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秋から冬に

異世界のんびり農家 — ncode.syosetu.com · All chapters

秋から冬に

武闘会が終わった翌日。

俺は寝ていない。

朝日が眩しい。

なぜ寝ていないか?

それは昨晩、一村で留守番をしていたポーラが産気付いたからだ。

俺が起きていたからどうなるのだと思うが、寝てはいられない。

難産だという話も聞かされたしな。

幸い、先ほど無事に生まれた。

めでたい。

男の子だ。

目元はポーラに似ている。

口元もポーラだな。

えっと……マルコスに似ている部分もきっとあるさ。

そう 慰 ( なぐさ ) めるが、大急ぎで帰ってきたマルコスは、まったく気にしていなかった。

似てる似てないの前に、生まれてきてくれたことに感謝か。

うん、そうだな。

俺もアルフレートが生まれた時はそう思った。

えっと、マルコス、ポーラ。

俺を 崇 ( あが ) めてもご利益はないぞ。

あと、クリッキー。

ご苦労だった。

お前の連絡がなければ、危ないところだったぞ。

ははは。

頼もしいな。

ああ、これからも頼む。

でもってハクレン。

悪かったな。

「気にしなくていいわよ。

お父さまやお母さまだと、マルコスの顔を知らないからね」

ハクレンには、マルコスを迎えにいってもらった。

母子共に最悪の事態が考えられると悪魔族のベテラン助産婦に言われたので、呼ばないわけにはいかなかった。

転移門を使い、ドラゴン姿のハクレンの飛行。

大樹の村からシャシャートの街を、三時間で往復した。

夜だったので、一番時間が掛かったのがシャシャートの街でマルコスを見つけること。

ハクレンに同行したマイケルさんが商会の人員を動員してマルコスを発見、確保したらしい。

半ば誘拐みたいだったらしい。

往復に同行したマイケルさんは……戻ってきてからずっと寝ている。

起きたらお礼を言わなければ。

でもって、始祖さんかビーゼルに転移を頼めばよかったと反省。

俺もかなり慌てていたみたいだ。

それに気付いたのは、ハクレンがマルコスを連れて戻った時。

事態を把握した始祖さんとビーゼルが、存在をアピールしたので気付いた。

本当に反省だ。

無事に生まれてくれたからよかったものの、万が一の時は……

やめよう。

無事に生まれたのだ。

それでよし。

始祖さんには、大樹の村から一村までの転移をお願いした。

大樹の村では、朝だが宴会が続いている。

ポーラの難産の話が出た後も、関係者以外は宴会に参加した。

不謹慎かもと思ったが、暗い空気は不幸を呼び込むのだそうだ。

「だから宴会は続行して欲しい」

一村の住人総出でそう言われたら、続けるしかない。

自主的に、舞台で戦うのは中止。

酒と料理を楽しみながら、楽しかったことや良かったことを発表する場になっていた。

まあ、それもポーラが無事に出産したと報告されるまで。

大歓声の後、元に戻った。

舞台にはなんと魔王が立ち、挑戦者を募った。

挑戦者がユーリで、少し困っていたな。

ユーリの後ろには現役四天王の四人が並んでいたけど。

そんな宴会が今も続いている。

「村長、どうしましょう?」

「自主参加。

明日の朝には解散。

あと、眠たい者は寝かせてやるように」

俺は大あくびをしながら、そう言った。

大樹の村の武闘会が終わった後は、五村の収穫祭が行われる。

実際、収穫はもっと早い段階で行われ、すでに終わっているのだが、大樹の村の収穫と武闘会が終わるのを待ってもらった形だ。

「待たせて悪かったな」

「いえ。

先にやっても、大樹の村の方々が不参加では盛り上がりませんから」

「そう言ってもらえると助かる」

ヨウコと先代四天王の二人が取り仕切っているので、進行はスムーズ。

収穫祭と言っているが、内容は冬に向けての大販売会みたいなものだ。

ただ、出店や舞台はあるので、祭り要素も皆無ではない。

俺は開始の挨拶をした後、鬼人族メイドと獣人族の女の子が担当する十軒の出店の監督をする。

酒だけを販売する二軒の出店が、大人気。

ストレートの販売はせず、果実割り、水割り、お湯割りをコップ単位で売っているのだけど、飛ぶようにというか流れるように売れていく。

お客も店の前でダラダラしない。

スッと注文して代金を払い、酒の入ったコップを受け取っては次の客に場所を譲る。

マゴマゴするようなことはない。

なんだろう。

練習でもしていたのかな?

そう思わせる動きだ。

そこまでして酒を求めるのか?

“五村酒”“五村酒改”は、それなりに販売しているはずだが?

祭りの空気かな?

他の出店のうち、五軒が食べ物の販売。

焼き鳥串、焼き魚串、焼きトウモロコシ、ピザ、バーガー。

バーガーは、ハンバーガーではなく、ホットドッグだ。

ただ、試食中にホットドッグのネーミングに疑問を持たれたので名前を考えることに。

パンに切れ込みをいれて、そこに具を詰めた料理をバーガー。

パンで挟んだ料理を、サンドイッチとすることになった。

なので、俺の知っているハンバーガーは、ここではサンドイッチと呼ばれている。

違和感がある。

慣れるかな。

どこかで改名を考えるべきか。

一つの出店で一種類だけなので、回転は速いが列は出来る。

全員、頑張っているが調理速度が間に合っていない。

これ以上、速くしようとしたら設備を拡張しないといけないから、出店じゃ無理。

出店の数を増やさないといけない。

来年はそうしよう。

二軒が甘味の販売をしている。

綿菓子とたい焼きのようなもの。

綿菓子の機械は山エルフとガットに頑張ってもらった。

たい焼きの焼き台も、山エルフとガットに頑張ってもらった。

ありがとう。

子供たちというか、大人にも人気だな。

値段設定を間違えたか、大量買いする人が多いので困る。

綿菓子を一気に買っても萎むだけだぞ。

明日まで持たないから、今日中に。

たい焼きも熱いうちに食べて欲しいなぁ。

残る一軒はジュースの販売。

お酒を飲まない人がやってくる。

こちらはお酒ほど求められていないのか、客足が鈍いなと思っていたけど、夜には大行列だった。

舞台では、様々なパフォーマーが出ては観客を楽しませている。

俺はそれをジッと見てる余裕はないが、舞台の上にアルフレートが出てきた時は見てしまった。

アルフレートは、フェニックスの雛のアイギスに火の輪くぐりをさせていた。

……

会場は盛り上がっているが……フェニックスって火の鳥だよな?

それが火の輪くぐり?

凄いのかな?

いや、凄い!

アルフレート、凄いぞ!

あと、アシスタントしているルー。

可愛い格好だが……人前でそういったのはよろしくないと思うのですが?

遅くなってすみません。

やはり年末が近付くと忙しい。

深夜0時更新が安定しないかもしれませんが、ご容赦ください。