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第7話 サポーターの声

やはり俺のスカウト人生は間違っている。 — www.pixiv.net · All chapters

第7話 サポーターの声

その日の夜。

午後十時三十分。

エストレヤ千葉トレーニングセンター。

分析室。

当然のように明かりは点いていた。

八幡はダニエルのプレー映像を止めると、一息つく。

コーヒーを口に運び、何気なくブラウザを開いた。

開いたのは、エストレヤ千葉サポーターが集まるネット掲示板だった。

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【エストレヤ千葉 Part427】

**1**

「補強まだ?」

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**6**

「もうフロント動いてるって話あるぞ。」

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**12**

「スペイン人獲るって噂。」

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**19**

「また飛ばし記事だろ。」

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**27**

「J2に23歳のスペイン人なんか来るか?」

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**35**

「エミリオも最初はそう言われてたな。」

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**44**

「そういえばエミリオ当てたの比企谷だった。」

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**51**

「比企谷案件なら少し期待してる。」

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**63**

「でも今は最下位だぞ。」

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**72**

「補強一人で変わるほど甘くない。」

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**85**

「材木座を外せ。」

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**91**

「いや外した試合の方が点取れてない。」

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**98**

「数字見ろ。」

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**105**

「材木座いる時の方が攻撃は機能してる。」

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**118**

「でもFWなんだから点取ってくれ。」

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**131**

「戸部はもっと走れ。」

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**142**

「エミリオだけJ1レベル。」

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**156**

「戸塚はようやっとる。」

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**169**

「森川も悪くない。」

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**181**

「問題は決定力。」

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**194**

「今年も残留争いかな……。」

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**207**

「いや。」

「まだ五試合。」

「ここからだ。」

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八幡は静かにスクロールを止めた。

批判だけではない。

期待する声もある。

信じようとしているサポーターもいる。

「……。」

画面を閉じようとした時、新しい書き込みが表示された。

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**221**

「比企谷って、海外担当になってから外れ補強ほとんどなくね?」

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**229**

「エミリオ。」

「郷田。」

「あとは若手も結構当ててる。」

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**238**

「だったら今回も信じる。」

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**246**

「正式発表だけ早くしてくれ。」

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八幡は小さく息を吐いた。

「期待されるのも仕事か。」

その時だった。

コンコン。

「失礼します。」

分析室へ入ってきたのは、強化部長の佐藤だった。

「まだ仕事してたのか。」

「はい。」

佐藤はコーヒーを片手に笑う。

「掲示板か?」

「少しだけ。」

「どうだった?」

八幡はパソコンを閉じる。

「思っていたより冷静でした。」

「批判もあります。」

「でも、それ以上に期待している人もいました。」

佐藤は頷く。

「サポーターは勝ちたいだけだからな。」

「はい。」

「勝てば全部ひっくり返る。」

八幡は静かに答えた。

「その一勝を持ってくるために、ダニエルを獲ります。」

佐藤は少し笑う。

「やっぱり言い切るな。」

「言い切ります。」

「彼は、このクラブを変えられます。」

分析室には再び静寂が戻る。

モニターには、スペインでプレーするダニエル・ロドリゲスの映像が映し出されていた。

その来日まで、あと二日。

エストレヤ千葉の未来は、静かに動き始めていた。