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いつものコタツ

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いつものコタツ

昼過ぎ。

外に出る。

寒い。

震える。

冬だから当然だ。

服を着込んで防寒はしているが顔が痛い。

すぐに戻りたくなるが、ちょっとだけ我慢。

大樹の 社 ( やしろ ) で一礼。

社の周辺を見回って、汚れがないかチェック。

問題なし。

朝の日課だったが、冬というか寒かったので寝過ぎて今の時間になってしまった。

いやいや、今まで寝ていたわけではなく、後回しになってしまったのだ。

申し訳ないともう一回、社で一礼。

そして、ダッシュで戻る。

暖 ( あたた ) かい屋敷の中。

ほっとする。

しかし、この屋敷。

広いから、俺の部屋までが少し遠いんだよな。

それが難点。

部屋に戻って、着込んだ服を何枚か脱ぐ。

それでも十分に 暖 ( あたた ) かい。

俺の部屋はそれなりに広いが、巨大なベッドと少し大きめのコタツにかなりの場所を取られている。

コタツの下には分厚い板を並べた上に絨毯を置いているので、他の場所に比べて十センチほど高い。

この板の上は土足厳禁。

クロたちでさえ足を拭いてから上がるようにしている。

ここの靴脱ぎシステムの為、屋敷内では脱ぎやすいサンダルを利用する者が多い。

コタツには先客が……

えっと、それなりにいるな。

まず、クロとユキ。

そして……クロニか。

お前も大きくなったな。

クロとほとんど変わらないぞ。

でもって、子猫が二匹、コタツの上にいる。

たぶん、コタツの中に残りの二匹がいるな。

うん、やっぱり。

でもってコタツの中にはヒトエもいた。

子猫たちと一緒に丸まっている。

はいはい、寒いのね。

閉じておくけど、息苦しくなる前に出るんだぞ。

最後にというか、俺の部屋のコタツには俺の場所を示す為の座椅子を置いてある。

当然、俺専用なのだが……そこにフェニックスの雛であるアイギスが座っていた。

満足そうな顔で。

すまないが、そこは俺の席。

俺はアイギスをコタツの上に移動させる。

ええって顔をされても困る。

座椅子に着席し、コタツに入る。

ふう、温かい。

っと、アイギスが俺の頭の上に。

コタツの中にいたヒトエが俺の膝の上にきた。

よしよし。

ん?

ザブトンの子供たちが天井の梁で何か準備している。

まだ見ない方がいいかな?

まったり待たせてもらおう。

そう思っていると、部屋に来客。

ヨウコだ。

まるで自分の部屋のような気安さでコタツに入ってきた。

おっと、ヒトエがヨウコに気付いて移動してしまった。

寂しい。

代わりにきたのが、酒スライム。

ぽよんぽよんだな。

そして冷たい。

酒スライムが来たのはヨウコが持っている酒だな。

米の酒だ。

竹のコップに氷を入れ、そこに注ぐ。

先にもらって悪いね。

ん。

日本酒の水割りっぽい感じになるが……飲みやすい。

ヨウコの分は俺が注ごうか?

ははは。

ヒトエには飲まさないように。

あと、酒スライムの分もよろしく。

ヨウコの持ってきた酒を楽しんでいると、ザブトンの子供が俺を呼んだ。

準備が出来たのか。

なにをやっていたのかな?

……

起きているザブトンの子供たちによる集団行動だった。

綺麗に種類ごとに分かれて並び、行進。

糸を使って立体的に動いている。

サーカスのようにも思える。

凄いぞ。

おっと、失敗……大丈夫だ。

気にするな。

そうだ。

続けることが大事だぞ。

五分ぐらい、ザブトンの子供たちの集団行動を見せてもらった。

俺の反対側で見ていたヨウコが、呆れたような目で俺を見ている。

嫉妬だろうか?

そっちの膝の上のヒトエと、こっちの頭の上のアイギスを交換してくれるならその嫉妬を受け入れよう。

ザブトンの子供たちを褒めつつ、酒を飲んでいると鬼人族メイドが料理を持ってきてくれた。

昼食の鍋だ。

昼間っから鍋はどうなんだろうと思ったが、ヨウコのリクエストだそうだ。

ならば仕方がない。

別に昼に鍋を食べちゃ駄目なんてルールはないしな。

鬼人族メイドに続いて、ルーとティア、アルフレート、ティゼルがやってくる。

一緒に食事をする為だ。

スペース確保の為にクロ、ユキ、クロニが場所を譲ってくれる。

子猫たちはコタツの中で篭城。

まあ、コタツのサイズから考えても大丈夫だろう。

鍋のメイン具材は、シャシャートの街から運んできたアンコウ。

正確にはアンコウによく似た魚だが……味からアンコウと判断している。

鍋の蓋を開けると、すごく良いダシの香り。

一緒に煮込まれているハクサイとキノコも美味しそうだ。

ただ、色がちょっと……ニンジンの赤が欲しかったな。

味に問題はない。

おっと、餅もあるのか。

人数分あるよな?

よかった。

うん、美味い。

アイギスも食べるか?

構わないが食べるなら頭の上からは降りてくれよ。

あ、鍋に直接クチバシを突っ込むのはなしだ。

小皿にわけるから焦らないでくれ。

……

魚の頭部分はいらない?

目が怖い?

気持ちはわかる。

わかった。

魚の頭部分は俺が食べよう。

ははは。

いいってことよ。

ん?

ああ、悪かった。

息子や娘たちと会話もしないとな。

冬はなんだかんだと屋敷内にいることが多い。

家族の絆を深めるにはいい機会だ。

翌日。

今日はちゃんと起きられた。

社に向かう。

ん?

中庭でクロニが座っていた。

どうしたんだ?

クロニの一吠え。

うおっ。

俺の左右から、クロの子供たちが現れて集団行動を開始した。

綺麗な行進だ。

そして数が多い。

昨日のザブトンの子供たちに対抗しているのだろうか。

お前たちが凄いのは見せられなくても知っているぞ。

いやいや、最後まで見せてもらおう。

寒いけどな。

我慢するよ。

特に何もないコタツ回。

クロたちや子猫たちは朝夜の二食です。なので昼食は食べません。

でも、オヤツは食べます。