親子の交流
親子の交流
北のダンジョンから戻ってきた。
なぜ、俺はあそこで歌う事になったのだろう?
歌には自信がないのに……
いや、自信があっても一身に注目を集めた状態で歌うのって厳しい。
ともかく、日帰りでよかった。
精神的に。
子猫たちに癒してもらおう。
ははは。
わかってる、子猫たちの前にクロだよな。
わしゃわしゃ。
煮たカボチャを食べる。
ふむ……
煮たカボチャを持ってきたルーに肘で 突 ( つつ ) かれた。
おっと、いかん。
「凄く美味いな、このカボチャ」
俺の言葉に隠れていたウルザとナートが出てきて喜ぶ。
二人が作ったらしい。
頑張ったなと褒めてやる。
しかし、皮がまだまだ硬い。
でもって、何か香草を一緒に煮たな。
香りが凄いことになっているぞ。
これを他の村人に食べさせる前に、二人が傷付かないように伝えるにはどう言うべきか。
難しい問題だ。
「次は誰に食べさせるんだ?」
「えーっとね、お父さん」
ナートのお父さんってことは、ガットか。
うん、難しい問題はガットに任せよう。
しかし、不用意な一言で家庭が崩壊する可能性があるからな。
さすがにそれは避けたい。
「食べさせる前に、自分達が作ったってしっかり言うんだぞ」
俺の言葉に、わかったと元気に答え、二人が出て行く。
寒いのに元気なことだ。
「外に出る前に厚着するのを忘れるなよ!」
煮たカボチャの犠牲……試食者は俺を含めて六人になった。
本当に難しい問題だったようだ。
「あれはルーが教えたのか?」
「自分達で見て覚えたらしいわ」
自分が教えていたら、もう少しマシだったと胸を張っている。
「そうか。
お前は食べなかったのか?」
「残念ながら」
そのルーの笑顔で俺は察した。
俺を最初の犠牲者に指定したのはルーだったか。
それに比べ、全て食べ尽くして犠牲者……ではなく、試食者が増えるのを止めたハクレンの女神っぷり。
そして、問題を先送りせず、その場で消滅させる力技。
さすがドラゴン。
俺がハクレンの頭を撫でていると、笑顔のウルザとナートがやってきた。
「追加、出来たよー!」
……
あ、ルーが逃げた。
ハクレンは……笑顔が引き攣っているぞ。
大丈夫か?
いけるか?
頑張れ。
そして、できれば俺の腕を離してくれないか?
二回目は見かねた鬼人族メイドが指導してくれたらしく、一回目に比べると普通に美味しかった。
ありがとう。
そして逃げたルーには、アルフレートとティゼルが作っている料理の試食一番手を任せよう。
ウルザとナートに影響されたのだろうな。
うん、鬼人族メイドが数人、傍にいて教えている。
冬場だから、食材は無駄にできないからな。
……
これは、食べさせないほうが罰になるな。
試食一番手は俺にしよう。
平和な日だった。
雪が降り始めた。
寒い。
どれぐらい寒いかというと、クロがトイレの為に外に出ようとして扉の所で引き返してくるぐらい。
我慢は身体に悪いから、ちゃんとトイレに行くように。
室内にインフェルノウルフ用のトイレが欲しい?
猫たち用のトイレはあるのだから、構わないじゃないか?
気持ちはわからないでもないが……
鬼人族メイドのアンが首を横に振っている。
クロたちの平均的な排泄物のサイズを考えれば……わからないでもない。
猫の排泄物のサイズとは比べ物にならない。
すまない。
屋敷の傍に作るのが精一杯だ。
しかも、それは春になってからだ。
クロはションボリした顔をしながら野外のトイレにダッシュ。
戻って来た後は、コタツの中から動かなかった。
それぐらい寒くなった。
クロの子供たちは、野外で元気に動き回っているけどな。
馬や牛、山羊も元気だ。
鶏は小屋の中で密集。
雪対策は万全だから、大丈夫だろう。
あー……ウルザ、アルフレートまだ雪は積もってないぞ。
それだと泥ダルマになる。
服が泥だらけじゃないか。
アンに怒られるぞ。
二人とも、風呂に入ってから全着替えだ。
ハクレン、頼む。
そしてティア、外に出ようとするティゼルをブロック。
グラルは俺が抑え……
人選ミス。
ハクレンにグラルの抑えを頼めばよかった。
グラルもなんだかんだとドラゴンなんだよなぁ。
グラルのタックルを受けた俺は、そのまま野外にまで押し出されてしまった。
寒い。
ほら、戻るぞ。
遊ぶなら、天気が良い日にな。
俺はグラルを抱え、屋敷にダッシュした。
ちょっとだけクロの気持ちがわかったので、なんとか室内にクロたちのトイレを考えてやろう。
あー……寒い日の風呂は最高だな。
アルフレートと親子で入浴。
俺が入る予定はなかったが、アルフレートが俺と入りたがったので仕方がない。
ハクレンやウルザと一緒に入るのを恥ずかしがったのかと疑ったが……
まだ早いよな。
まだまだ子供。
ははは。
湯船に親子で並ぶ。
……
なぜ、俺達の横にドライムが?
「孫を見にいったら、娘に邪険にされただけだ」
……
存分に、 温 ( あたた ) まってくれ。
ドライムとアルフレートが風呂から出たあと、風呂に入ったついでにクロを洗おうと思ったけど、クロはコタツから出てこなかった。
代わりにユキが来た。
ここは男湯だが……まあ、いいか。
ゴシゴシと洗う。
普段から綺麗にしているから、それほど汚れは出ない。
洗い終わったユキは湯船に入って、お湯に浸かる。
ははは。
気持ち良いか。
ん?
クロがやってきた。
寂しくなったのか?
それとも嫉妬かな?
ははは、遠慮なく洗ってやろう。
湯船の中でクロとユキが並んでいる姿は 和 ( なご ) むな。
現実逃避。
クロイチ、クロニ、クロサン、クロヨンが順番はまだかとこっちを見ている。
クロイチたちは外にいる事も多いから、汚れている。
足は屋敷内に入る時に拭いているから綺麗なんだけどな。
まあ、汚れたままよりは綺麗な方がいい。
身体が汚れている時は遠慮して、コタツの中に入らないからな。
よーし、思いっきり洗ってやろう。
寒い冬の日。
俺はお風呂場で過ごした。
風邪をひかなかったのは、【健康な肉体】のおかげかな?