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出産とカマクラと雪山遊び

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出産とカマクラと雪山遊び

一村で出産が相次いだ。

全員、無事に生まれてよかった。

振り返れば、ポーラが一番の難産だったろうか。

難産の原因はなんだろう?

妊娠に気付かなかったことで無茶をしたのだろうか?

それとも仕事のストレス?

まるっきり知識がないから困る。

悪魔族のベテラン助産婦がいうには、個人差があるから難産にこれという原因は絞り込めないそうだ。

だからと言って思い悩まず、妊婦には栄養のある食事、適度な運動、規則正しい生活を心掛けて欲しいとのこと。

なるほど。

周知させよう。

うん、言い過ぎも駄目だっていうんだろ。

わかってる。

これでも子沢山なんだ。

構いすぎるのは駄目。

放置はもっと駄目と。

雪でカマクラを作った。

場所は当初、中庭でと思ったが、綺麗な雪の量が足りなくて断念。

カマクラには思った以上に雪が必要だった。

ライメイレンが作る雪山から雪を分けてもらったので、カマクラの建設場所は雪山の傍。

カマクラの中に火鉢を持ち込むと、あっという間に 暖 ( あたた ) かくなった。

その火鉢の上に網を置いて味噌汁の入った鍋を温めると、その香りが充満して心地良い。

現在、カマクラの中にいるのは俺、酒スライム、そしてドワーフのドノバン。

このメンバーだから、当然ながら酒。

味噌汁の入った鍋を少しずらし、酒を温めるためのスペースをつくる。

まずはホットワイン。

沸騰させるとアルコールが飛んでしまうので、ちゃんと見ていないといけないのだが……

酒スライムとドノバンがいるから大丈夫だな。

うん、温まる。

シナモンや胡椒、レモン汁、ミカン汁などを入れてアレンジにも挑戦。

ドノバン、ホットワインにワインを追加しても意味がない気がするんだが?

ホットワインの次は、お湯を沸かして熱燗っぽいものに挑戦。

徳利 ( とっくり ) は作っていなかったので、竹で代用。

だからかお酒に竹の香りがついてしまった。

まあ、これはこれでよし。

酒スライムも悪くないと弾んでいる。

「めでたい事が続いておるな」

ドノバンは酒を飲みながらニコニコしていた。

これはお酒のせいだけではない。

エルダードワーフの女性が三人、新たに村に来たからだ。

死の森を抜けてわざわざやってきたので、歓迎した。

そのあとで、門番竜と知り合いなことや、五村からの転移門を知って大きく脱力していたな。

なんでも門番竜から隠れるように山を越えるのが大変だったらしい。

まっすぐ行って話せば通してくれそうなんだけどな。

不必要に恐れられていないか?

いや、恐れられなきゃいけないのか。

門番竜だもんな。

……

ん?

あれ?

確か、死の森の魔物や魔獣が南に行くのを防ぐから門番竜って言われているんだよな。

だったら感謝する存在だよな。

なのに恐れられるのはなぜだ?

ドノバンにその疑問をぶつけると、笑われた。

「ドラゴンであるというだけで畏怖の対象だ」

なるほど。

カマクラの外で、子供たちと雪合戦をしているハクレン、ドライムを見たら、そんな風には思えないけどな。

ちなみにライメイレンは、ヒイチロウと雪遊びをしている。

ライメイレンのいる方向に雪球を投げると、色々な意味で危ないから雪合戦組は注意するように。

あ、ライメイレンが魔法でシールドしているのね。

防寒も万全と。

カマクラに入ってきたドースが教えてくれた。

お礼に味噌汁を……お酒の方をジッとみているのでお酒を渡した。

ドースが何をしに来たのかと思ったら、アンに頼まれてお酒のツマミを持ってきてくれたらしい。

ありがとう。

そして、ドラゴンであるだけで畏怖の対象かぁ……

ドースに遅れて、ギラルもやってきた。

手には鍋を持っている。

子供たち用の善哉らしい。

ありがとう。

ギラルの後ろにはグラルがいて、食器を持ってきてくれた。

ギラルは村にグラルの為の家を用意した。

まあ、建築したのは俺やハイエルフたちだが、秋ぐらいには完成し、グラルはそこで生活を始めている。

グラルは見た目が幼くてもドラゴン。

防犯面での心配はないが、生活面では大きく心配がある。

俺は無理に一人暮らしすることもないと思ったのだが、将来を考えて生活力を身につけたいグラルと、まだ婿候補と同じ屋根の下で暮らすのは早いと思うギラルの思惑が一致した。

婿候補はヒイチロウのことだ。

ヒイチロウはまだ三歳と少しだから、気にしなくて良いと思うけどな。

だが、グラルの意気込みは見事だ。

グラルは一人暮らしを始めた。

三日ぐらい頑張ったが、四日目にギブアップ。

屋敷に半分泣きながら出戻った。

一応、一人暮らしと言っても見張りというか通いのお世話係を派遣していたのだが……

夜、一人の家が寂しいらしい。

今は屋敷と新しい家で半々の生活。

新しい家にはドースのところから派遣された悪魔族のベテラン助産婦が五人ほど、生活をしている。

これはギラルに頼まれてのこと。

村としても悪魔族のベテラン助産婦がいてくれるのは頼もしい。

そして、グラルは一人暮らし……っぽいことを始め、少しずつ生活力を高めている。

当人に今のところ問題はないが、アルフレートやティゼルがグラルの家を羨ましがっている。

おねだりされても、さすがにまだ許可は出せないし、出さない。

ウルザも欲しがると思ったが、まるっきり興味がなさそうだった。

うん、わかってる。

まだハクレンの傍がいいよな。

カマクラは広く作っているので、ドースにギラル、グラルが入ってもまだ余裕がある。

が、グラルは食器を置いた後、雪合戦に向かってしまった。

大人になるのはまだまだ先のようだ。

熱燗もどきと、ホットワインを楽しみ。

時々、味噌汁。

その後、ドノバンが雪の中に埋めてキンキンに冷やした酒を楽しむ。

寒い日に暖かいカマクラの中で飲む冷たいお酒。

美味い。

が、飲みすぎると風邪を引くぞ。

……

まあ、そんなヤワなのはいないか。

おっと、そろそろ善哉を本格的に温めるか。

子供たちの雪合戦が最終決戦になっている。

終わったらこっちに駆け込んできそうだな。

寒いけど、善哉は外で温めよう。

誰か手伝って……悪いね。

ドライムに手伝ってもらった。

ドノバンが来ると思ったけど……畏怖の対象じゃなかったのかな?

まあいいか。

善哉当番は寒いが、火の傍だ。

それに、子供たちに喜ばれる役得ポジション。

頑張ろう。

子供たちが善哉を楽しんでいる間。

ライメイレンはヒイチロウと一緒に雪山をソリで滑走。

微笑ましい。

その横で、妖精女王がボードに立ってテクニカルに滑っていた。

ジャンプ台でくるりと一回転ジャンプ。

着地の時もポーズをしっかりと決めている。

見事だ。

見事だが……

そんなデモンストレーションをされたら、子供たちは飛び出してしまう。

待て。

行く前に汗を拭け。

服が濡れてるなぁと思ったら着替えるように。

着替え用のカマクラも作ってある。

服もある。

右が男の子、左が女の子用だ。

中で暴れるなよ、特に女子。

ソリ?

ああ、ちゃんと数を用意している。

今年はボードもあるぞ。

さっき妖精女王がやっていた、立ってのるソリだ。

慣れないうちは低い場所で試してからにしろよ。

ジャンプ台は、こけずに上から下まで滑れた者だけ使用可。

一回転は禁止。

無理はするな。

ボードやスキーは足を固定するから転倒時に足を捻って骨折しやすいと俺は思う。

なので、俺の手作りボードは足がすぐに離れるようにした。

これで骨折の心配は減るが、激しいアクションには向かない。

このボードでよく一回転が出来たものだと感心する。

……

あー、ウルザ。

二回転すれば一回転じゃないと言いたいのかな?

このボードはそういったアクションには向かないから、禁止だ。

回転しないように。

ソリでも駄目!

暖かいと温かい。使い分けが難しい。

日曜日に東京の祭典のお手伝いがあり、今日出発になります。

なので明日の更新はお休みします。すみません。

多分、これが本年最後の更新になります。

ありがとうございました。

来年もよろしくお願いします。

来年の更新予定は元旦(昼ぐらいかな)です。(遅れたらすみません)