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木のビーズの暖簾(のれん)

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木のビーズの暖簾(のれん)

五村の食料事情や酒事情を考え、大樹の村の畑を少し拡張することに。

他と比べて少し遅めの作業だから、今年の収穫は一回だけだろうけどやらないよりはいいだろう。

ドノバンに酒用の畑が増えることを伝えたら、品種を細かく指定されてしまった。

構わないけどな。

作業前に、見張りをしてくれるクロの子供たちや、収穫を手伝ってくれるザブトンの子供たちや獣人族の女の子たちに確認。

畑だけあって、収穫できなかったりしたら笑えない。

クロの子供たちは、問題なしと。

ザブトンの子供たちも頑張りますと足を振ってくれた。

獣人族の女の子たちも大丈夫と言ってくれたが、別の問題を指摘された。

収穫物を収める倉が足りないと。

……

確認してよかった。

畑作業の合間に、子供たちの相手をする。

外で遊ぼうかと思ったが、待ったが掛かった。

実は少し前から、ウルザやグラル、ナート、ティゼルなどの女の子が少し乱暴に育っているのではないかと心配されている。

俺としては元気でいいと思うのだが、ナートの母親であるナーシィから困りますと遠回しに言われた。

なので、女の子らしい方向で遊ぶことに。

……

俺は男なので、女の子らしい遊びは知らない。

おままごととかか?

いや、決め付けはよくないな。

当人に聞いてみよう。

ここでウルザやグラルに聞くミスはしない。

「ナート、室内で何して遊びたい?」

「篭城戦」

……

うん、ナーシィの心配を実感した。

おままごとにしようか。

道具とか用意するぞ。

あー、その前にナートに篭城戦の言葉を教えたのは誰かな?

その人とちょっと話があるんだが?

え?

俺?

前に木の上の家で……

あー……なるほど。

覚えがある。

反省。

そして、ナート。

ここで覚え直そう。

篭城戦は室内での遊びじゃないからな。

あれは戦いだぞ。

おままごとが始まった。

一室に立て篭もる謀反者と人質に対し、包囲する兵士たち。

……

いや、俺が人質である配役に不満があるんじゃなくてだな、もっとこう女の子らしいおままごとがあるんじゃないかなと。

うん、子供とは思えない交渉をやっているけどな。

遠くで俺とウルザたちを見ているアルフレートと獣人族の男の子たち。

お前たちも参加するか?

遠慮する?

いやいや、悪いがこれは強制だ。

さあ、新たな人質役として参加するのだ。

次の日、ナーシィからはっきりと困りますと言われた。

申し訳ない。

反省。

昨日はおままごとというアウェイだった。

今日は自分のホームに引きずり込む。

なので今日は工芸をやろう。

おおっと、子供たちよ。

盛大なブーイングをありがとう。

慌てるな。

これは仕事ではない。

趣味だ。

なので遊びだ。

騙してないぞー。

ほら、ここに用意した木のビーズにこっちの紐を通す。

それだけだ。

完成品はこちら。

木のビーズの 暖簾 ( のれん ) だ。

絵になっているだろ。

木のビーズは色々な種類を用意したから、順番を工夫すると絵を描けるぞ。

絵に拘らなくても、模様でも構わない。

はい、やってみよう。

ウルザ、彫刻刀に興味を持たない。

作業に集中。

うん、子供たちに任せて正解だな。

俺にはないセンスだ。

そして、個性が出てる。

……

ナート、なかなか可愛くできているじゃないか。

自分の部屋に飾りたい?

ああ、構わないぞ。

でも、その前にナーシィに見せてあげような。

できれば、その時に俺の指導で作ったと言うんだぞ。

どうして?

気にするな。

ただの点数稼ぎだ。

アルフレートもなかなかだな。

ルーにプレゼントする?

よしよし。

ティゼルは……完成まで頑張ろうな。

小さくても良いんだぞ。

諦めないのが大事だ。

ウルザは完成させたのか。

うん、見事に攻撃的な感じに仕上がっているな。

これは罠に使うんじゃないぞ。

棒にくっつけて、振り回す武器でもない。

ただの暖簾だからな。

グラルは……ザブトンの子供が手伝っていたのか。

別に構わないぞ。

ギラルにプレゼントすると、喜ぶんじゃないかな。

少しの間、各家庭で木のビーズの暖簾が流行した。

子供の作品を見て、親が作り始めたのも大きい。

「昔は、これで情報を伝えたりしたらしいですよ」

へー。

子猫がじゃれるのを止めさせるのが大変だった。