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いつもの武闘会

異世界のんびり農家 — ncode.syosetu.com · All chapters

いつもの武闘会

大樹の村で武闘会が行われる。

今年も文官娘衆が主導でやってくれるので、俺はかなり楽をさせてもらっている。

その代わりではないが、今年も食事関係に多大に協力した。

「今年は甘味が多いな」

ドライムが生クリームとフルーツを乗せたパンケーキの皿を手に取りながら俺に言う。

子供たちが喜ぶからな。

あと、妖精女王が。

「妖精の女王か……

この甘味を味わったら、しばらく帰らんのではないか?」

しばらくどころか、花畑に自分の家を作って居ついている。

でっかい花のような家で、ファンシーだった。

まあ、常にそこで寝ているわけではなく、村に居たり居なかったりする。

ちなみに二軒目。

一軒目は子供たちが面白がって 弄 ( いじ ) り、枯らしてしまった。

勝手に建てられた建物だが、さすがに枯らすのは可哀想だと俺は叱ったが、妖精女王は大笑いして許していた。

心の広さで負けた気分。

いや、 躾 ( しつけ ) はしっかりしないといけない。

甘やかさないようにと妖精女王に言ったら、子供のやったことは親の責任と矛先が俺に向いた。

色々と納得できなかったが、大人な俺は黙って叱られた。

子供たちが、叱られている俺の姿を見て行動を反省してくれたらいいな。

そう思ったが、子供たちは楽しく遊んでいた。

……

父さんが、君たちの所業で叱られているのに何も思わないのかな?

そうか、妖精を追いかけるのが楽しいか。

ん?

全然、俺と視線が合わない。

まるで俺が見えていないような……

あ、何か魔法で俺を隠しているな!

「当然であろう。

子供たちに心苦しい思いをさせてどうする」

どこまでも子供中心。

しかし、子供たちのことを考えるなら、今はちゃんと反省すべきところ!

子供の教育に関して、俺と妖精女王は熱く語りあった。

まあ、どこまでも平行線だったけど。

その妖精女王は、会場の裏の食事スペースで 主 ( ヌシ ) のごとく注文をしている。

「次は四枚、いや五枚重ねで頼む!

白いヤツもフルーツもタップリだぞ!

ソースは……イチゴで」

周囲には子供たち。

普段の行いから、妖精女王は子供たちに人気がある。

「女王、ジュースもらってきたよ」

「女王、こっちも甘いよー」

……

子供たちよ。

妖精女王をあまり甘やかさないように。

休憩時間も終わりそうなので、ドライムと一緒に指定された席に向かう。

ドース、ライメイレン、グラッファルーン、ギラル、始祖さん、魔王、ユーリ、ビーゼル、ランダン、グラッツ、ホウ。

今年はマイケルさん、五村にいる先代四天王の二人も見物にきている。

やはり転移門は便利だ。

俺の席は武闘会の舞台の正面。

俺の席は少し装飾が派手で恥ずかしい。

一般の部、戦士の部は終了し、それぞれ白熱した戦いを見せてくれた。

これから始まるのは騎士の部。

前回、五村関連で不在だったルーとティアが復帰するので、盛り上がりそうだ。

騎士の部一回戦の見所は、二年連続優勝者のキアービットと、ティアの戦いだろう。

決勝戦でもおかしくないカード。

勝敗はどうなるか。

そう思っていたが、ティアの圧勝だった。

ヨウコの解説によると、キアービットとティアは特性から戦法までほぼ一緒で、ティアが全てにおいて一枚上なのでこの結果は当然だそうだ。

「番狂わせが起きにくい。

キアービットは独自の技を見つけないと厳しいな」

本当に厳しそうだ。

だが、キアービットは妙に晴れ晴れとした顔をしていた。

なぜだろう?

「キアービットは……ある意味、ティア様のファンですから」

グランマリアがそう教えてくれた。

なるほど。

試合が進む。

毎年やっているからか、強者に対する策がみられて楽しい。

番狂わせはなかなか起きないが、戦い方を工夫しているのは素人の俺が見てもわかる。

みんな、頑張っているなぁと感心。

決勝は、ルーとリアの戦い。

キアービットに勝利したティアは準決勝でルーに敗北していた。

その直前に、ザブトンの子供との戦いがあったのが大きかったらしい。

ルーは相手がグランマリア、クーデルと天使族が続いた運の良さがあった。

だが、その運の良さも準決勝まで。

ティアとの戦いでかなり疲労しているルーに比べ、リアは元気というか万全。

これまでの戦いを、一方的な弓で勝ち抜いてきた。

これはリアの方が有利かな……

そう思ったのだけど、違った。

リアの放った矢を避けて接近戦に持ち込んだルーが、そのまま殴り勝った。

おめでとう。

リアは大丈夫か?

気絶してるだけ?

それって大丈夫なのかな?

フローラに治療を頼む。

そして自分が戦闘に向かないことを実感。

予想、全然当たらない。

騎士の部が終わった後は、フリーバトル。

戦いたい者が舞台に上がり、ファイトする。

ドースとギラルが先陣を切った。

激しい戦いだが、人間の姿なので少し安心。

いつもの祭りだ。

たぶん、フリーバトルは夜通し行われるだろう。

怪我のないように。

ヨウコ、俺は戦わないぞ。

ん?

魔王はどうしてそんな格好を?

髪型まで変えて、変装か?

変装じゃない、気分転換?

いや、別にかまわないが……

魔王の後ろに妖精女王が現れたと思ったら、魔王の姿が消えた。

え?

魔王は舞台の上にいた。

正確には、舞台の上で戦っているドースとギラルの間に。

そして戦いに巻き込まれた。

大丈夫か?

いや、大丈夫だ。

ドースとギラルの攻撃を避けている。

凄い。

さすが、魔王だ。

大笑いする妖精女王を捕まえつつ感心していたら、ドースとギラルが本気になったのか同時にドラゴンの姿になった。

おいおい、こんな狭い場所で……って、みんな慣れてるな。

手に食事や飲み物を持って避難している。

避難できていないのは魔王だけ。

顔が引き攣っているな。

大丈夫か?

……無理っぽい。

逃げ出した。

頑張れ。

俺は避難しつつ、妖精女王を叱っておく。

「人を勝手に移動させないように」

「はーい」

素直に謝るので、許してやった。

「いや、待って。

私が死にかけたのだから、もう少し厳しく」

逃げ切った魔王が不満そうだったので、もう少しだけ厳しく注意しておいた。