オークションのあとの食事会
オークションのあとの食事会
魔王のアピールのおかげか、俺たちは問題なくヨウコ屋敷に到着。
すでにユーリとフラウが待っていた。
待たせたようで、申し訳ない。
ユーリと一緒にいた貴族のお嬢さまたちも参加か。
……
大丈夫だよな?
ちゃんと魔王を魔王として認識するよな?
少し心配したが、大丈夫だった。
魔王とビーゼルに丁寧な挨拶をしている。
そうだよな。
ユーリと一緒にいるし、自国の王である魔王のことを知らないなんてあるわけがない。
魔王は機嫌をよくしたようで、ご満悦だ。
よかった。
リアとアンは、予定通りに大樹の村に戻った。
戻る前に改めて食事に誘ったが、所用ができたとのことだ。
なんだろう?
まあ、無理に引き止めてもなんだし、食事が終われば俺も村に戻るしな。
食事は魔王が言ってた通り、酒肉ニーズのデリバリー。
長テーブルに座る、きっちりした食事をイメージしたのだけど、どうやらバイキング方式のようだ。
きっちりした食事にするには、席順が面倒なのだそうだ。
ここは 五村 ( ごのむら ) だが、魔王領の一部でもある。
では、上座に誰が座るのか?
どういった席順にするのか?
とても面倒らしい。
……
悩むことだろうか?
上座には魔王が座れば、それでいいと思うのだが?
席順も、それほど面倒じゃないと思うが?
まあ、俺の知らないルールがあるのだろう。
そういったのを 排 ( はい ) するためのバイキング形式だそうだ。
俺は招待された側。
細かいことは言わない。
任せる。
数人で囲めるテーブルの一つに案内される。
同席するのは、魔王、ヨウコ、ユーリ。
本来は妻であるルーやティアが同席するのだが、ヨウコは五村の村長代理なので、この場ではルーたちよりも上位になるそうだ。
ティゼルは紐から解放され、ティアに甘えている。
食事やトイレ、お風呂のときは紐を外すらしい。
当然だな。
何度目かの質問だが、どうして迷子紐をしているんだ?
アルフレートに聞け?
わかった。
今度、手紙で聞いてみよう。
ほかのテーブルは、ルーとティア、ティゼル、ビーゼル、フラウ。
すぐ横なので、会話できる近さだ。
貴族の娘たちだけのテーブルは、少し離れた場所に。
もっと近くでと思うが、気楽に食事を楽しんでもらうためにそうなった。
ガルフとダガは、食事をせずに部屋の中で警備をする。
一緒に食事すればいいのにと思うが、そうもいかないらしい。
部屋の壁際に立って、給仕役の人たちを見張るのだそうだ。
たしかに、魔王の周辺を警備しないのは問題か。
でも、魔王ってガルフやダガより強いと思うのだが?
ドースやギラルを相手に、頑張れるんだぞ?
警備対象の強さは問題ではない?
そうかもしれないが……
まあ、無理はしないように。
ガルフとダガの食事は、別口で用意するようにお願いしておこう。
料理が運ばれ、大きなテーブルの上に並べられる。
食事はバイキング形式だけど、給仕役の人に指示すれば持ってきてもらえるそうだ。
俺としては自分で取りにいったほうが気楽だけど、誰も自分で取りに行かないから行きにくい。
まあ、気にせず食事を楽しもう。
えーっと……任せる。
魔王がそう言ってたので、真似をした。
なるほど、楽だ。
そして、美味しい。
酒は……
五村酒か。
「 五村 ( ここ ) での食事だからの」
ヨウコがそう言って、俺のコップに五村酒を 注 ( つ ) いでくれた。
ありがとう。
でも、俺より先に魔王に注いであげて。
あ、魔王にはユーリが注ぐのね。
魔王が照れてる。
会話を交えながら、食事が進んでいく。
要所要所で難しい話題がでるが、そういったのはヨウコに任せる。
俺は……雑談を聞く担当。
肉の丸焼きに関して。
まずは丸焼きの状態をお客に見せる。
そのあと、これを切り分けるのだが……
これを切り分けるのは、その場で一番偉い人がするそうだ。
どうしてかというと、肉の大きい小さいに文句を言わせないため。
しかし、それが転じて、切り分けられた肉の大きい小さいで、信頼の証とされる。
不満のないように切り分ける技量を求められるそうだ。
偉い人も大変だな。
そして、肉の大きい小さいで謀反を起こすって……馬鹿なのだろうか?
世の中は広いな。
さて、この食事の最中。
来客が何人も来た。
まずは、マイケルさん。
オークション会場の外で襲われたことの心配と、謝罪に。
いやいや、マイケルさんが謝ることじゃないから。
マイケルさんは、そのまま食事に参加。
ティゼルがなにやら話しかけている。
なにを聞いているか知らないけどマイケルさん、そんなに真剣な顔をしなくても……
次の来客は、 白銀騎士 ( シルバーナイト ) 、 青銅騎士 ( ブロンズナイト ) 、 赤鉄騎士 ( アイアンナイト ) の三人。
赤鉄騎士の従者もいるから、四人か。
給仕の手伝いに来たとのことだが、目的は魔王を見ること。
喧嘩は困るぞと思ったら、すっごくきっちりした礼節で魔王に挨拶していた。
真面目な騎士の振る舞いを、初めて見た気がする。
ちょっと感動してしまった。
そして魔王も、尊大になり過ぎない程度の挨拶を返し、あとは普段通り。
四人はそんな魔王をみて、さすが魔王と感心していた。
感心するのはかまわないから、給仕も頼むぞ。
ちなみに、このやってきた四人。
明日の野球の試合に、五村側のチームで出場予定。
魔王のチームを苦しめることになる。
次の来客は、警備隊の部隊長。
彼は魔王ではなくヨウコに用事があった。
なんでも、オークション会場を出たところでの襲撃に加担したわけではないが、魔王を襲うように 唆 ( そそのか ) した疑惑のある商人がいるとのこと。
身柄を確保して、軟禁状態だがどうしますかとの相談だった。
あと、襲撃してきた盗賊団の調査経過の報告。
ヨウコは少し考えたあと、魔王に相談。
「襲ってきた者の処分は、五村に任せてもらう。
文句はないな」
ヨウコ、それは相談ではないと思うぞ。
そして魔王。
任せると簡単に言っていいのか?
捕まえた者が所属する組織が処分するのが通例と。
例外はたくさんあるらしいけど。
ヨウコがいくつか指示を出して、警備隊の部隊長は帰った。
このあたりで、食事中なのに客が多いなと疑問に思ったのだけど、理由があった。
貴族のお嬢さまがたの親が 訪 ( たず ) ねてくるらしい。
なので、食事中でも客を通すように事前に通達していたそうだ。
なるほど。
そして、貴族のお嬢さまがたの親がやってきた。
五人。
子爵が一人と男爵が四人だそうだ。
きっちりとした挨拶だが、挨拶の相手を間違えていないか?
どうして魔王じゃなく、ユーリとヨウコに挨拶をするんだ?
そしてヨウコ。
挨拶を受けたあと、俺を紹介するな。
仕方がない。
俺は無難に五村の村長ですと挨拶。
となりの魔王を紹介する。
あ、魔王がいるって気づいていなかったのね。
すっごく驚いている。
ここを訪ねたのも、ユーリとヨウコへの挨拶が目当てと。
魔王に誘われたから、魔王の発案だと思っていたけど、この食事ってユーリの発案だったのか。
そうか。
えーっと、魔王。
大丈夫だ。
どうやら、王都にも滅多に足を運ばない人たちらしいじゃないか。
知らなくても仕方がないって。
魔王になったときに貴族を集めたから、顔を知らない筈がない?
どうなんだ?
そのときは、遠くからしか見られなかったって言ってるぞ。
ユーリ、魔王を放って食事を楽しまない。
ビーゼル、手伝ってー!
多少、問題はあったが、食事は無事にデザートになった。
スイカやメロン、パイナップルを綺麗にカットし、器に載せたフルーツ盛り。
アイスが乗せられているから、パフェになるのかな?
それらがテーブルに運ばれているとき、最後のお客がやってきた。
メイドの格好をした女の悪魔族を縛り上げ、困った顔で連行してきたドライムの執事、グッチだった。
感想、レビュー、ポイント、誤字脱字の指摘、ありがとうございます。
これからも頑張ります。
今日のお昼ぐらいに、コミックウォーカーとニコニコ静画でコミックスの更新があるので、そちらもよろしくお願いします。
(更新がなかったら、すみません)