィィィィィィィィッ!!

一度。

二度。

三度。

長い笛が響いた。

試合終了。

◇

**エストレヤ千葉 1-0 富山ベイウインズ。**

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

エストレヤスタジアムが、この日一番の歓声に包まれた。

坂本が大きく拳を握る。

「よっしゃあ!!」

宇津木も両手を叩きながら、坂本の背中を叩いた。

「よく耐えたな!」

「ありがとうございます!」

戸塚とエミリオも互いに手を合わせる。

葉山。

毛利。

森川。

佐久間。

次々と近くの選手たちとハイタッチを交わした。

「佐久間さん、ナイスです!」

ベンチから川崎が声をかける。

佐久間はそちらを向き、片手を上げた。

「お前もよく走った。前半からあれだけやってくれりゃ、最後は楽になる」

「ありがとうございます!」

そして。

玉縄。

最後までゴールを守り抜いたGKのもとへ、坂本と宇津木が駆け寄った。

「玉縄!」

「ナイスです!」

「二人もだ!」

玉縄が二人の背中を叩く。

前半から後半41分まで。

19歳の橋本翔。

そして坂本湊。

二人の若いセンターバックが、富山の攻撃を耐え続けた。

最後の時間には、橋本に代わって入った宇津木健太がその役割を引き継ぐ。

坂本とのコンビで。

最後までゴールを許さなかった。

◇

そして、この試合を決めたのは――。

後半6分。

ダニエル・ロドリゲス。

富山が前半から警戒し、後半にはさらにマークを強めた選手だった。

そのダニエルがチョウを個人技で外し、さらに一人をかわし、最後は右足でゴール左隅へ突き刺した。

戦術だけではない。

分析だけでもない。

最後に試合を動かしたのは。

個の力。

その一点を。

千葉は全員で守り抜いた。

◇

一方。

富山の選手たちは、すぐには動けなかった。

高井は両手を腰へ置き、悔しそうにピッチを見つめている。

風祭は息を整えながら俯いた。

ライアックは無言。

郡司はスコアボードを見つめていた。

そして。

万条。

「……」

何も言わない。

前半に見せていた楽しそうな表情は、もうどこにもなかった。

一点。

たった一点。

それを最後まで返せなかった。

「クソ……」

小さく吐き捨てる。

前節の北海道フェニックスFC戦。

5連勝を止められた。

そして今節。

エストレヤ千葉戦。

再び敗戦。

思うようにいかない時間が続き、苛立ち、接触が増え、試合も一時は荒れかけた。

それでも最後まで。

千葉のゴールを破ることはできなかった。

◇

ベンチ脇。

マルコが大きく息を吐く。

「……よし」

その横で八幡もスコアボードを見た。

**1-0。**

「疲れる試合だな……」

小さく呟く。

分析した。

富山の特徴を。

前半でさらに確認し、後半には修正した。

それでも何度も危険な場面を作られた。

「強かったな」

マルコが言う。

「ですね」

八幡も否定しなかった。

「普通に強かったです」

だからこそ、この勝利には意味がある。

3位。

富山ベイウインズ。

直接のライバルから、勝ち点3を奪った。

これでエストレヤ千葉の勝ち点は――。

**60。**

富山は勝ち点55のまま。

直接対決を制したことで、その差は5ポイントへ広がった。

残り5試合。

まだ終わったわけではない。

優勝が決まったわけでもない。

それでも。

大きい。

あまりにも大きい。

勝ち点3だった。

◇

スタンドでは、サポーターたちが立ち上がっていた。

「勝ったぁぁぁ!!」

「よく守った!」

「ダニエル最高!」

「玉縄もすげえ!」

「橋本もよかったぞ!」

「宇津木、最後締めたな!」

「坂本もナイス!」

歓声。

拍手。

歌。

そのすべてがスタジアムを包み込む。

シーズン序盤。

エストレヤ千葉は最下位だった。

5試合を終えて。

0勝2分3敗。

勝ち点2。

そのチームが。

今。

勝ち点60。

優勝争いの中にいる。

◇

八幡はピッチを見つめた。

ダニエル。

森川。

戸塚。

坂本。

宇津木。

玉縄。

そして、すでにベンチへ戻っている橋本と川崎。

全員で掴んだ一勝だった。

その向こうには、富山の選手たちがいる。

そして。

万条。

夏まで、このクラブにいた男。

今日は相手として、最後まで千葉を苦しめた。

それでも。

勝ったのは。

エストレヤ千葉。

「……残り5つ」

八幡が呟いた。

まだ終わらない。

むしろ、ここからだ。

一試合、一試合。

残りが少なくなるほど、その重みは増していく。

勝ち点60 エストレヤ千葉。

優勝争い。

その最後の5試合へ、大きな一勝を手に千葉は踏み込んだ。