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夏の村と自動販売機ゴーレム

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夏の村と自動販売機ゴーレム

収穫は村一丸となった共同作業。

なので、自動販売機ゴーレムのことはいったん忘れて頑張る。

収穫は全体で十五日ほど。

俺はそのまま新しい畑を作る。

ほかの人たちは、収穫した作物の一部を加工する。

俺が一息つけたのは、収穫開始から三十日後だった。

もう、すっかり夏だ。

……

【万能農具】のお陰で、年に何度も収穫できるのは助かっているけど、季節感が狂う。

大樹の村を見回って、季節感を取り戻しておく。

村ではプールに人が集まる姿がみられるようになった。

涼しげな水音と、子供たちの明るい声が夏を感じさせてくれる。

溺 ( おぼ ) れる者を出さないように、改めて監視を指示したら、リザードマンたちが元気に返事をしてくれた。

頼もしい。

ため池では、ポンドタートルたちがゆったりと泳いでいる。

ため池の中央に見慣れない水草があるが、あれはポンドタートルが育てた浮き草。

水質のいい池でしか成長しない珍しい浮き草で、ポンドタートルのオヤツになっている。

この浮き草が貴重な薬の材料となるからか、ポンドタートルは数株を俺に渡してきた。

ルーの視線に耐えかねたからかもしれない。

気を使わせて、すまなかった。

ルーも、なんでもかんでも欲しがらないように。

牧場では、馬、牛、山羊、羊たちが元気に駆け回っている。

だれるほどには、まだ暑くないらしい。

馬は牧場の中を気ままに駆け回っている。

一頭が走ると、ほかの馬たちも続くみたいだ。

山羊はよく草を食べている。

草を食べては走り、走っては草を食べるみたいな感じだ。

どっちかに集中したらいいのに。

いや、俺に向かって走ってきてほしいというわけじゃないんだ。

大空では、アイギスと 鷲 ( わし ) が軽快に飛んでいる。

アイギスの飛行速度も速くなったものだ。

成長は嬉しいが、ずっとあの体形のままなのかな?

フェニックスって、もうちょっとスリムなイメージなのだが……

まあ、長生きな種族らしいから気長に待とう。

俺の横では、クロとユキが凛々しい顔で待機している。

普段なら屋敷の涼しい場所から出ようとしないのに、ここ最近はずっと俺の傍にいる。

理由は、少し前にクロイチを甘やかしたこと。

あれに対抗しているのだ。

俺としては、クロイチ以上に常に甘やかしていると思うのだけどなぁ。

ちなみに、対抗されたクロイチはパートナーのアリスと一緒に涼しい場所でまったりしている。

屋敷の中では猫たちが涼しい場所の争奪戦をしていた。

争奪戦と言っても、もっとも涼しい俺の部屋のベッドの上は、母猫のジュエルが独占している。

争われているのは、次に涼しい場所とされる俺の部屋の机の上。

姉猫、子猫たち八匹で争っている。

争うのはいいが、机の上の物を落としまくっている。

俺はそれらを拾いながら、椅子の上にまとめておく。

父猫のライギエルは、色々と諦めて部屋の隅にいる。

そこは涼しいのか?

魔法で冷やしている?

なるほど。

なんにせよ、俺の居場所はないな。

リビングに移動する。

リビングには、マークスベルガークとヘルゼルナークがいた。

ザブトンに黒い布を返している。

もうちょっと隠すようにしようよ。

ここにやってきたのは、ハクレンに報告するため。

ゴールゼン王国で暴れたのは、ハクレンからの指示か。

理由はどうあれ、協力してくれたので、もてなす。

スイレンは来てないのか?

融 ( と ) かした山脈を見張っている?

ああ、あそこを通って、他国が攻め込まないようにか。

違う?

スイレンも怒っている?

しかし、それほどアルフレートやウルザと仲がよかった覚えはないが……

仲間外れにされたことを怒っているのね。

映像にも出たかったと。

なるほど。

スイレンのために、お土産を用意するとしよう。

その日の夜は宴会。

食事のあと、ヘルゼはヒイチロウ、グラルと仲良く遊んでいる。

いいことだ。

ただ、俺の後ろでハクレンとマークが、ヒイチロウとヘルゼのカップリングの有無を相談している。

やめるんだ。

ヒイチロウはまだ子供だから。

自由に。

そう、自由にさせてやろう。

宴会の一幕で、ザブトンの子供たちが何枚かの板を持って俺の前のテーブルの上に集合した。

なにをするのだろうと思っていると、持っている板を組み合わせて箱を作った。

これは……

俺はザブトンの子供たちに誘導されるがままに、箱のスリットに硬貨を投入した。

箱の一部が開き、そこからザブトンの子供の一匹がコップを持って出てきた。

俺が作っていた自動販売機ゴーレムの真似か。

かわいいぞ。

俺はコップを受け取り、一気に飲み干す。

思ったよりきついお酒だった。

山エルフたちがゴーレムを作り出したのは、ゴーレムの核となる魔石が大量に村に持ち込まれたから。

持ち込んだのはルー。

ダルフォン商会からの謝罪金だそうだ。

魔石は一ミリから五ミリぐらいのサイズ。

個々に丁寧に梱包され、樽に詰められて運ばれた。

五百個ほどあったのだが、樽を見つけたクロの子供たちによって半分ぐらい食べられてしまった。

普段、魔石を食べてるからオヤツと思ったようだ。

梱包が邪魔だと文句を言ってた。

その現場をみたルーの表情は……コメントは控えよう。

今度、森の兎や猪から取れる魔石を融通するので、クロの子供たちを許してやってほしい。

そんな事件がありつつ、小さい魔石をいくつか使えるようになったのでゴーレム製作となったのだが……

収穫前を思い出す。

自動販売機ゴーレムは、上手くいかなかった。

購入者第一号を見守ろうと三日も費やした結果が、窃盗団の逮捕だ。

反省点は多い。

特に、自動販売機で売る物を決めてから作るべきだった。

俺と山エルフだけでやろうとしたのもよくなかった。

もっと広く協力を呼びかけるべきだった。

ティアたちに見せて否定されたことで、意地になってしまった。

……

自動販売機ゴーレムは、色々と使えると思う。

まだその使いかたが悪いだけだ。

よし、明日から自動販売機ゴーレムの製作を頑張るとしよう。

俺はザブトンの子供たちに催促され、また箱に硬貨を投入する。

ザブトンの子供が、酒の入ったコップを持って出てくる。

ふふふ。

あまり酔わせないように。